消費者の半数近くが食品表示を分かりやすくしてほしいと要望していることが、農林漁業金融公庫の調査で明らかになった。全体の93%が生鮮食品や加工食品を購入する際に食品表示を確認していると回答するなど、食の安全・安心への関心が高まるなか、表示への不満が浮き彫りになった形だ。


 調査によると、生鮮食品と加工食品ともに、安全性の判断基準が2002年度に実施した前回調査に比べて厳しい傾向にある。生鮮食品の安全性を判断するときに重視する回答のうち、「賞味期限、品質保持期間」(20・1%)、「原材料、添加物」(9・2%)「生産者や製造業者」(8・3%)が前回調査よりもポイントが上昇。

同様に加工食品では「産地」(11・4%)、「色つや・包装などの見た目」(8・0%)がアップした。


 また、食品に記載されている表示については「分かりやすい言葉を使ってほしい」が48・5%、「文字を見やすくしてほしい」が42・3%で、多くが現在の表示に不満をもっていることが分かった。


 一方、過去3年間(コメや野菜は2年間)に農薬と化学肥料を使わない農地で栽培した「有機JAS認証」表示の農産物を購入したいとの回答は67・6%。同様に農薬や化学肥料の双方を通常の半分にした「特別栽培農産物」の購入希望は66・1%だった。


 ただ、購入する場合の通常農産物との価格差は、「1割高までなら」が有機JAS認証農産物で45・5%、特別栽培農産物で46・1%。有機栽培農産物などは生産コストがかさむが、消費者が許容できるのは「1割高まで」と、生産者には手厳しい結果になった。


 「有機栽培JAS認証マーク」を「まだ見たことがない消費者」は59・7%、意味を知らない人は78・3%だった。特別栽培農産物も68・4%が知らないと回答。さらに、食品製造工程が高い衛生管理基準を満たしている工場であることを示す「HACCP」(危害分析損害分岐点)の認証については82・2%の人が知らなかった。


 半面、「有機JAS認証マーク」や「特別栽培」について、「信頼できる」「多少は信頼できる」の回答は、それぞれ92・3%、93・0%。


 現在、こうした環境にやさしい食品を意識して購入している人は2・5%にすぎないが、「今後環境に貢献する食品を購入したい」に、「できるだけ購入するようにしたい」を含めると56・7%を占めており、同公庫では「店頭での説明ポスターなどを増やすなどしてマークの認知度を高めれば普及する可能性がある」との見方をしている。


 今回の調査は、全国の20~60代の男女約2000人を対象にインターネットを通じて実施した。


農林漁業金融公庫調べ
2007/10/3 フジサンケイビジネスアイ