こんばんはヽ(゚◇゚ )ノ
あかりですヘ(゚∀゚*)ノ
小説アップしました(=⌒▽⌒=)
その前に
疲れた時クリックしてくださいね(^O^)/ 父との別れの一年後、母が再婚をするということを、母の姉である伯母から翔は聞かされた。
幼い翔にはその意味が分からなかった。
「お父さんは?」
突然に出た翔の言葉に、伯母はたじろいだ。
母は俯いていた。
伯母は一瞬、翔の母である妹に目線を向けると、その横に座る翔に近づいて諭すように言った。
「翔ちゃんあのね、お父さんは重い病気をしているの」
伯母は翔の目を見据えて言った。
笑顔を作らなければならないと意識しているようだったが、引きつっているのが分かった。
「その病気はね、治らないかもしれないのね、遠いところでお父さん入院しながら頑張っているの」
伯母の目が潤んでくるのが分かった。翔は伯母を睨んだ。
一瞬、この人が父を遠ざけようとする悪人じゃないかと思い、翔の瞳には怒りがこみ上げていた。
幼い少年の眼に宿って行く「なにか?」を感じた伯母は、
「もちろん翔ちゃんのお父さんはお父さんよ、それは永遠なの」
伯母は翔の瞳から目を離すことなく、優しい笑みを加速させながら諭していった。
頭を撫でていた。
翔は急に涙が溢れた。
どうして流れているのか分からなかった。
「でもね翔ちゃん、家族にはね、女の人がいて男の人がいる。これが一番幸せなのね」
翔は膝を抱え、頭をその中に埋めて泣いていた。
伯母の話は頭に入らなかった。。
畳に滴る涙を見つめ、父のことを思い出していた。
悔いが残っていた。
「お父さんに謝らなければ」という思いでこの間生きてきた。
あの日、お父さんが振り向いてくれなっかたのは「僕がなにか悪いことをしたから」と信じている。
「ねっ、翔ちゃん、分かって。新しいお父さんが来ることは翔ちゃんのためでもあり、お母さんのためでもあり、翔ちゃんたち家族のにもためでもあるの・・」
母が女手一人で家族を支えてくれているのは、幼い翔でもわかっていた。
それを見ていた伯母が中に立って、先妻をなくし、子供もいない一人の大人しい四十過ぎの男と、半ば強引に縁談を進めた。
いや、進められたと言ったほうが正解である。
その夜、翔は泣き疲れて早くに眠りについた。
夕食の時も、誰とも話することはなく、また夫婦伯母も母も、翔を気遣ってか、テレビから流れる下世話話に集中している体を装っていた。
翔は夜中にトイレに起きた。
隣の布団は敷いたままで崩れておらず、まだ母は就寝していないのが分かった。
二階の二間に間借りしていて、トイレは二階にもついていてその先にあった。
トイレに向かう奥の、普段は親子二人で寛ぐ居間に母はいた。
部屋は補助明かりだけだが、開け放たれた窓から月光が忍び込み、母の華奢な身体を青白く輝かせ、晩秋の少し肌を刺す厳風がその長い髪を揺らすのが、少し明け放たれたドアから見て取れた。
窓の外には満月が、これから来る厳冬の前の一時のご褒美たけなわ、凛として鎮座しているかのように、母の首を傾けて見とれているこの姿、またこのファインダーは幻想的であった。
用を済ませて布団に戻るまで、翔は母に何と声をかけるか迷っていた。
事実、再婚する母を心底喜べない自分がいた。
すると居間に近づくと母のすすり泣く声が聞こえてきた。
それは小さい声で、息子に聞こえないようにするのが精一杯で、そうすることでなおさら、肩が揺れてくるのであった。
翔はドアから母を覗き込んだ。翔は間髪を入れずに泣いた。
母が、
「あなた、ごめんなさい」
と言ったあと、自らの手のひらの甲を思いっきり噛んだ。
次に
「翔ちゃん、ごめんなさい」
と言ったあと、また自らの手のひらの甲を思いっきり噛んだ。
そしてうずくまりながらも歯は自らの甲から離さなかった。
月光が優しく母の背中を包んでいた。
厳風が厳しく部屋に侵入してきた。
「俺があの日、噛んだ所・・・」
翔は走って母も元に言った。
母に抱きついた。
母を抱きかかえながら、泣きながら言った。
「お母さん!ごめんなさい!」
母の手のひらの甲には、黒い歯型を残していた。
その日以来、翔は母が浮かれて再婚するのではない、何かしらの理由が理解できたと思った。
それは言葉に出して説明できないものではあったが・・・。