タイトル記載のレジュメ、ようやく完成しました。

10ページにも満たないコンパクトな内容です。

 

現在の入門生には29日の最終講義時に配布します。

過去問ゼミ受講生の方でご希望の方は、データでお渡ししますので、以前告知させて頂いているアドレス宛に希望の旨記載の上、お送り下さい(既に把握している方には順次お送りします)。

 

過年度入門生の方も、メールアドレスをTwitterのDMでお送り頂ければデータでお送りします。

よろしくお願い致します。

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原告適格での着眼点

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ご無沙汰の更新となってしまい、すみません。


行政法の出題分野の中で、原告適格は頻出分野の一つですが、いまひとつ、「思考起点」を踏み切れていない答案が目立ちます。


法律上の利益を有する者、にあたるかどうかの判断では、以前のブログにも掲示しましたが、以下の3点を踏まえることが必要です。なお、1,2は順番はどちらでもいいと思いますが、1を先にすることで検討すべきターゲットが明確になるメリットがあります。


1 原告の害される利益(内容・程度)の特定

違法な処分がされた又はされそうな場合(取消訴訟や差止訴訟の原告適格)、あるいは違法な不作為となる場合(義務づけ訴訟)に、原告がどのような利益を害されるのか、原告の立場に立って具体的に考えましょう。


2 法律の保護する利益の特定

ここでいう「法律」の中心は、条例や法律における当該処分の根拠規定です。これを中心に、趣旨・目的を同じくする同一法典内の別の条文や、別の法典、あるいは委任立法を広く見渡していきます(多くは、申請に対する処分であれば、その申請書類や添付書類、あるいは不許可事由などに着目することになりますし、不利益処分であれば、その手続に着目することになります)。

そして、ここでは、法律が「誰のどんな利益」を保護しているか、を具体的に考えます(別の言い方をすれば、法律上、処分の際に、誰のいかなる利益を考慮する必要があるか、です)。ここでの「利益」は、刑法における保護法益を参照にするといいです。つまり、個人的法益・社会的法益・国家的法益という観点も参考に、生命・身体なのか、財産なのか、それとも他の利益なのか、具体的に考えてみましょう。


なお、ここで、処分の際に考慮すべきとされる利益を特定する作業は、実は裁量論でも同様な思考が可能です。他事考慮や考慮不尽は裁量の逸脱濫用の典型であるところ、ここでの「考慮すべき」というものは、原告適格と重なる部分です。但し、裁量論では、個別的利益として保護されているものでなくても「考慮すべき」か否かの対象には含まれるうえ、その他の要素でも裁量の逸脱濫用となるので、その点は原告適格とは検討の観点が異なります。


3 2が1を含むことと、公益に吸収されないこと

多くの答案が、「1が2に含まれているので、原告の利益は法律上保護された利益になる」という趣旨の記載をしますが、これでは物足りないことはいうまでもありません。

つまり、「法律上保護された利益」があるといえるには、当該処分の根拠となった法規が、利益を一般的公益の中に吸収解消せしめるにとどめず、個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含む必要があり、「公益非吸収」という観点が不可欠です。

そして、公益に吸収されない、といえるかどうかは、当該利益の性質(生命身体であれば吸収されにくい)や、(違法な処分や不処分によって)利益が害されることになる範囲(問題となる場所を中心として、どの程度の範囲に影響が及ぶか、という平面的・立体的な視点が望ましい)に着目します。


公益非吸収、までいえて、ようやく原告適格を肯定しうることとなります。


ということで、原告適格に関して、苦手意識を持つ方への思考の一助となれば幸いです。




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民事系は、ちゃんとやれば点が伸びる科目ですが、そのあたりがまだまだ権威を持った一部教員や予備校の指導が邪魔している印象です。


以下、民事系を、実体法、手続法にわけて説明します。


第1 民事実体法


民事実体法は、学説や論点を追いかける間違った勉強方法や、論点捜しというアプローチのままではいつまでも伸びにくいですが、以下の点を強く意識してアプローチする思考方法を確立すると、出題趣旨等を外さなくなります。


担当している論文パーフェクト答練や論文力完成講座等ではそういった思考方法は随時紹介していますが、その一端について、改めて整理して記します。


ポイントは、①訴訟物たる権利を巡る思考、②法律要件分類説を意識した思考、③当事者目線、に尽きます。


1 ①訴訟物たる権利を巡る思考

民事実体法の出発点は何と言っても訴訟物です。究極的に、訴訟物たる権利のありなし、を巡っての攻防です。この訴訟物で取り間違うと致命傷です。

会社法での訴え系を除くと、民事実体法科目での訴訟物は、大きく、物権的請求債権的請求に分類できます。

そして、物権的請求であれば、原告側は、自己に物権が帰属すること(権利自白注意)と、相手方の占有・妨害・妨害のおそれ等という要件に該当する具体的事実の主張をしていきます。

