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リアルタイムPCR法による歯周病原因菌のDNA検査を臨床にどう生かすか?

メモ遺伝子解析の基礎

・遺伝子とは何か?
・PCRとは?
・診断に関する意義:PCRの有用性
・PCRを行うためには?

クリップDNAとは?

DNAデオキシリボ核酸は長い鎖のような分子。鎖にタンパク質の設計図がいくつも組み込まれている。設計図の文字に当たるものが4種類の塩基、アデニンA、グアニンG、シトシンC、チミンT。DNA上で特定の順番に並び3つずつの組み合わせ(塩基配列)で1つのアミノ酸を示す暗号(コドン)になっている。アミノ酸が組み合わさりタンパク質が出来上がる。タンパク質が体の一部や酵素となり体の機能を調節する。

東京マイクロスコープ顕微鏡歯科☆オーラルハイジニストnaomi-DNAと遺伝子


クリップ遺伝子とは?

DNA上にあるタンパク質の設計図の単位。DNAの所々に遺伝子という機能を果たす塩基配列が存在している。エクソン(タンパク質の設計図)とイントロン(設計図以外の部分)が交互に繋がる。
全ての遺伝子はDNA上に存在しているが遺伝子となる領域はわずか5%と言われている。

クリップ細胞の基本構造

$東京マイクロスコープ顕微鏡歯科☆オーラルハイジニストnaomi


クリップ細菌のどの部分をターゲットにして遺伝子を増殖させるのか?

ターゲットは細菌のリボゾームRNA。
リボゾームはタンパク合成を行う器官である。
リボゾームはリボゾームRNAとリボゾームタンパク質の複合体である大小2つのサブユニットからなり、それぞれのサブユニットは遠心力をかけた時の沈降速度によって名付けられている。沈降速度に使われる単位はスベドリベ(Svedberg以下S)でSが大きいほど沈降速度が速い。

ジスロマックは50Sサブユニットと結合しタンパク合成を阻害

クリップ細菌のどの部分をターゲットにして遺伝子を増幅させるのか?

ターゲットは細菌の16SリボゾームRNA
〈理由〉
全ての遺伝子配列をターゲットにすることは不可能
分子の解析が可能な範囲は一般的な技術水準からも限られる。
種の同定(独立性)のためには分析する遺伝子が以下の必要条件を満たせばよいと考えられる。
1.普遍的な機能を持つ
2.異種間で転写されない
3.種の違いを示す適当な差異をもつ
4.過去の進化(変異)の過程を類推するのに十分量の情報がある

以上の条件にかなうのが現在のところ16SリボゾームRNAもしくは23SリボゾームRNAである。
5SリボゾームRNAでは情報量が少なすぎて上記の条件を満たすには不十分。逆にDNAでは情報量が大き過ぎ分析が容易ではなく、また個体間の差異が大きいため適さない。
16SリボゾームRNAもしくは23SリボゾームRNAのどちらでもバクテリアの検出や種の違いを識別に有用と考えられるが16SリボゾームRNAが最も取り扱いが容易なことから汎用される。

メモヌクレオチド

DNAやRNAの構成成分。

クリップオリゴヌクレオチド

およそ20塩基対かそれ以下の短いヌクレオチド(DNAまたはRNA)の配列である。自動合成装置によって、160から200塩基対程度のオリゴヌクレオチドは自動的に合成できる。ヌクレオチドは相補的なヌクレオチドと結合する性質があるので、オリゴヌクレオチドは相補的DNAまたはRNAを検出するプローブとして使われる。

クリップPCRを行うための基本的な構成品

・鋳型となる二本鎖DNA
・一本鎖オリゴヌクレオチド(Primer)
・ヌクレオチド
・DNAポリメラーゼ
・二価イオン

DNA ポリメラーゼ (DNA polymerase; -ポリメレース) は1本鎖の核酸を鋳型として、それに相補的な塩基配列を持つ DNA 鎖を合成する酵素の総称。一部のウイルスを除くすべての生物に幅広く存在する。DNA を鋳型としてDNA を合成する DNA 依存性 DNA ポリメラーゼ(EC 2.7.7.7)と、RNA を鋳型として DNA を合成する RNA 依存性 DNA ポリメラーゼ(EC 2.7.7.49)の、2つのタイプに分けられる。前者はDNA複製やDNA修復において中核的な役割を担う酵素である。一方後者はセントラルドグマの範疇から逸脱する位置にある酵素で、逆転写酵素やテロメラーゼを含む。

