【コラボ名】 PIKA*Chu
【リレータイトル】 秘めやかな想い
【更新予定日時】 毎週月曜 23時
各章を二週間で終了しながら次の章に進む予定です。
長くなった章は、同週木曜23時にも更新がありますので、お楽しみ下さいませ、


我が家の半年記念がきっかけでご一緒させて頂く事に相成りました。
内容は以前から二人で盛り上げっておりました【暗く切ない桃色な蓮キョ】です。
第一章から始まり、第五章での完結を予定しております。









***








輪郭を確かめるように、唇で触れる。


髪に。
耳に。
頬に。
首筋。

震える身体で最大限の威嚇をするキョーコの唇に、己が欲を押し付けた。
夢にまで見た、と言っても決して過言ではないだろう。
薄く、柔らかな唇。
触れるだけでも、背骨の奥が歓喜に軋み異音を立てているような錯覚に陥る。

彼女の顔を固定した手の力強さが嘘かのように、触れ合う唇は羽根のように柔らかだった。
何度も、何度も、何度も。
ただ触れるだけの口付けをして、キョーコの奥歯に残る強張りを解きほぐす。

強固な姿勢を取られたままだと・・・・・
今の蓮は自分自身が何をするのか分からない。

「ねぇ、最上さん・・・・・誰に、抱きしめられたいの・・・・・・」

祈りにもにた囁きは、涙顔の女神に呆気なく拒絶される。
ふるふると横に行きかう首の動きを制して、触れるだけだった唇に更なる圧を掛け啄ばむように刺激を与える。
息苦しくなったのか、餌を求める雛のように閉ざされていた唇が薄く開く。
そこに漬け込まない男などいないだろう。

一拳分空いていた身体の距離をゼロにして、抱きすくめる。
無理なつま先立ちの姿勢が項を奏したのか、キョーコ自身にとっては最悪なことに重心が前のめりになり、蓮に凭れ掛かる体勢になってしまった。
驚きに身を竦ませるキョーコの咥内に侵入してくる、蓮の舌。
キョーコの顔を固定していた手は疾うに外されて、背中にある。
蓮のシャツを握りしてていた手は、抗議の意を唱えるかのように、シャツ越しに蓮の肌に爪を食い込ませていた。
その痛みですら、背中を駆ける歓喜の増幅剤にしかならないのは・・・・・きっと彼女は知りえない。

ぴったりと、はしたない程に重なり合った二人の唇。
欲のままに蹂躙されているのか。
欲を受け入れ快感を共にしているのか。
それは唇と唇、舌と舌をすり合わせている当の本人達に分からない。

「・・・ぅんぅ・・・・・ぁ・・・っ・・・・」

漏れ出る音は、呻くようなキョーコの声と・・・・・どちらともない水音だけ。
夢にまで見た行為は、辛らつな現実となって襲い掛かるが・・・・
一度入ってしまった雄のスイッチを止めることなど、好きな女を抱きしめている男には出来なかった。
そして囁く声は、最早祈り。

「ねぇ、お願いだから。応えて・・・・キョーコ」
「・・・・ぅぅん・・・・つ、るが、さん、だけ、には・・・・おしえられな・・・ぃ・・・」

繰り返される拒絶の言葉は、二人の咥内に消えていった。
首の根をなぞり上げられ、漏らす声は幼い欲望に染まっていることを伝えているのに。
細い腕が背中に回って、必死に縋るように爪を立てているのに。
キョーコ自身の意志は、蓮を頑なに拒絶する。

衣類に隠されたキョーコの柔肌を蹂躙すべく手を伸ばしたとき。
震えたのは、蓮のジャケットに潜めておいた携帯電話。
ただの連絡を告げる振動ごときに・・・・
二人が染められていた形容し難い空気は霧散する。

バッ・・・・・と、勢い良く翻されたキョーコの身体を、携帯に気をとられた蓮は捕まえることが出来なかった。
逃げるように、とういう表現が一番適切であろうキョーコの行動は、誰の目に見ても予想の範囲内だった。
当人と、蓮を除いては・・・・・・




「ごめ、んなさい・・・・・・」





部屋を出る寸前、落ちた涙色の一言は・・・・・
蓮の心に突き刺さる。
頭から冷や水を被せられたかのような衝撃が駆け抜けるが、先刻の比ではない。

「ごめんなさい、か」

キョーコを押し付けていた壁に、今度は自身の背中を押し付けて天を仰ぐ。
拒絶に拒絶を重ね、それでも歯をたてることなく、唇を受け入れ、蹂躙を受け入れていたキョーコ。
暴力的なまでの艶やかな姿を脳裏に浮かべ、終息したかのように思えた熱が再発する。
滑稽で情けないほどに、純粋な欲望。

「俺こそ、ごめんなさいだよ」

それは先程の行為に対してではなく。
思い知らされた欲望の先に対して。

一度覚えてしまったあの快感を手放すことなんて出来やしない。
それを黙って待つことですら耐えがたい。




 
           だから、ごめんね。
           キミを、オレの、モノにしたい。
    




決意する男の顔は、自嘲に満ちていた。
そして、決意に満ちていた。













web拍手 by FC2

微桃ってなんだろう・・・・・orz