リチャード ベル, Richard Bell, 医王 秀行
コーラン入門

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タイトルをみて、単純にコーランの思想やイスラム教の教えについて解説した本かと思ったら、ちょっと違いました。

この本は、コーランの書かれた時代背景や、コーランの文献学的な分析結果について書かれた学術書です。

本書によると、コーランの文章を詳細に分析すると、文章が間違った順序で配置されている個所や、キリスト教の影響が強く反映されている個所、ムハンマド(モハメット)の思想の変化が読み取れる個所などがいくつもあるということでした。そして本書では、それらを豊富な実例(コーランからの引用)によって詳細に示していました。

本書は、これまでなんとなくコーランには終始一貫したイスラムの教えが書かれているんだろうなぁと漠然と思っていた私にとっては、ちょっとした驚きでした。

ps.
この本のような文献学的な解説書ではなくて、純粋にコーランの思想やイスラムの教えについての解説書であれば、井筒俊彦氏の「コーランを読む」(岩波書店)がおすすめです。