盛岡市の農家などで構成する民間団体が、本年度から西和賀町の遊休農地を活用してワラビと菜の花の有機栽培を始める。

遊休農地は同町の農家から借り上げ、会員の農家に割り当てられた減反(生産調整)の土地として利用。

栽培には知的障害がある人たちも協力する。

耕作放棄されている農地の新たな活用形態として注目を集めそうだ。

 栽培を始めるのは、市内外の生産者や飲食店、福祉施設などによる任意団体「朝陽園(ちょうようえん) 秋香舎(しゅうこうしゃ)」(加藤久雄会長)。

栽培と加工、流通それぞれの関係者が連携して有機農業に取り組もうと、今年3月に発足した。

 会員の農家は盛岡地区でコメの有機栽培に取り組む。同地区で安定した生産を続けるため、減反地として遊休農地が増加している西和賀町の農家から土地を借用する。借地の場合も減反の対象となる。

 借用した農地では、西和賀町特産のワラビと、景観作物としても利用できる菜の花を栽培。

収穫したワラビは生のほか、干しワラビに加工して同町の産直や盛岡市の飲食店などに出荷する。

 菜の花は菜種を採取し、菜種油に加工。油脂や搾りかすも家畜の飼料や堆肥(たいひ)に活用する。

 栽培や加工には、両市町の知的障害者施設利用者が協力。

行政や農協、盛岡市の東北農業研究センターも技術指導に当たるほか、流通関係者が地域内外への販路を確保。生産から消費までを一体化した中山間地型の有機農業確立を目指す。

 事業は農水省の農村コミュニティ再生・活性化事業の補助金を受けて実施。

本年度は西和賀町沢内の遊休農地でワラビ、菜の花それぞれ15アールずつ栽培し、16日は菜の花、今月下旬にはワラビを初めて作付けする。来年度以降は作付面積を広げ、収穫量も増やす予定だ。

 加藤会長は「西和賀地区をモデルに、遊休農地の活用や作物の流通方法など新しい方向性を示して地域の活性化につなげたい」と意欲を見せる。

(2007/09/16)岩手日報