他方、債権的請求の場合、原告側は、①約定債権、②法定債権、③代位・取消等のいずれかから考えて、訴訟物を選択し、条文などに基づき、その訴訟物たる権利の発生を基礎づける具体的事実の主張を行います。(債権譲渡の場合は、これに加えて債権の移転原因事実も必要となります)


会社法の訴え系であれば、その訴えを定める条文を特定し(募集株式発行無効の訴えであれば828条1項2号)、原告側は、その訴訟要件・本案要件に該当する事実を主張していきます。


こうした権利の発生要件が一応具備する場合は、被告側の反論を行いますが、これは②に委ねます。


大事になるのは、原告の側で、一体何を求めるのか、その求めるものの発生要件が何で、その要件該当事実が存在するといえるか、を考えることです。


なお、訴訟物が複数考えられる場合もあります。それぞれを単純併合で求めるものもあれば、主位的・予備的の形になるものもあります。



2 ②法律要件分類説を意識した思考

これに対し、被告側の反論は、大きく分けて①否認と②抗弁のいずれかです。

おおざっぱに言えば、請求原因や訴訟要件に関して、要件非該当の主張が①です。


他方、②抗弁を主張することもあります。抗弁は、請求原因事実と両立し、訴訟物たる権利の発生障害・消滅・行使阻止(←ここの引き出しは不可欠)となる要件に該当する事実の主張です。


この、①②は、別の言い方をすれば、法律要件分類説を意識した発想です。これが、被告の反論を正しく捉える鍵です。


以下、原告の再反論以下も、否認か再抗弁か、などと同様に考えることで足ります。


こうして見つかった争点に関して、問いに併せて、私見を述べるなら「確かに・・・しかし・・・」などと悩みを見せて結論をまとめます。私見は原告・被告いずれかの主張に沿うこととなるでしょうが、原告・被告の主張への批判や、理由補強(具体化含む)が私見の理由付けとして有用です(これは公法系などでも同じ)。


3 ③当事者目線の有用性

①②の主張選択に共通していえることとして、当事者としては、まずは大なる主張をしたいはずですあるいは、認められやすい主張を選択するはずです(要件が少ない、立証が容易等)。


大なる主張とは、請求額として多くなるものです。原告で言えば、考えられるMAXの金額での主張がしやすい法律構成が優先です。逆に被告で言えば、原告の請求を棄却にできる主張が最優先であり、それが無理なら一部棄却に持ち込む主張を考えることとなります。

但し、大なる主張の法律構成が明らかに要件該当性に無理があるのであればそれに拘ることはせず、より確実な法的構成に向かうでしょう。


なお、事実の評価・抽出でも、当事者目線は有用です(当事者にとってどう受け取れるか、という思考)が、事実評価や抽出は、当事者目線以外の視点も有用ですので、別の機会に委ねることとします。



以上の思考方法を、きちんと踏まえることです。要件効果論の中に、解釈論があるならば、基本的には判例説に従い、結論と理由(但し論理的につながらない意味不明な理由付けなら書かないのをお勧め)を示せば足ります。未知の解釈論や判例がない場合も、解釈の結論を示すことは必須で、理由付けとしては、「確かに・・・しかし・・・」と悩みを見せるのが理想です。なお、いずれにしても、わざわざ問題提起するほどではありません。規範部分について結論先行で記載すれば足ります。



民事実体法は、訴訟物を巡る、事実及び法律上の主張反論に尽きる、といっても過言ではありません。



第2 民事・手続法

民事訴訟法の思考方法はなんだか確立されていない、という方が多いかとは思います。

確かに、民事訴訟法の出題形式は様々であり、細かく分ければ、その出題形式に応じた分析法に分類できるので、一概にはいえないのはそのとおりです。

しかしながら、民事訴訟法も、当事者間の紛争を前提にした、条文・判例に基づく要件論であることは確かです。また、論文試験については、結論と理由を書くことが必須です。


やや一般化しますが、思考方法において極めて重要なのは、「結論を左右する原理原則・条文・判例は何か」の発想です。

この原理原則・条文・判例が特定できれば、あとは要件該当性を、原告被告の双方向から考えてみて、結論を出すのみです。


その中で、どの原理原則・条文等の問題であるかは、その手続における段階によって変わります。そのためには、INPUTの際にも、その原理原則・条文等が、どの段階での問題なのか、を正確に把握することです。例えば、弁論主義であれば、審理における原則ですが、判決の理由を書く段階でより明確に現れます。既判力や参加的効力であれば、判決効の問題ですが、後訴が生じたときに、後訴におけるある主張立証の可否、という形で顕在化します。処分権主義も、判決主文を書く段階で顕在化するケースが相当数あります。


そして、誘導がある場合は、とにかく、誘導に沿って結論と理由を示す(その際に必要となる原理原則・条文・判例への言及を忘れない)、に尽きます。書き出しで迷ったら結論先行で書いてみて下さい。


