近くで。 | 光をあびて

近くで。

ムギが目を開けるようになってきた。
あの特徴のある顔で私を見てる。
ゾッとした。
いつかママと呼ばれる日が来ると思ったら
とても嫌だった。

そんな事を考えていたら同じ空間にいるのも
顔を見るのも嫌になって、看護士に世話を頼んだ。

そしたら、とても楽になった。
全くかわいく感じない訳じゃない。
ただ、あの顔がとにかく嫌。
耐えられない。

しばらくしてパパがきた。
ムギが目を開けた姿がみたいと。
私は見せたくなくて、今一緒にいたくないからと断った。
とても残念そうにされた。
でも、あの顔を見せたくなかった。

夕方になって、子供達を保育園まで
迎えに行くと出て行ったパパ。

「目を開けた顔がみたい」

そう言ってたのが忘れられない。
ムギの様子を見に行くと、
スヤスヤ寝てる。
聞いてみると、次は18時頃ミルクと。
時間的にちょうどか…
そう思って連れてきた。
子供達も近くで見てないしね。

園から帰って来た子供達は
部屋にいるムギを見て大興奮!
かわいい、かわいいと言って大騒ぎ。
この子が普通に生まれてくれたら
どんなに良かっただろう。
そんな事ばかり考えてました。

ミルクの時間が近づいてモゾモゾし始めたムギ。
相変わらず泣きもせず、口をパクパクするだけ。
少し嫌になっていたところへ看護士が
ミルクを作って来てくれた。

すると、リョウが僕があげるとうるさい。
世話がしたくてしょうがないらしい。
看護士が一緒にあげようと手伝ってくれた。
リョウも満足そう。

そこへムギの目が開いた。
パパや子供達は興味深々。
そして…

そう聞いてるからそう見えるけど
知らなかったら分からないよ。
そう言ってた。