山形県が保有し、使い道がないまま放置されている遊休地が40ヘクタールを超え、県は対策に頭を痛めている。遊休地は県立高校の統合再編、県部局や外郭団体の統廃合に伴って加速度的に拡大した。行政改革を進めた結果、かえって「無駄」が膨らむという皮肉な現象。県は売却処分を含む活用策に知恵を絞るが、名案を見いだせずにいる。


 県管財課は先月上旬、山形市中心部に近い県農業試験場の農地跡地約3200平方メートルの入札を実施した。売却額は約2億円を見込んだが、応札はゼロ。事前の説明会には住宅メーカーなど13社が参加しただけに、担当者の落胆は大きかった。


 2006年度末時点で、貸し付けや売却ができる県の普通財産は123ヘクタール。公舎や警察アパートなどで活用中の土地を除くと約85ヘクタールになる。半分近くは市町村やNPOに貸しているが、残りの107件44ヘクタールは、使途がないまま、たなざらしになっている。


 遊休地は行革で廃止された農業改良普及所や保健所、駐在所が多かったが、ここ数年は県立高校の統合再編で発生した校舎や校庭の跡地が目立つようになった。


 学校だけに面積は広い。旧新庄工高は約4.4ヘクタール、旧上山農高は農地を含め約11ヘクタールにも上る。1993年以降、分校を含む7校が閉校しており、23ヘクタールの遊休地が発生した。


 県教委は酒田市内の公立高4校の統合を目指すなど、村山、庄内、置賜の各地方で再編協議が進行中。このまま跡地利用が進まないと将来、地方都市の中心部に広大な遊休地が生じるのは必至だ。


 かつて県の遊休地は、市町村に公共施設用地として売るケースが多かったが、市町村も軒並み財政難に陥っている。ハコものや公園の整備は凍結状態で「購入に手を挙げる自治体はどこもない」(県管財課)。県庁各部局の協議でも「『土地がある』という話ばかりで、使う話が出てこない」(同)という。


 貴重な公共財であることから、県議会でも「塩漬け状態の土地をさらしておくことは、山形県の暗いイメージにつながる」(ある県議)と、問題視する空気が強まっている。


 県管財課の結城進課長は「努力はしているが、地方は景気低迷で土地が流動化せず、情勢は厳しい。PR策を勉強し、売却処分に向けた取り組みを強化したい」と厳しい表情で話した。

2007年12月21日金曜日