今日、品川で「太平洋の奇跡」を観てきた。


学校で教わった歴史の話では、
一部の敗残兵を除いて、
旧日本陸軍は南太平洋の島々で
「全滅」したと教わっていた。

私の祖父もフィリピンのある島で
米軍の航空機によって殺されている。

ところが、
サイパン島で米軍占領後も
玉砕せずに生きて戦い続け、
そして捕縛される事無く、
最後は威儀を正して投降した
部隊が存在していたという。

主人公は、
大場栄という陸軍大尉なのだが、
実に興味深い人物であった。


紹介のニュースでもいわれているように、
「英雄」ではないかもしれない。
けれども、対戦した米軍には、
大場大尉が「英雄」の姿に見えたのだろう。
だからこそ、このような話が残されることとなった。
そもそも、この話が日本では語られず、
米軍軍人によって残されたことが、
この話題に対する価値観と課題が示されている。

そして、映画の作り手達は、
大場大尉の葛藤を
「竹野内豊と阿部サダヲ」の2人で表現しようとしたのでは
なかろうか。


今の時代は、
自分の気持ちを優先して生活することが
許されている。

もちろん、昔は出来なかったとは言わない。
ただ、現在ほど自分の気持ちを優先させることが
許されない場面が多かったように思う。

現代に生きる私たちは、
竹野内豊が演じた大場大尉のような状況に追い込まれたとき、
どのような選択をするのだろうか。


「太平洋の奇跡」は作品として、
観るだけの価値を持っていると思う。

ただ、現在の日本では高い評判を得ることは難しいのかもしれない。

楽しい作品ではないし、
泣ける話でもない。
ただ、気付ける人だけは、
いろいろと考えることが出来る佳作だと思う。