ソ・ラ・ノ・ヲ・ト 最終回（第十二話）「蒼穹ニ響ケ」
寒凪乃絵留を追いかけてしまったため、近衛第１師団第９独立部隊の兵士に撃たれてしまったアーイシャ。
更に本部からローマ軍がセーズ国境へ迫っているとの通信が入る。
フィリシア・ハイデマンはホプキンス大佐の頭に銃を突きつけて部下を下がらせるように命じる。
フィリシアがここにきて思い切った行動に出ました。
まさかの反乱。隊長も思った行動に出たものですが、おそらく後先考えての行動では無かったのでしょうね。
アーイシャの傷は幸い急所は外れており、致命傷には至りませんでした。
ホプキンスはローマ軍の動きを察していた。
手を出さないようにと命じる大公に対して、ホプキンスは戦争を引き起こすためにローマ軍に手を出させようと、アーイシャを敵の目の前で殺害するつもりだった。
相手から行動させて口実を得ようという外道っぷり。平治に於いてはただの外道ですが、戦時下であるから彼のような存在も見逃されているのですね。彼の残虐性は全て敵へと向いているから。
ノエルを『ヘルベチアの魔女』と呼ぶホプキンス。
アカデミーの天才と言われたノエルは、旧時代の生物兵器である『見えない死神』を蘇らせてしまった。
そんな二つ名があるから、ローマ兵であるアーイシャも知っていたわけか。そしてやはりフィリシアは全てを知っていたのですね。
これ以上彼を喋らせないために地下に閉じこめる事にしたフィリシアですが、ここは猿轡を噛ませて転がしておくのが本当は一番なんですよね。
ユミナはアーイシャから聞いた話で、ローマの文献では炎の乙女は違う伝説であるらしい事を伝える。
「炎の乙女は命を護る」
元砦の乙女の祖母から聞いたのではなく、ローマにも同じように伝説が伝わっていたのか。
敵国の支配下にある町の伝説が伝わっていたのは、セーズが国境の町だったからでしょうかね。
地下に閉じこめられたホプキンスですが、脚に仕込みナイフを隠していました。
この手の輩はちゃんと目の着くところに猿轡でもして転がしておくか、薬で眠らせて交流しておくかしとかないと。
フィリシアとしては視界の端にも入れたくなかったのでしょうけどね。
緊張する墨埜谷暮羽に、空深彼方はローマの炎の乙女に関する伝説を信じている事を話します。
カナタは遙か遠くでクラウスに連れてこられた人物が吹いたトランペットの停戦信号の音色を聞きつけました。
しかしホプキンスは脱走。
カナタは絶対音感だけに留まらず、人には聞けないような小さな音まで聞きつける能力まで持っています。
どれだけ耳が良いのか。
ナオミを使者に停戦の事を報せるも、ノエルは見えない死神で人の死に行く様を笑っていたホプキンスは耳を貸す筈が無く、彼は誰もいなくなるまで戦い続けると語る。そんな彼に手を貸してしまい、大勢の人を殺したと嘆くノエルにユミナはそう思うのならば殺した人以上に多くの人を助けるようにと告げる。
ホプキンスに賛同する者が部隊を率いて国境へと向かう。
一兵士たちは再び戦争になる事にうんざり。
話し合っているのは、第１話でカナタと一緒に列車に乗っていた人たちですね。
停戦の事など耳を傾けず、ナオミを拘束したホプキンス。
更にアーイシャからローマ軍が翌日に動く事を知る。
カナタは行動を起こそうとするが、クレハは自分たちは兵隊であり、個人の勝手な判断での行動は許されないと反発する。
「誰かが“世界はもう終わりだ”と言っていました。
でも私、この世界が好きです。
この街が好きです。
ここにいるみんなが、大好きです。
諦めるなんて……
できません!!!!」
決して引こうとはしないカナタ。
ユミナは戦争を止めて欲しいと願い、それはアーイシャも同じ気持ちだと代弁する。
クレハの事はもちろん正論。
しかしその正論で納得出来るようなら、ローマ兵を匿ったり、ホプキンスを人質にとって立て籠もったりはしていないよね。
あなたはもう充分に苦しんだからもう良いのだと、ノエルを許すアーイシャ。
動けばもう後戻りは出来ない、それでもフィリシアは戦争を止めるために行動をする事を決意する。
フィリシアはクレハが反対を続けていたのは、みんなを危険に合わせないためだと理解していた。本当は自分だって同じ年頃の少女が拷問にあう事などは許したくない、しかし誰かが軍人としてしっかりした意見を言わなければならない。和宮梨旺のいない今はそれが自分の役回りだと思いこもうとしていたのだ。
