こんばんは、まりです(^^)
今日はちょっと長々と語っていますが、お付き合いいただければ幸いです。

 

こちらはヘラ掛け真っ最中のパーツ達。
ヘラ掛けについてはこちらの記事で書いています↓
 へら掛け仕上げ

以前勤めていた会社の先輩から聞いたのですが、金属は科学的にみて、表面を硬化させることにより強い輝きを放ちます。
ヘラ掛けをした金属は表面を硬化させているため強い輝きを放つ上、シルバー等では硫化(黒い変色)を遅らせる効果もあります。

 
会社を辞めた後、桂盛仁師に師事を仰ぐ中で、再びヘラ掛けを習う機会に恵まれました。
火を当てる前なのにヘラ掛けをしておくと後の仕上げが楽だと言われたため驚きました。
火を当ててしまえば磨いた金属はまた輝きを失い、再び磨かなければならないからです。
しかしヘラ掛けをしっかりしているとどうやら火を当てても、ヘラ掛けをしていない時に比べて火による変化が少ないように思われました。
結果的に仕上げでかかる手間は先にヘラ掛けしておいた方が減ることが分かったのです。

 
大半の会社では非効率だとされヘラ掛けなど殆ど使われず、リューターで表面を磨くだけというのが今の主流です。
しかしヘラ掛けも使い方によっては決して非効率などではないのです。

 
先日スタッフから私の仕上げた商品の可動性がとてもいいと言っていただきました。
最初なんのことか分からなかったのですが、金属同士が当たることなくスムーズに可動するという事でした。
動く所は角を残さないという当たり前過ぎて自然にしていた仕上げが、結果的に可動性を上げていました。
まさに機能美ですよね。

 
物作りには必ず理由があります。
何故この手順でするのか、その時々で何処までしておくのが良いのか、どういう状態が良いのか…
人によってこれらは変わることはありますが、理由なくそれらをしている職人は殆どいないでしょう。

生徒さんの中には他で習ったやり方と藍蘭堂のやり方が違う場合もあると思います。
これらはこうでないと間違いという物ではないので、今までのやり方も決して間違いではないでしょう。
恐らく、それを教えてくださった先生には先生なりの理由があります。

多くの会社でヘラ掛けをしないように、多くの教室でもヘラ掛けはされていないのかもしれません。
でもここで敢えてヘラ掛けを教えているのにも理由があるのです。
少し慣れるまでは手間がかかりますが、その分強い輝きを放つことが伝わればいいなと思っております。

 

藍蘭堂アクセサリー工房
http://aldkobo.com/