単勝10番人気の伏兵が、大金星を挙げた。2番手をスムーズに進んだヒラボクキングの末脚は鈍らない。逃げるトウショウフリークを最後の直線で捕らえると、そのまま先頭でゴールに飛び込んだ。G1・5勝のエスポワールシチーに1馬身半差。98年にエムアイブランが刻んだレースレコードを0秒4も上回る快走だった。
10年セントライト記念(クォークスター)以来、1年4か月ぶりの重賞Vに、藤岡佑は会心の笑顔を見せる。「返し馬がすごく良かった。レースではエスポより前で運びたいと思っていた。この時計で振り切ったのだから、強かった。負かした相手が相手だから。昨年、最初に勝てたのが、この馬。また、しんどいときに助けてくれた」。昨秋、第一子が誕生。25歳のパパが、息子に贈る初タイトルだ。
大久保龍調教師にとっては、2年11か月ぶりの重賞制覇だった。「もうちょっと勉強が必要かなと思っていたけど、あっさり勝った。近くにいて分からなかったけど、成長している。相手が強く、まさか勝つとは…」と驚きを隠せないでいた。
「今後は未定。今までコーナーが4つの競馬場で戦ってきた馬だから。まだ先だけど、ジャパンCダート(12月2日、阪神)に出したい」。フェブラリーS(2月19日、東京)への出走には慎重だったが、ダート界に新星が誕生したことは確かだ。
◆ヒラボクキング 牡5歳の鹿毛。父キングカメハメハ、母エンキャンタドゥ(父ラーイ)。戦績14戦6勝。総収得賞金1億998万2000円。重賞初勝利。生産者・北海道浦河町の辻牧場。馬主・(株)平田牧場。栗東・大久保龍志厩舎所属。