馬券力向上クリニック
はじめまして。そして前のブログをご存知の方はお久しぶりです。
約2年の充電期間を置きましたが、気分を切り替えて新天地で馬券力向上クリニックを再開したいと思います。とりあえずは、リハビリのつもりで過去のエント リーをこの2年の状況をふまえながら校正していく事から始めたいと思います。そのうちに書き下ろしネタを追加していくつもりです。
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クリティカル・シンキング

夏競馬も終わったので、秋競馬と一緒に再開としましょう。まず最初は軽い話から。

Critical Thinking(CT)=批判的思考
ビジネスをやっている人ならば、なにかしら聞いたことのあるはずの言葉です。少し前に流行しました。

言葉だけ聞くとひねくれた考え方のように聞こえますが、ものごとを鵜呑みにせず、自分の頭の中でしっかりとした方法論に基づいて考えることです。そんなの当然だろう?と思うでしょう。意外と「しっかりとした方法論」では無いことが多いものです。

5W1Hってご存じですか?5Wってなんでしょう?
Why5回、という答えがこの場合の5W。そう、なぜなぜ5回。トヨタ式の改善の話で出てくるキーワードの一つです。なぜ?を5回問いつめていけば、真因(本当の原因)にたどり着くと言われています。

競馬とビジネスは違うから簡単にはいかない、という人がいるかもしれませんが逆じゃないですか?競馬だからこそ簡単にこういった事が実践できるはずなんです。仕事は、しがらみやら時間の拘束やら制限が多い状況の中で業務をこなす事が多い。その中でクリティカル・シンキングや5W1Hを実践するには強い意識を持って行動しないと難しいものです。

趣味の競馬だからこそ、しっかりとした方法論で考えて、真因までつきつめて考えてみたくありませんか?他人の話や本や雑誌で読んだ情報を鵜呑みにして、疑うことをせずに聞いたり書いてある方法論に安易に乗ってしまってませんか?自分が使っている方法論に「なぜ」「どうして」納得したのかを考えた事がありますか?なぜそうなるのかをじっくりつきつめて考えて納得してその方法論を使っていますか?

実は競馬の予想の場合、細かく分析をしていると言っている人程クリティカル・シンキングを実践できていない事が多いのです。なぜなら、ほとんどの人が他人の方法論(=予想の筋道)に乗ってしまっている上に、その方法論が「正しいかどうか」に疑問を抱かずに別の理由で納得して使っているからなのです。別の理由とは「過去の結果がいいから=よく当たるから」とか「○○が気に入っているから=自分に合っていると思うから」とかです。これって「きちんと当たるための予想をすること」の理由に全くならないですよね。

楽しんで予想をしているのだから、そこまで気にしなくったっていいじゃないか。

その通りです、それでも大いに結構。つきつめるだけが道では無いですしね。
でもそんな難しい事でもないんですよ。そうやって割と適当に決めているということを自分が認識するのも、クリティカル・シンキングなのですし。そう、「自分が時間をかけて頑張って当たるようにやってるのはいい加減な方法だ」と納得するのも大事な事なのです。問題なのは「まじめに細かくやってるから正しいんだ」と勘違いしていることです。いくら細かく時間をかけてやっても、根本がいい加減ならば出来上がった内容もいい加減なんです。

正直、自分はまだまだきちんとした方法論を使えているわけではありませんし、真因までたどり着いたとも思っていません。クリティカル・シンキングの大きな効果の一つに「相手が納得できるように、筋道だてた説明ができる」というものがあります。ここが色々疑られて見られていたり、誤解を受けたりする事自体が、やっぱりまだまだだといういい証拠です。導き出されている結論が間違っている事も結構ありますしね。

疑って見てもらえてる事自体、クリティカル・シンキングの普及に貢献してはいるようなのですけどね。

買うための予想と、勝つと考えている予想の違い

本命、穴の区別がつけられなければ、穴党の予想はできません。と、よく言われます。つまり、本命サイドの予想ができて初めて穴予想ができるのだ、と。

ギャンブル本などには本命サイドを購入するより、穴サイドを購入した方が最終的に儲かる、といった事が書かれています。穴党の中でも一部の人は本命サイドを買うより、穴サイドを買った方が回収率が高くなることを経験的に知っています。