フィリシアさんが芯はしっかりしているとはいえ、誰かがブレーキにならないと、何処へ飛んでいくのか判らないような奴しか残っていないからね。カナタたちはそれで大人しく説得されるような子達では無かったわけですけど。
そんな憎まれ役に徹しようとしていたクレハの気持ちを理解してくれていたフィリシアさん。
多脚砲台“タケミカヅチ”を起動させる第1121部隊。
「訓練通りやれば問題ないわ……
行くわよ、私の貴女達！！」
鉄鋼弾を装填、カナタはトランペットで反撃開始の合図を報せる。
一瞬、ホプキンスたちのところまで砲撃が飛んでいくのかと思ったが、格納庫代わりの体育館を破壊しただけだった。
格納庫を破壊する必要があったのか？
格納庫を破壊して人々の前に姿を現すタケミカヅチ。
崖をよじ登っていったタケミカヅチの姿に、ホプキンスは追撃命令を出すも、セーズの人々は戦争を止めるために妨害する。そんな人々を虐殺するわけにも行かないホプキンスはやむを得ず迂回を命じる。
町の人たちもみんな軍に逆らったカナタたちを信頼してくれている。町と深く関わり続けてきた変わった部隊だったからこその絆か。
それにしても、タケミカヅチすげぇ。あんな切り立った岸壁をよじ登れるのか。
そういや、過去の回想シーンではビルの屋上にも上ってたっけ。
ずっと昔――
世界が今みたいになる前のこと。
世界に罰を与えるために、神様が遣わされた天使は、傷つき石の果ての街で翼を休めていました。
そんな天使を助けたのは、果ての街の砦に住んでいた乙女達でした。
自分たちを滅ぼすはずのもの。けれど、傷ついたその姿を哀れに思った乙女達は、巨大な蜘蛛の力を借りて、天使を谷の底に匿います。
乙女達は、溢れ出る血を抑えるために、順番に天使の首を抱き続けました。
そして、天使はそのお礼に、乙女に金の角笛を授けます。
けれど、やがて町の人々は天使の存在に気付き、谷底に火を放ちます。
乙女達は炎にまかれ、天使は首を落とされて、息絶えてしまいました……
そんな時、遂に天使の軍勢が現れ、町の空を覆い尽くします。
けれど、どうしたことでしょう。
突然、高らかなソラの音が響くと、天使達が去っていきます。
人々の命を救ったのは、最後の乙女が自分の命と引き替えに鳴らした金の角笛の音だったのでした。
ホプキンス大佐の率いる近衛第１師団第９独立部隊の戦車部隊に取り囲まれるタケミカヅチ。
どれほどの砲撃を受けようと、タケミカヅチは倒れず、追撃の戦車の脚を破壊していく。
最後に残されたホプキンス大佐の戦車をも破壊してしまう。
タケミカヅチ強ぇ……これ一台あれば、戦局を大きく変更できてしまいそうです。
旧時代と現代ではここまで科学力に差があるという事か。
でも、あれだけの攻撃を受けていたら、さすがに中への衝撃は凄い物じゃないだろうか。それとも衝撃もかなり緩和するように出来ているのだろうか。
中には怪我人もいる筈なんですが……
カナタの事を語り合う軍曹たち。
突撃喇叭が鳴り響き、進軍する両軍。
両軍の間に飛び出したタケミカヅチは、崩れたビルへとよじ登ると、カナタは停戦信号を吹き鳴らす。
それでも停止しようとはしない両軍に、カナタはタケミカヅチの合うに立つと、アメイジング・グレイスを演奏する。
今更止められないとか、まだ本当に開戦したわけではないのに、停戦指示を無視するとか正気の沙汰じゃないよな。
朝日に照らされながら、演奏を続けるカナタ。
やがて両軍は歩みを止め、カナタの演奏に耳を傾ける。
アメイジング・グレイスは世界を救う。
カナタの演奏が人々の心に響いたという事か。全てがローマの伝説通りとなりました……
強いて違いを上げるなら、炎の乙女たちが最後の一人にならなかった事だけか。
演奏が終わり、我に返った司令官が攻撃を命じるが、そこにリオが戦車に乗って現れた。
「吾はヘルベチア共和国大公家、継承権第２位にして、正統ローマ帝国皇帝の婚約者
リオ・カズミヤ・アルカディア！！
我が父たるヘルベチア大公、ならびにローマ皇帝の名において告げる！！
講和はなった。
戦うことはまかり成らん！ 双方速やかに陣を解け！
これは勅命である！！」
両君主の署名が入った証書を掲げるリオは、
「逆らう者には両君主の名の下に、ヘルベチア第１近衛師団が鉄槌をを下す！！！」
進軍してくる第１近衛師団。
戦争をせずに済んだ兵士達は喜び。
カナタたちも抱き合って喜びを分かち合う。
正式に大公の娘として迎え入れられた事で、名前もアルカディアが付いたのだね。
ところで、なんでクラウスが第１師団の旗持ちなんていう大役を担っているんでしょうか……お姫様が直々に指名したのかな。
