中村 哲
ほんとうのアフガニスタン―18年間“闘う平和主義”をつらぬいてきた医師の現場報告

hoshi4


【目次】

いのちの闘い―アフガニスタンの十八年(私とらい(ハンセン病)との出会い
ソ連侵攻とアフガン戦争の主な戦場は農村だった ほか)
ほんとうのアフガニスタンが知りたい―講演会場のQ&Aから(日本の自衛隊派遣について北部同盟のカブール解放 ほか)
日本人にいま何ができるか(夜にはだれもいなくなる難民キャンプ
早急な民主主義化はアフガンを潰す愚策 ほか)
最悪の試練に―ともに生きつづけます



 そういえばアフガニスタン情勢って、どうなってるんだろう。

 なんとなく気になって、この本を読んでみました。著者は一時期テレビにひっぱりだこだった、アフガニスタンで医療活動をおこなっている中村哲さん。その彼の、アフガン空爆後の講演などをまとめたのが本書です。


 彼の率いる「ペシャワール会」の活動は、とにかくタフ!中村さんの本職は医者ですが、ただ医療活動をするだけではなく、重症のハンセン病患者に特別なサンダルが必要となれば、自分たちでそれを設計して小さな工場まで作ってしまう。下痢を治療するのも大事だけど、下痢にならないきれいな水の出る井戸が必要となれば、それも自分たちで掘ってしまう。井戸掘りの最中に大きな石を割る必要があれば、そこらじゅうに散らばっている地雷から火薬だけを抜き取って、ちゃっかり利用してしまう。地面を掘る工具がなければ旧ソ連が捨てていった戦車のキャタピラをつるはしにしてしまう。などなど。


 そのほかにも、マスコミからはあまり知ることのできない、ほんとうのアフガニスタンも随所に出てきます。アフガニスタンの人々のためではなく、ひたすらマスコミうけや自国への宣伝ばかりをねらう、資金の潤沢な有力NGO団体や、タリバン政権下でもテレビやラジオや凧あげを楽しむ人々、アメリカの爆撃に途方にくれるアフガンの人々、などなど。(そういえば空爆でアフガニスタンが「開放」された直後のニュース番組では、人々が禁止されていたTVを楽しんだり凧揚げに興じたりといった映像が無批判に垂れ流されてたけど、だいたい、タリバンがいなくなったとたんにテレビやラジオや凧が町中にあふれるわけがないじゃないか!)

 アフガニスタン報道が一段落したいまこそ、読んでみる価値のある本だとおもいます。

ペシャワール会

 http://www1a.biglobe.ne.jp/peshawar/