競馬の結果はオッズに関係無く決まる、というさんざんここで告発(笑)して来た事を考えれば、本命、穴というのはオッズで決められるものであり、穴サイドを購入することは競馬の結果の予想とは関係無いということがわかります。つまりオッズを見たり、新聞の印を見ながら本命らしきモノを避けて穴を探す、という予想の方法は、スタート地点で既に間違っているのです。そういう人達は勝つ馬を考えることをする以前に「穴を選ぶための(=自分が買うための)競馬の予想」を行っていると言えます。

この予想の方法は、自分が来ると考えている予想を無視して、オッズに合わせて馬券を買っていると言えます。これは馬券力の低い人の買い方です。自分の考えに素直に従えないわけですから。本来あるべきなのは、オッズに影響を受けないで考える予想です。そもそも競馬の結果に関係ないものを使う事が無意味なわけですから。賭け事の基本として、他人と違うことをすることが大事なわけですから、他人が決めたオッズに従うことこそ、負ける方向に突き進んでいると言えます。

オッズを無視して買うことを割と簡単に実現する方法があります。おじいちゃんクラスの競馬ファンがたまにやっていることなのですが、競馬新聞の印欄を全部塗りつぶしてしまうのです。これで印=他人が来ると思っている可能性の高い馬を無視して予想ができます。

最初はかなり心許ないと思います。案外印に頼って予想をしている自分に気がつくでしょう。でも、本当の自分自身の予想はそこから始まり、本当の自分の考えにあわせた馬券購入もそこから始まるのです。印を見ないで買うことは、オッズを見ないで買うことに通じます。自分の予想の重みを考えて買う馬券力向上にもつながるのです。

最近は印のついていない新聞やネット新聞等もありますが、得てしてそういうのにはもっと怪しい「指数」などがついていて、かえって指数の盲信者となるといった悪影響を与えてしまう事もあるのでご注意を。

傾向を発見することと、仮説を検証すること

統計を使って傾向を発見することだけが分析だと思っていませんか?競馬の場合、統計を使って発見された傾向なんてほとんど間違いです。自ら考えた理論を検証する道具として統計を正しく使ってこそ、正しい傾向を発見できるのです。

因果関係という言葉がどうもしっくり来ていない方が結構いるようなので、その基本にある統計の使い方について説明してみます。

1.仮説をたてる
2.それを示すデータを元に、仮説が(正しい事を)検証する

統計は2.を手伝うためのツールです。(間違っている事を検証することが得てして多いのですが)つまり、1.の仮説無くして2.の検証をすることはできないのです。ただ、何も無いところから仮説をたてるのが厳しい場合に、次の方法が使われます。

0.データの傾向から、仮説を考える

最近もてはやされているデータマイニングは、まさに0.を実現するための方法です。ただし、0.だけでは何の意味も成さないのです。

例えば、POSデータなどをデータマイニングすることによって「雨の日は冷凍食品の売上が多い」という相関関係が出たとします。この相関関係を「分析結果」だと思う人がいますが、それは間違いです。例えばこれだけの情報で「雨の日に沢山冷凍食品を仕入れておけばいい」と判断してしまうと、間違いを招くことがあります。

この場合、2つのミスを犯す可能性があります。

一つ目は、因果関係を間違えるミスです。雨の日は実は顧客が少ない事を見越して店員がセール価格を出しているが故に冷凍食品がよく売れているのかもしれません。これは、雨の日が原因で、冷凍食品が売れるというのが結果だと単純に考えてしまった事によるミスです。

二つ目は、分析を見逃すミスです。実は雨の日が続いていたという事実を見逃し、その為に買い物を減らそうとした人達が冷凍食品を購入していたとすれば、単に一日だけ雨の日があっても売上は増えませんので、明日の天気予報だけを見て仕入れを増やすと失敗が起こります。

それでは、ミスをしない為には何が必要なのでしょうか。それが「因果関係の説明」になります。具体的には、なぜ雨の日に冷凍食品が売れるのか、その理由を「統計を使わずに」説明することです。それがしっかり説明できれば、いよいよ検証になります。例えばそれは、他の地域でも雨の日に冷凍食品が売れているかであったり、先月だけではなく他の月もそうであるのかを調べることであったりします。

