全販売農家に拡大 推進プランの素案提示

 県が今年度から重点施策としている「日本一健康な土づくり運動」で、推進本部(本部長・田村優一県農林水産部長)の第2回会議が25日、青森市で開かれ、2011年度の目標値を盛り込んだ推進プラン素案を検討した。

素案は県が作成し初めて示され、エコファーマーやクリーンライス栽培者らを本県独自に「土づくりファーマー」と総称、現状(06年度)の約1万7000人から県内すべての販売農家(4万6000人)に広げるとしている。


 会議では委員から「何をもって『日本一』とするのか不明確」(大手量販店)と指摘が出され、県は「全販売農家が土作りに取り組んでいる状態」(農林水産部)との考えを示した。

 土づくりファーマーは、

(1)エコファーマー

(2)青森クリーンライス

(3)特別栽培農産物

(4)JAS法に基づく農産物

(5)(1)―(4)以外で土壌改良に取り組む―のいずれかに当てはまる生産者と定義される。

今回の議論を基に、年内に策定する推進プランに沿って、各県民局が今年度内に行動計画を策定し、育成に取り組む。

 農家の高齢化などによる労働力不足で、土作りへの意欲や地力の低下が懸念されており、作業を請け負う組織と土壌診断の体制整備が急務となっている。

 また、現状では稼働率が50%にとどまる県内148カ所の堆肥センターの利用促進も大きな課題となっている。

 このため素案には、▽農協営農指導員や普及指導員を対象とした土作り技術研修会▽農協グループによる広域土壌分析センターの整備▽耕畜連携による稲わら循環システムの構築▽稲わら収集やすき込みを行う作業集団の育成▽有機農業技術の実証と確立―などを盛り込んだ。

 目標値は土づくりファーマーのほか、堆肥センター利用率70%、土作り作業組織280(現状86)、GAP(適正農業規範)導入組織92(同3)、有機農業等の取り組み面積3万7千ヘクタール(同約1万2千ヘクタール)―と設定している。

 会議では、委員から「土壌診断を活用する生産者が少ないと聞く。診断結果を生かせる人材育成が必要」(有識者)との指摘や、「土作りが農産物価格に反映されなければ、取り組みが進まないのではないか」(市町村)という懸念も出された。