昨日テレビで見たアメリカの絵本作家。
というより、庭とともに生きるおばあちゃんだ。
彼女はアメリカのバーモント州の山間部に大きな庭を持っている。
ぱっと見は、自然な感じで花が咲いたり、木が生えているが、それも彼女が毎日庭に手を入れてきたから。
彼女が言うには「堅苦しいのはきらい」だそうだ。
しかし、庭に植える草花への妥協はまったくない。
必要なものは自分で創り出すポリシーを貫く。
もう90歳を超えている。
元気なのは、元気なのだろうが、彼女をそんな一言で片付けるのは少し違う。


庭に咲く花が楽しい。
チューリップ、水仙、忘れな草、しゃくやく、古種のバラ……。
あとはたくさんあって忘れた。
彼女も花の名前は「もう忘れたけど」などと、いたっておおらかな様子。
彼女の言う雑草とは、あまりに繁殖力が強すぎる草花のことで、それ以外は放っておく。
テレビは、庭の春夏秋冬の様子を映し出していたが、やはりたくさんの花が咲く春が美しい。
他の季節もそれなりの美しさを持っていることは間違いないが、春の美しさといったら。
「奇跡」とは彼女の言葉だが、そう形容しても大げさでないと、この庭を見ていて思った。


花は日本名と英語名が紹介されていた。
マツユキ草は、snowdrop。
アツモリ草は、なんだったけ。
他にもたくさん紹介されていて、それぞれに由来があるのだろうなと思う。
春が遠くなくなった頃、庭の片隅でマツユキ草を見つけた彼女は「かわいいわね」とその白い花を、じっと見ていたのが印象的だった。
本当にかわいい花だった。


彼女が住む場所は、冬が長い。
冬の間は家の中にこもるしかない。
夏の間は庭仕事で忙しいだろうから、絵本に取り組めるのは冬なのだろう。
それでも、温室の草花は気になるらしく、毎日見に行く。
昨日と同じ姿をしているかどうか、気が気でないのだろう。


庭仕事の手伝いをしにきた息子(60歳を超えている)や孫にあれこれ指図をする。
その姿に、老人はやっぱりこれだからと微笑ましい。
子供たちはもう何度も聞いているだろうことにも、黙って従う。
彼女が言うに「歳をとっても悪いことばかりじゃない。助けてと言ったら、すぐに助けてくれる」と何気におちゃめ。
snowdrop (続く)