※いくつか本編のシーンについて言及しています。観る予定がある人はご了承ください。そして、個人的な意見を言えば、観る予定の人は予定を変えた方がいいと思います。

「オンリー・ゴッド」がクソ映画だったと書いたが、まさか数日のうちに同レベル、いや、もっとすごいかもしれないクソ映画と遭遇することになるとは思わなかった。
「オンリー・ゴッド」のクソさがどうしようもない脚本、演出、映像の暗さにあったことに対し、この「Wake Up, Girls!」はそもそも演技や作画、脚本のレベルの低さにある。厳しく言ってしまえばばこれは金を取るレベルまで達していない完成度だということだ。
内容でのクソさは「オンリー・ゴッド」が群を抜いていると思うが、完成度の意味でこの作品よりひどい作品はそうそうお目にかかれないのではないだろうか。

まぁ、演技は許そう。百歩譲って。

だが、脚本のひどさたるや。テレビアニメが同時期にやっている(知らなかったが)こともあってか、ストーリーの核となる部分が一切明かされない。全く消化不良だ。こんな構成で観客は何を観たらいいのか。

仙台でアイドルグループを作ろう、というストーリーはいい。ただ、その内容が陳腐過ぎる。寄せ集めのアイドルたちの設定がどうしようもなく浅い。そしてアイドルという客商売に対する認識の甘さばかりが目立つ。

何が「自分自身を幸せにするためにアイドルをやります」だ。そりゃそうかもしれないが、それを口に出されると現実なら「じゃあ勝手にやっててください」とファンなどつかないだろう。
今、一生懸命頑張っているアイドルの人たちに対してとことん失礼な内容としか言えない。

歌うシーンがあるが、それも下手くそ。それなのに「彼女だと思った」のようなことが言えるのだろうか。全くもって説得力がない。こういうシーンを入れるのであれば、その覚悟を持ってキャスティングするべきだ。そして、脚本としては書かない方がいい。

脚本のクソっぷりは半端じゃない。そういった伏線が回収されない上に大して起伏がなく、よくわからない程度のことで皆が悩み、何か知らないけど急に怒り出し、いつの間にか「その程度だったの?」って思うほど拍子抜けする理由で仲良くなる。もう何が何だかわからない。
そして適度にアイドル業をなめた発言を芸能会社社長もアイドルを目指している本人たちもし始める。こんな奴らが売れるなら全国誰でもアイドルだ。

あげくの果てに「ああ、見せパン必要だったね」とかマネージャーがのたまう。その展開でゲロを吐きそうなくらいプロ意識がないのに、「いいよ、サービスサービス」って言い出すビッチども。そして不要なパンチラシーンが挿入されるが、こっちとしては「もう早く終わってくれ」と思っているのと、彼女たちに思い入れが一切なくなっているので萎えるだけ。
男の観客に媚び過ぎな発想な上に、「パンツ見せとけば喜ぶでしょ」という制作側の浅はかさも見えてただただ不愉快だ。

作画もひどい。背景に人がいることがまずない。背景の絵に話をする人が出て来るだけ。一昔前のエロゲーの画面のよう(とは言ってもやったことあんまないからよく知らないが)な動画が延々続く。構図の工夫もない。

あと、作られる曲が安っぽい。パソコンの打ち込みだろ、っていう音の軽さ。
全体的に「女の子いっぱい出してパンチラで歌わせたら、推しキャラとか出来て、グッズ売れるし、CD売れるし最高じゃね?」っていう発想の貧困さから生まれた作品としか思えない。低予算で金を稼ぎたい感満載である。

つまり、本当にクソ映画なのだ。脚本はもう壊滅的にひどい。作画もクソ。制作側の発想の汚さが透けて見える。キャラクターが立っていない。特に芸能会社の社長がクソ。

日本のアニメ映画は子ども向け以外、ある程度の水準に達していると思っていたが、まさかこんなクソい映画が作られるとは、と驚いた。救いなのは上映時間が60分ほどであること。それでも個人的には180分くらい座り続けたくらい疲れたし長く感じた。
こんな体験がしたい人にはおすすめだ。