カナタも軍曹たちの事を覚えていたのだね。
平和になったセーズ。
もちろんカナタたちはお咎め無し。
無理にでも戦争を起こそうとしたホプキンスたちの処分はどうなったのだろうか。特に法に背くことをした訳ではないから罰せられないのかな。でも、動くなと言う大公の指示には背いた訳だし、処分されてもおかしくはないよな。
春を迎え、アーイシャからトランペットの練習をしているという手紙が送られてくるようになりました。
流石は天才児ノエル
。もう ドイツ語 ローマ語をマスターしてしまいました。
しかしリオからは手紙も届かない。
あの日も結局近衛兵に囲まれたリオとは話も出来なかったらしい。
新人を待っていたカナタたち。
クラウスが連れてきたのは、新兵ではなく軍服に身を包んだリオだった。
ローマ皇帝が戦争を止めた褒美として、何でも願いを一つ叶えてくれるという約束をしたのだ。
それで時告げ砦に着任させてもらったらしい。
しかしホプキンスのような輩がリオを殺害して、両国に不和をもたらそうとか考えるないとも限らないのだから、密かに護衛とかが付けられていたりするのかな。
けど、停戦を成功させたという意味では、カナタたちには報償とか出なかったのだろうか。彼女たちが駆けつけなければ、リオは間に合わなかったわけだし、間に合っても止める事は出来ていなかったかもしれないのだから。
そんな訳で最終回。
カナタのトランペットで両軍が制止するというのは無茶すぎる展開でしたが、タケミカヅチの活躍なども上手く描かれていたと思う。
オリジナルの世界というのは世界観を描きながら、物語を進行していくのが難しく、特にこの作品のように１クールだけだと、どうしても説明不足になりがち。この作品でもやはり幾つかの不明点は残ったままとなっていますが、それでも上手く説明しながら物語を進めていっていたと思う。
総じて、大きな謎に取り組むなどではなく、日常の日々を描きつつ、それぞれのキャラクターの抱えたものを描いて、その延長線上に戦争を描いたのが上手かったと思う。
欲を言えば、カナタが演奏を上手くなる過程がもっと、描かれていけば良かったかな、と。
きっかけを掴んで途端に上手くなった感じがあったから。
シリアスな戦争ものとして描かれなかったのはそういう作品にしたくなかったのではないのかと。
色々な過去を背負いながらも、ほのぼのした明るい日常を送っていたカナタたち。そんな彼女たちだからこそ、平和の大切さを知っていて、それを守ろうという強い想いで動いたというのがラストの２話だったのではないでしょうか。
平和の大切さを感じない人というのは、やはりクレハの語った正論や、諦めかけていた軍曹たちのような言葉で済ませてしまうのだと思います。
戦争だから仕方ない、軍人だから仕方ない、と。
現代人もある意味で、本当の意味で平和の大切さは忘れてしまっている。だからどれほど核反対を訴える人がいても、国を護るためなら核をアメリカが持ち込んでくれるのも仕方ないのじゃないか、とか、日本も核兵器を持つべきだという発言が軽く出来てしまう。日本人の多くはまさに「戦争を知らない子供達」。地雷の恐怖なども殆ど知らないし……
ともあれ、全体的に良い作品で、今期の作品ではトップクラスだったと思う。
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アニメ 感想 レビュー 第12話
更に本部からローマ軍がセーズ国境へ迫っているとの通信が入る。
フィリシア・ハイデマンはホプキンス大佐の頭に銃を突きつけて部下を下がらせるように命じる。
フィリシアがここにきて思い切った行動に出ました。
まさかの反乱。隊長も思った行動に出たものですが、おそらく後先考えての行動では無かったのでしょうね。
アーイシャの傷は幸い急所は外れており、致命傷には至りませんでした。
ホプキンスはローマ軍の動きを察していた。
手を出さないようにと命じる大公に対して、ホプキンスは戦争を引き起こすためにローマ軍に手を出させようと、アーイシャを敵の目の前で殺害するつもりだった。
相手から行動させて口実を得ようという外道っぷり。平治に於いてはただの外道ですが、戦時下であるから彼のような存在も見逃されているのですね。彼の残虐性は全て敵へと向いているから。
ノエルを『ヘルベチアの魔女』と呼ぶホプキンス。
アカデミーの天才と言われたノエルは、旧時代の生物兵器である『見えない死神』を蘇らせてしまった。