なお、問われる原理原則は、概ね固まっています。最も重要になってくるのは、訴訟物に関連する概念(既判力、当事者適格、二重起訴、訴えの利益、必要的共同訴訟の成否など)や、主要事実に関連する概念(弁論主義、証明責任、参加的効力など)です。これについては、普段から、訴訟物や主要事実を考える癖を持つことが大事でしょう。そして、民事実体法の応用部分であり、民事実体法の知識も使いながら、考えていくことです(その際、上記の民事実体法の思考方法が確立していれば、ここの部分は何の苦もなく考えられるはずです)。


ちなみに、問いのパターンとして多いのは、誘導がある場合(課題型)を除けば、①なすべき判決や裁判所の検討事項を問うもの、②当事者のなすべき手法やその可否を問うもの、③後訴での主張立証の問題を問うもの、④当事者の主張の訴訟法的意義を問うもの、など、多様です。それぞれに応じた思考方法がありますが、上記の「結論を左右する~」の応用ですので、ご自身で一度お考え下さい(受講生の方は、これらの詳細については、入門講座のレジュメ等をご参照下さい)。


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憲法判例を読む際の留意点

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憲法の判例でも、他の科目と同様、どういう訴訟における、当事者のどういう主張反論の中で出されたものか、を意識する必要がありますが、特に注意を要するのは、「どういう訴訟における」「どういう主張反論の中」という部分です。


ご存じのとおり、代表的な憲法訴訟の訴訟形式としては、行政訴訟、民事訴訟、刑事訴訟があり、これらの中で憲法論が展開されるわけですが、まず注意しなければならないのは、当事者、とりわけ争点提起者が、その訴訟において、訴訟物(訴因)との関係で、どのような実体法上の主張をしようとしているかです。


行政訴訟において、処分の違法性を主張するために、処分根拠規定自体を叩こうとしている(法令違憲)なのか、それとも、処分要件該当との判断を叩こうとしている(適用違憲)のか。後者については、いわゆる裁量論の中で、憲法論が判断過程審査や比例原則、平等原則等の関係でどう現れているのか。


刑事訴訟において、無罪を獲得するために、構成要件をそもそも叩こうとしているのか(法令違憲)、あるいは構成要件非該当、あるいは違法性阻却(適用違憲)の中で主張しようとしているのか。


民事訴訟において、訴訟物との関係で勝訴するために、請求原因や抗弁を定める法規そのものを叩こうとしているのか(法令違憲)、あるいはその要件該当性(違法性など)で争おうとしているのか(適用違憲)。


こうした部分を正確に分析することは、自分が問題を解くときにどのように使えばいいか、のヒントになりますし、また、参考答案として出回っているものの誤り等を発見できることにもつながります。

そして、どつぼにはまらないための確たる憲法思考ができていくのではないかと思われます。



要証事実の特定ほか

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伝聞法則について、このブログでも何度か記事にしておりますが、

(過去記事はこちら→

http://ameblo.jp/akagilaw/entry-11166389687.html

http://ameblo.jp/akagilaw/entry-11460924518.html )、

なかなかうまくいかない方が多いテーマとして、改めて、特に要証事実の特定についてまとめます。



1 特定の仕方

結論からいえば、争点(被告人の認否や主張)、証拠構造(直接証拠型か間接証拠型か)、証拠内容、他の証拠状況、立証趣旨などから特定していきます。


まず目を付けるのは争点です。被告人の認否によって、主要事実レベルでの争点がわかりますし、同時に、検察官が究極的に立証したいものもわかります。


次に着目するのは証拠構造です。その争点からわかる究極的立証命題(主要事実)に関して、当該証拠が直接証明できる場合(目撃証言や自白など)は、主要事実=要証事実、という可能性があります。

ただし、必ずしも主要事実=要証事実とは限らず、他に直接証拠がある場合には、補助事実=要証事実となることもあります。立証趣旨からして、主要事実=要証事実とは思えない場合は、補助事実の可能性を疑いましょう


他方、直接証明できない場合は、その証拠内容や、立証趣旨(検察官の主張する、証拠と証明すべき事実との関係。規則190条参照)に着目し、主要事実の存否(不存在の場合もあります)の推認に役立つ、どんな間接事実が証明できるか、考えます。

こうして、要証事実は特定できます。



2 特定の際の注意点いくつか

特定する際、よく見落としがちなのが、時的要素です。直接証拠か否か、の判断の際に影響します。


訴因では、通常、特定の日時・場所についての犯罪行為が明記されており、争点は、その特定の日時・場所における、特定の行為です。

他方で、その証拠で直接証明できる事実が、直接その特定の日時・場所の事実ではなく、その近接日時、近接場所における事実であることがあります。この場合、間接事実が要証事実となります。


また、立証趣旨が、「犯行再現状況」などとぼんやりしている場合は、要証事実は慎重に特定するようにしましょう。平成17年最高裁決定の事案のとおり、要証事実は犯罪事実そのもの、と考えるべき場合もあります。ここは、上記のとおり、争点や証拠構造からきちんと判断するようにしましょう。




論文力完成講座では、第2回でも扱いましたが、ここは、「思考過程を習得する」ことが肝要です。


司法試験の問題を解く際に、何度も同じ思考回路を辿るようにしましょう。