北米自由貿易協定(NAFTA=North American Free Trade Agreement)では、アメリカの企業が各国を訴えて、賠償金を勝ち取るという例が続出しました。
 まさに、途上国とのISDSではなく、アメリカとのISDSが大問題なのです。


 また、日米間のFTAについても、今は、交渉に臨むべきでないと思っています。過去の日米貿易交渉、貿易摩擦の歴史を思い返せば、そう思うのも自然ではないでしょうか?そして、今回TPP交渉に参加表明している9カ国のGDP(10年)を比較すると、実にアメリカが65%、日本が24%(他、オーストラリアが6%など)、つまり、日本にとって想定すべき交渉相手はまさにアメリカなのです。

 現に、アメリカはオーストラリアとのFTAを締結しましたが、オーストラリアの優れた医療制度を改革するように要求したり、自動車の運転(道路が反対なのを)をアメリカにあわせるように要求したり、俄かに信じられない要求をしています。

 TPPお化けと揶揄する方がいますが、残念ながら、TPPは実在するモンスターです。

 そして、このモンスターとの「交渉」という戦いで、勝利した実績があれば、それは、大いに頼りたいものですが、現実として、今までの交渉実績をつまびらかに直視した時に、残念ながら、尻込みしてしまうのは、至極、自然な反応であると思います。

 市場原理を標ぼうする方は、「淘汰されるべきものは淘汰されるのが自然だ」とおっしゃいますが、そこには国民の生活があり、その国民の生活を守りながら、時代の変化に対応していくのが政治の役割です。

 一方的に、何かを押し付けるのではなく、
目の前にある国民の皆様の生活を守りながら、しっかり国民の皆様の合意を得られる方向を模索することが、私達、政治の場に身を置いている者に課せられた命題だと思います。