ちょうど、10年前だ。
愛しい人を、永遠に失った。
永遠に、ではないかもしれないけれど、その人は旅立ち、いなくなった。
わたしの中に、音楽を聴いて、それを動かした唯一の人だった。
私は、立ちすくみ、そして決めたのだ。
永遠に、愛し続けると。
忘れない、と。
それしか、自分を守る術が無かったからかもしれないし、
それが、愛する人を守ることだと、信じたかったからだ。
その1年後にも、2年後にも、やはり冬だった。
逢いたいと願った。
どうしても逢いたかった。
けれど、逢うことはできなかった。
呼吸して、リラックスして、感じて、見て、委ねて。
今ここにいながら、必死でそれを繰り返した。
逢いたい。
それが、音楽と結び付いた、私の瘀血だろうか。
それとも、それより遥か以前から私にある、
何か別のものが、その体験と結び付いたのか。
「なかなか根深い瘀血だ」
と、主治医は言った。
自覚している。
私の中の、なにか。