Aug 10.Los





















3年経とうが、彼女を愛する気持ちは変わらない。

神様のまえで永遠の誓いをする、と約束取り付けたあの日より、もっともっと前。


俺はキョーコとの幸せを形にしようと必死だった。


彼女の好きそうなプロポーズを考えて。

彼女と昔見て笑いあった映画のワンシーンの「給料3か月分」のエンゲージリングも用意して。

彼女の笑顔が見たくて・・・

彼女との未来が欲しくて・・・



彼女の生まれた特別な日にポロポーズをして、家族になる準備をするはずだった。











・・・・・断られてしまった時には、目の前が真っ暗になったけど。












俺を殺せるのはキョーコだけだ、と認識し、彼女なしでの世界は考えられない確実なものとなった。

そこから半年間、何度も何度もプロポーズしては断られるという、パターンを繰り返して・・・


堪えきれなくなった俺を受け止めてくれたのは、優しい彼女。

抱えていた不安を取り除くことが出来なかったのは知っていた。


ただそんなものは月日と共に解消できるはずだと楽観視していたのは、愚かな俺。

結局は自分自身も不安に絡め取られ愚行に走った。



幸せが溢れ出る、あの生活は虚像ではなく、事実。

だからこそ、キョーコに縋り付き、今度こそ本当の幸せに彼女を浸そう。

今回の唯一の成果は、あの忌々しい書類がキョーコの手から離れたこと。





長時間のフライトは、短期間に何度もするものではない。

ファーストクラスだろうが、なんだろうが、筋肉が悲鳴を上げているのは事実であり、不快だ。

空港から出て、携帯の電源を入れると不在着信の知らせがあった。

キョーコ!!と思って見てみると・・・それは件の女性からもので、眉を顰める。

思い上がった赤毛の女性からの知らせは、不快感を増長させる以外のなにものでもなかった。

一日だけ食事に付き合って、誘惑の眼差しを、酷く冷たく切り捨ててやったというのに・・・

面の皮が厚いというか、なんというか、顔も思い出せない女性に思考を奪われ掛けたたことに苛立つ。

軽く舌打ちをして、郊外へと向かう足で乱暴に床を蹴り上げた。













愛すべきキョーコはどこにいるのだろう。




大好きな、ビバリーヒルズの公園?


お気に入りの、カフェかレストラン?


それとも、永遠を誓ったあの教会?





どこも行きそうだ、と考えて、一通り回ろうと決める。

こんな状況でも、キョーコに会える、と思うだけで心が躍る。

世界中に愛を叫ぶことすら、出来る気がする。













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探すポイントは、眩暈がするほど幸せに浸った場所。

きっと彼女はそこで、待っている。











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アメンバー申請時に頂くメッセージでこれでもか!!っと言うほど、嘘つきパラダイスの蓮さんは嫌われていますw

愛を試す行為は褒められたもんじゃないけど、やってしまうよね。

・・・なーんて軽い気持ちだったあたしには衝撃でしたww