除草剤を使わない米作りにこだわってきた栄町の新海秀次さん(65)が今年、冬期湛水(たんすい)と田植え後の深水管理に機械除草1回を組み合わせた方法で、大きな効果を挙げた。「20年やってきて今年ほどうまくいった年はない」と大満足。自宅横の1枚2ヘクタールの田んぼは、周囲が驚くほど草が少なかった。


 除草機は、6条植え田植機に昔の「田ぐるま」をメーカーに注文して付けた。田植え後、最低でも8センチに深水管理。いったん落水し、除草機をかける。どろどろの水が動いて細いヒエなどの雑草が土の中に埋まる。埋まらない草もその後の20センチくらいの深水で抑える。


 半不耕起の田んぼは、代かき用ドライブハローを使ってコンバインで荒れた田面をならす程度。中苗を使い、少々の草は放置する。除草機を使うタイミングはあるが、しっかりした稲なら、草の成長に負けないという。


 除草剤を使わない米作りは、手押し除草機の時代から工夫してきた。動力除草機からアイガモ、紙マルチと試み、自宅横の2ヘクタールの田んぼは何年もかかって自分で1枚に整備した。除草機を使えば、2ヘクタールが半日で済む。


 井戸を掘り、冬水田んぼにして4年目。肥料は米ぬかともみ殻、おからで堆肥(たいひ)を作って投入し、化学肥料・農薬は使わない。これらの組み合わせで「除草にはめどがついた」と自信を持つ。


 借地も合わせて約20ヘクタールの大規模経営だが、15年前に近隣では初めてハクチョウ6羽が飛来した約2ヘクタールも冬期湛水し、除草剤も農薬も使わない。


 残りの田んぼも半不耕起で除草剤は1回だけ。無農薬で化学肥料も必要な場合に限っている。自宅横の田んぼには渡り鳥も飛来し、自宅脇の池にカワセミもやってくる。新海さんは「付き合いの長い個人や生協があるので、除草剤・農薬を使わなくても1俵(60キロ)2万円以上では売れない。10アールで平均8俵近くとれば、2万円なら何とかなる」と話す。


掲載日:07-10-11 日本農業新聞