競馬の場合、0.で傾向を発見しただけで小躍りしてそれをさも「分析結果だ」と思う人がとても多い。大事なのはその発見された傾向は「どういう理由でそうなったのか」を考える事です。その理由が原因と結果を結びつける理由であり、その理由が納得できるように説明できてはじめて「因果関係がある」と言えるのです。

因果関係の無い傾向を発見しても、それはそうなる理由が無い故に「たまたま」であり、継続的にその傾向が発生する保証はありません。よってその傾向を予想に使っても、次にそれがまた発生するとも言えないのです。つまり、当たらない予想となるわけです。

競馬で発見できる傾向は星の数程ありますが、明確に説明できる因果関係はそれほどありません。そういった状況の中でたったいくつかの傾向を発見したとしても、因果関係をしっかり説明できるものは少なく、さらにそれが競馬の結果に重要な要因と成りうるものになることはごくごくまれです。

それでも、それを探るのが競馬の予想の楽しみでもあるわけですけどね。

そこで前回の内容を考えてみましょう。武豊の勝率がだんだん下がってきて、連対率が落ちてきていること。サンデーの血統の濃い馬がだんだん減ってきていること。この2つの相関からあてずっぽうで考えられたものだったとしたらどうしますか?
そこで、検証をするわけです。さて、それをどうやって検証するかは、あなたが考えてみてください。そういう事を考えていくことが、多岐にわたる競馬の予想ファクターを複合的に考えていく基礎になっていきます。

武豊時代の終焉

たまには新しいネタを。

これはとある所で聞いて以来、持論として考えていることなんです。
ジョッキーの腕前には2種類あると考えています。一つは、マイナス最小化のジョッキー。もう一つはプラス最大化のジョッキー。

マイナス最小化のジョッキーは、とにかく馬の気分を損ねずに、馬の実力の100%を出すように騎乗します。つまり馬の邪魔を一切しないようにして馬の能力を最大限に発揮させるわけです。
プラス最大化のジョッキーは、能力が足りない馬でも自分の腕っぷしと騎乗能力でその馬の本来の能力に自分の能力をプラスさせて乗ります。これによって、ある程度の弱い馬でも勝たせることができます。

日本の芝の馬の血統はサンデーサイレンスによって牛耳られてきました。そのサンデーの血は正に「狂気の血」爆発するエネルギーを秘めてはいますが、その驚異の力は狂気の気性故に発揮されるわけです。

サンデーの子供の全盛時代は、マイナス最小化のジョッキーの実力が発揮される時代でした。狂気の気性をもつサンデーの馬の能力を損なわずに最大限の能力を発揮させることが、勝つための騎乗法だったわけです。このマイナス最小化のジョッキーの頂点が、武豊ジョッキーです。「反重力ブーツ」を履いているとか言われるぐらいに馬に負担を与えずにその馬の能力を最大限に発揮させる、まさにサンデーのためのジョッキーでした。

しかし、今やサンデーの孫の世代になってくるにつれて、その血は弱まり、狂気の血を制御する必要も薄れてきました。こういう時代になってくると、必要とされるのはプラス最大化のジョッキーです。能力差がそれほど無い馬でも、自分の能力をプラスすることの出来る騎手と馬が勝つ世の中になってきたわけです。
このプラス最大化のジョッキーは、内田、岩田をはじめとする地方出身のジョッキーです。彼らは自らの腕っぷし一つで弱い馬にパワーを与えて勝つことで、自分の道を切り開いてきました。

今後はより一層サンデーの血は薄まってきます。そして時代はプラス最大化のジョッキーの時代になってくるわけです。今、まさに私たちは武豊時代の終焉を見ているのではないでしょうか。

とまぁ理論を書いてきたのですが、いかがだったでしょうか?割と納得感ある説明に聞こえますか?

ストーリー的には間違ってないようにも聞こえますが、実際こういう話を聞いたら、まずは疑ってみてください。素直に信じて何も考えないのはダメですよ。まずは数字で検証、その上であらためて考えてみて欲しいのです。

この話のもう一つのポイントは、騎手と血統を一緒に考えたことです。競馬の予想というのは、とかく何か単独のファクターにとらわれすぎで、複合して考えることを忘れがちです。実は競馬の予想を考えることで本当に大事なのは、個々のファクターを極めるのではなく、数多くのファクターの重要度を見極めることが本当に精度の高い予想をするキーなのかもしれません。

この馬でしょうがない、と思った時の馬券購入

以前ディープインパクトのダービーの時期に書いた記事ですが、いい時期なので焼き直しをしてみました。

ブエナビスタでオークスはしょうがない。

こう思った方、馬券はどうしますか?
単勝?他の馬の複勝?それとも2~3着のワイド狙い?

