主治医からの話は思った通りの内容。
火曜に血液検査とレントゲンを撮ってその結果を見て、母とふたりで説明を聞いた。血液検査は先週金曜は良くなっていた数値がたった4日でまた上がりかけていた。レントゲンも小さくなっていたのにまた元どおりの大きさに。
抗がん剤が全く効かないことはないが1週間と少ししか効いていない。20%増量したのに二、三日効果が伸びたくらい。
肺の腫瘍自体の大きさは最初とほとんど変わっていない。ただ骨の腫瘍が大きくなるのが止められない。強い強い痛みは骨からのもの。
事実父は酸素はしているものの、いまだ咳も出ないし痰も出ない。とにかく痛い。腕も痛くてものがうまく持てないし力が入らない。だから食事をするのが嫌になって、食欲も無くなってしまった。トイレも、助けがないとズボンの上げ下げが出来ない。痛くて力が入らないからここまで弱ってしまった。
なので次の抗がん剤は出来ない。出来ないから今まで以上に癌の進行は早くなるだろう。
母が余命を聞いた。
父の場合すぐにどうにかなる要素はない。でも癌になると、急に血管が詰まってしまうことがあって脳梗塞や心筋梗塞になってしまうことも多い。それがなくても、罹患してからの生存率を考えると、もって、あと一、二ヶ月ではないか。今の父の弱り方を見ていると、週単位で容態が変わっていくんじゃないか。

そして今後のことについては、当院で緩和ケアに移行するか、専門の病院に転院するか、在宅か。でも在宅になると、父は体がまだ大きいから難しいんじゃないか、と。
確かに父の体重は罹患した時と一切変わらず。先日車椅子を押していて段差を越えようとして腰を痛めてしまったこともあったし、確かに在宅は現実的じゃないかもしれない。母もなにかあった時に緊急に対応出来ないから在宅は怖い、とのことで在宅はなし。
この病院のままが父も安心するし転院の手間もないし、緩和専門の病院ではないが父が今まで頑張ってくれたからこのまま診ていくことも勿論出来る、と主治医は言ってくれたけれどなにしろ古くて狭い病院だから、母はもっと綺麗なところで父を看取りたいと言う。わたしとしても看護師でひとり嫌な感じの人がいて、父もその人に嫌な目にあわされているから他の病院がいいとも思う。
でも緩和専門の病院となると、本人にもう積極的治療はしないのだと告知してなければいけない。出来ないこともないが、いずれ気づいてしまうんじゃないか、と。
でも父に、抗がん剤は効いてなくて、体力がなくなってるから抗がん剤がもう出来ない、と伝えると、じゃあ体力を付けんといかんわけね、と頑張って、少しだけど食事をとりだしたので、これ以上は言えなかった。

おとといまでは父はほとんど眠っていて、まともに話ができることも少なかったから、わたしたちは勝手に緩和専門の病院に転院させるつもりだった。話しても話さなくてももうほとんど理解出来ないだろうと思ってたから。
でも昨日から父は明らかに変わった。
起きている時間が長くなった。辛そうな顔で項垂れていたのに背筋も伸びた。食事をとるようになった。まだ少ないけど。力はまだあまり入れられないけど、自分でちゃんと箸を持って食べられるようになった。なにしろ話がちゃんとできるようになった。たまに夢の中みたいなことも言うけど。トイレも助けられなくても出来る時がある。
薬が変わったからかもしれない。オキシコンチンからフェントステープになった。
こんなはっきりした父に緩和専門病院に行こうとは言えない。なにしろ、体力戻って抗がん剤が出来るようになるかもしれないという希望が、わたしにもあるし。
でも週単位だと言われているし、実際明日はどうなのか分からない。でも決められない。
どうすればいいんだろう。
とりあえず、明日緩和専門の病院に相談と下見に行く予定。

それと父の会社の問題もあり、頭が痛い。
個人経営の会社にしては仕事が大きすぎるみたいで、従業員が少ないがいることはいるが父がいなければ全然回せなかったらしい。しかも大きな仕事以外はまだ仕事を受けているらしく、今月の支払いは出来るけど来月は分からない、その時は父の給料分を支払いに回す、となっているらしい。
会社が売れるという話があったが、それは父を会長にして、という条件らしく父がノータッチならば買い手がないらしい。解散となるといろんなお金がかかり、そうなると家族にまで…みたいなことを事務員に言われた。
2週間くらいで父が急に悪くなってしまったから仕方がないんだけど、なんでこんなことでも悩まないといけないんだろう。
いろんな手続きを結構前から父が事務員に頼んでることがあったんだけどいまだしていなくて、そらはうちに関わることだから、父も何度も頼むんだけど事務員は分かりましたでも仕事が今忙しいから~と話をそらす感じだったので、改めてわたしからお願いしてみたらそこでようやくその手続きに必要なことを聞いてきた。今更それ聞く?みたいな。
他にもいろいろあり、事務員がいまいち信用出来ないし後々嫌なことになるのは嫌なのでさっき税理士に直接電話して事情を説明した。税理士と話し合う、と事務員は言っていたのに、税理士は寝耳に水という感じで父の容態について驚いていて、話し合いを今月中に設けてくれるらしい。連絡があるまで分からないけど、直接連絡してみて良かった。

にしても、自営だとこういうときほんっとに大変なんだと痛感。誰も悪くない、悪いのは病気なのに、苦しむのは本人と家族。それにこんな時にお金の心配をしなきゃいけないなんて。
なにより父が大きくした会社で、かなり順調でまだまだ大きく出来る、と頑張っていた会社が良くない方に進むかもしれないなんて可哀想だ。
人生は無情だ。

それにしても、父の体調が明日も今日くらいいいものでありますように。
うっかりとんでもなく長くなってしまって、いつも以上に支離滅裂な文章だけど、記録として。