「アデハデ」に込めた想い・第26回 構想 | 艶(あで)やかに派手やかに

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前回書いたような疑問から、自分の本はそういう本にしない、という気持ちがありました。
主人公は発達の凹凸ゆえに健常者と同じ生き方では無理だと気付いた。だからといって「生きづらさをかかえたかわいそうな人」になって「無理しない」「ありのままでいい」という「なぐさめの言葉」をかけられて生きるのがいいとも思わない。じゃあどうするか。それでもあきらめず挑戦する。ただそれは「発達凹凸で活躍する人」として引き合いに出されがちな世紀の大科学者や圧倒的カリスマ性を持つアーティストとしてではなく、「そんなに天才じゃなくても日常の中から何かに一生懸命になり、そこから必要な力を伸ばし、愛される存在」、もっとくだけた言い方をすると「変人枠」を目指す展開に、と考えました。
「アデハデ」という言葉は「あでやか・派手」というしゃれたいい響きがあり、「しんどさを伴う障害を魅力的な個性に変えて輝く」という思いを込めて、物語の重要な部分で使いたいと思っていました。「あではで神奈川」という当事者の集いも実際にあります。ADHDをドイツ語読みすると「アデハデ」になるんだそうです。
主人公が開花する職業を何にするか? 自分のフィットネス会員としての経験―フィットネスクラブに通うことに夢中になったこと、そこから生きやすさをつかんでいったこと、インストラクターの方々を応援したいな、と思ったことがありました。そして多動性・あでやか・派手というキーワードとエアロビクスが結び付き、発達の凹凸を持つヒロインの純粋さ・天真爛漫さをレッスンで表現しようと、フリーランスのスタジオインストラクターになりました。フィットネス業界事情については「NEXT」という業界誌や、遠藤一佳氏(フィットネス業界人)の連載やブログが参考になりました。

長谷 ゆう