こういう時こそ馬券力の見せ所です。

例えば、2着以下は全くわからん、ならば正々堂々とブエナビスタの単勝のオッズとブエナビスタからの馬単総流しのオッズを比べながら馬券を買えばいいと思います。そういう予想をしているわけなのですから。
でも、例えば2~3着に来そうな馬が5頭いたとします。その場合単純なのは3連単の1着ブエナ固定の5頭を2~3着に入れたフォーメーションです。これは20点。3連複ブエナビスタ1頭固定の5頭流し、これは10点。馬単1着ブエナビスタ固定の5頭流し、これは5点。

単純に考えた場合、上記の3種類ではどれがお得だと思いますか?

3連複は1着が決まっている場合にはあまり買う馬券ではありません。予想的に同値という考えからも、3連複と3連単には単純に6倍近いオッズの差があるわけですから、10点と20点では金額に倍しか差がつかないので、3連単が有利。(そもそも1着を固定できるのですから当たり前ですが)馬単と3連単では、金額で4倍多く馬単が買えますが、オッズで4倍の差がつくかです。さらにここで考えるのは「リスク」の問題です。馬単ならば、5頭のうち一頭が2着に来ればOKですが、必ず2着である必要があります。3連単ならば5頭のうち2頭が2着と3着に決まらなければなりません。

そこで、4倍とそのリスクを比較しながら、買い目を決めていくわけです。選んだ5頭がどの程度2~3着が確実なのか、それによります。この中の1頭ぐらいは2着に来そう、ならば馬単。まぁ全般的に2~3着だと思うならば3連単。わからない場合は、オッズを参考に比較。方法は複数あります。

オッズに頼る愚を犯したくないのであれば、自分の予想の確度についてもう少し細かく判断をしなければ馬券の種類を決められません。つまり、その5頭に優劣をつけることになるわけです。こうやって、予想を見直した上でまた買い目の考え方に戻る。それでもまだ納得できなければ、また予想に戻ればいいわけです。予想→買い目→予想→買い目というスパイラルをすることは、自分の予想をより正しく表そうとしている事に他なりません。
ずーっと予想だけだと、買い目で失敗をする可能性が高くなります。予想をしたらすぐに買い目に置きなおして考えてみることはとても大事なのです。

G1といった特殊なレースはみんなじっくり考えていますので、こういった繰り返しをゆっくり事前に考えられます。いちいち朝の1Rからこれをやっていったら疲れてしまいそうな気がしますが、慣れてくれば上記の事など一瞬で考えられます。基礎は、予想的に同値である馬券の比較です。でもそれではあまりにも馬券の幅が狭くなってしまいます。そこで、発生確率の見直しとオッズによって選べる幅を広くして比較を行えばいいわけです。

ここまで説明すると、よく使われる◎ー○ー▲ー△がいかに都合よく馬券が当たったフリをするのに有利な記号かがわかりますよね。「◎ー▲で馬単万馬券的中!」こんなの論外です。何頭ボックスで買えばいいんでしょうか?この印から予想的に同値な馬券ってどういう形になるんでしょうか?
こういった印は正に「思考停止ワード」に他なりません。印によってなんとなくみんな共通のイメージを持っているように見えますが、それが必ずしも全員一致の認識ではなかったりするどころか、同じ人だったとしても常に同じ認識で使われないのです。どちらかと言えば、その人、その場所で都合よく解釈して使われています。例えばブエナビスタに○を打った人がブエナビスタが優勝しても的中!とは恥ずかしくて言い辛いのに対して、大穴の馬に○を打って、それが勝った時には的中!と大自慢という事がよくありますよね。この印の持つ意味が時と場合によって変化しているのがこの例でもよくわかると思います。

正に「わかりやすい」という理由で思考停止を誘発しているわけです。これについては、また別の機会にじっくり書いてみたいと思います。
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