[クリップ]耐熱性DNAポリメラーゼ
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Thermus acaticusという細菌より分離された酵素。
この細菌はYellowstone national park(米国)の温泉から分離。
1秒間に100塩基以上DNAを伸長(条件による)。
72℃付近が至適温度。
92.5℃でも半減期が約2時間もある(通常のDNAポリメラーゼでは1分ともたない)

90℃以上の高温でDNAを一本鎖に熱変性するPCR法にとってこの酵素の発見はPCR法の進歩に(自動化を含め)非常に寄与した

クリップDNA3つの性質

1.DNAは水素結合の部分が簡単にほどける
2.DNAはくっつく相手が決まっている
3.DNAには方向がある

クリップPCR法
$東京マイクロスコープ顕微鏡歯科☆オーラルハイジニストnaomi-DNA

DNAの性質
・一本鎖DNAへの変性→加熱またはアルカリ
・二本鎖DNAへの結合→冷却または中和
東京マイクロスコープ顕微鏡歯科☆オーラルハイジニストnaomi-PCR法

ステップ1. 変性 90℃以上の高温により一本鎖に変性。
ステップ2. アニール 相手が決まっている58℃近辺の温度でプライマーが結合これをスタート位置としてTaqが働く。
ステップ3. 伸長 Taqが相補的なヌクレオチド三リン酸を結合させていく。
ステップ4. 1本が2本に この温度変化を30回から40回繰り返す。

クリップPCRの増幅

東京マイクロスコープ顕微鏡歯科☆オーラルハイジニストnaomi-PCRの増幅

クリップPCRの特徴

・迅速
・簡便
・高感度
・特異的

クリップDNA量の検出原理 インターカレーター法
東京マイクロスコープ顕微鏡歯科☆オーラルハイジニストnaomi-インターカレーター法

メリット:蛍光試薬が安価・どの遺伝子に対しても使用できる
デメリット:二本鎖DNAに入り込む性質上、非特異的に増幅した産物も検出してしまう

クリップDNAの検出原理 蛍光プローブ法
$東京マイクロスコープ顕微鏡歯科☆オーラルハイジニストnaomi-蛍光プローブ法

プローブと呼ばれる短いDNA断片の一端に蛍光物質を、もう一端に蛍光を抑えるクエンチャーを結合させておくと、プライマーと同様にDNA鎖にアニリングし、伸長反応時にDNAポリメラーゼにより分解され、両者の物理的距離が離れることにより発光する

メリット:プローブは遺伝子特異的な配列を作製できるため、目的の遺伝子の増幅のみを測定できる。
デメリット:プローブが比較的高価・実験を行う遺伝子ごとにプローブを作製しなければならない。

クリップRedComplexとは
東京マイクロスコープ顕微鏡歯科☆オーラルハイジニストnaomi-RedComplex

口腔内には約900種類の細菌が住んでいる。数十種類が歯周病に関係している菌で、その歯周病菌の中でも最も悪いと言われているのがRedComplex。
P.gingivalis
T.denticola
T.forsythensis
P.gingivalisとT.forsythensisは非常に小さい桿菌なので顕微鏡では判別できない。
そのためにリアルタイムPCR法によるDNA診断が必要になる

目歯周病を科学的に検査する事はとても大切な事だと思う。従来歯周病の診査・診断には、ポケットの深さや出血の有無が用いられてきた。ポケット測定は検者によって測定圧などにばらつきがあり再現性があるとは言い難い。PCR法による細菌のDNA検査はその点において科学的な検査と言えるであろう。