あかちゃん - 初めてのデート by 滝川

小雨の降る街を通り抜け、25分前に待ち合わせ場所の一階のロビーに着いた。 木曜の夜は人気も疎らで、ウェイトレスが暇そうにテーブルの掃除をしていた。 こっちが居る事に気が付かないようなので、軽くテーブルの端を叩いて注文を促した。 長い付け爪につままれて出されたメニュー表の価格を見てさらにうんざりしたので
一番安いコーヒーを注文した。

コーヒーが出てくるのを待ってる間、2ちゃんねるのガソスレに携帯から、くだらない煽りカキコをしていると正面の高い位置から上品な女の声がした。

「おそくなってすみません。待ちました？」

視線を上げると、見事に変身した彼女が立っていた。

「いえ、自分もいま来たばかりです。ただ、コーヒーを注文してるのですが、どうしますか？」

彼女は少し考えてから

「それじゃ、私も同じものを」

と言い、向かいの椅子に腰掛けた。 胸元が開いたシャツにシルバーのアクセサリーが覗いていた。