そんな二つ名があるから、ローマ兵であるアーイシャも知っていたわけか。そしてやはりフィリシアは全てを知っていたのですね。
これ以上彼を喋らせないために地下に閉じこめる事にしたフィリシアですが、ここは猿轡を噛ませて転がしておくのが本当は一番なんですよね。
ユミナはアーイシャから聞いた話で、ローマの文献では炎の乙女は違う伝説であるらしい事を伝える。
「炎の乙女は命を護る」
元砦の乙女の祖母から聞いたのではなく、ローマにも同じように伝説が伝わっていたのか。
敵国の支配下にある町の伝説が伝わっていたのは、セーズが国境の町だったからでしょうかね。
地下に閉じこめられたホプキンスですが、脚に仕込みナイフを隠していました。
この手の輩はちゃんと目の着くところに猿轡でもして転がしておくか、薬で眠らせて交流しておくかしとかないと。
フィリシアとしては視界の端にも入れたくなかったのでしょうけどね。
緊張する墨埜谷暮羽に、空深彼方はローマの炎の乙女に関する伝説を信じている事を話します。
カナタは遙か遠くでクラウスに連れてこられた人物が吹いたトランペットの停戦信号の音色を聞きつけました。
しかしホプキンスは脱走。
カナタは絶対音感だけに留まらず、人には聞けないような小さな音まで聞きつける能力まで持っています。
どれだけ耳が良いのか。
ナオミを使者に停戦の事を報せるも、ノエルは見えない死神で人の死に行く様を笑っていたホプキンスは耳を貸す筈が無く、彼は誰もいなくなるまで戦い続けると語る。そんな彼に手を貸してしまい、大勢の人を殺したと嘆くノエルにユミナはそう思うのならば殺した人以上に多くの人を助けるようにと告げる。
ホプキンスに賛同する者が部隊を率いて国境へと向かう。
一兵士たちは再び戦争になる事にうんざり。
話し合っているのは、第１話でカナタと一緒に列車に乗っていた人たちですね。
停戦の事など耳を傾けず、ナオミを拘束したホプキンス。
更にアーイシャからローマ軍が翌日に動く事を知る。
カナタは行動を起こそうとするが、クレハは自分たちは兵隊であり、個人の勝手な判断での行動は許されないと反発する。
「誰かが“世界はもう終わりだ”と言っていました。
でも私、この世界が好きです。
この街が好きです。
ここにいるみんなが、大好きです。
諦めるなんて……
できません!!!!」
決して引こうとはしないカナタ。
ユミナは戦争を止めて欲しいと願い、それはアーイシャも同じ気持ちだと代弁する。
クレハの事はもちろん正論。
しかしその正論で納得出来るようなら、ローマ兵を匿ったり、ホプキンスを人質にとって立て籠もったりはしていないよね。
あなたはもう充分に苦しんだからもう良いのだと、ノエルを許すアーイシャ。
動けばもう後戻りは出来ない、それでもフィリシアは戦争を止めるために行動をする事を決意する。
フィリシアはクレハが反対を続けていたのは、みんなを危険に合わせないためだと理解していた。本当は自分だって同じ年頃の少女が拷問にあう事などは許したくない、しかし誰かが軍人としてしっかりした意見を言わなければならない。和宮梨旺のいない今はそれが自分の役回りだと思いこもうとしていたのだ。
フィリシアさんが芯はしっかりしているとはいえ、誰かがブレーキにならないと、何処へ飛んでいくのか判らないような奴しか残っていないからね。カナタたちはそれで大人しく説得されるような子達では無かったわけですけど。
そんな憎まれ役に徹しようとしていたクレハの気持ちを理解してくれていたフィリシアさん。
多脚砲台“タケミカヅチ”を起動させる第1121部隊。
「訓練通りやれば問題ないわ……
行くわよ、私の貴女達！！」
鉄鋼弾を装填、カナタはトランペットで反撃開始の合図を報せる。
一瞬、ホプキンスたちのところまで砲撃が飛んでいくのかと思ったが、格納庫代わりの体育館を破壊しただけだった。
格納庫を破壊する必要があったのか？
格納庫を破壊して人々の前に姿を現すタケミカヅチ。
崖をよじ登っていったタケミカヅチの姿に、ホプキンスは追撃命令を出すも、セーズの人々は戦争を止めるために妨害する。そんな人々を虐殺するわけにも行かないホプキンスはやむを得ず迂回を命じる。
町の人たちもみんな軍に逆らったカナタたちを信頼してくれている。町と深く関わり続けてきた変わった部隊だったからこその絆か。
それにしても、タケミカヅチすげぇ。あんな切り立った岸壁をよじ登れるのか。
そういや、過去の回想シーンではビルの屋上にも上ってたっけ。
ずっと昔――
世界が今みたいになる前のこと。
世界に罰を与えるために、神様が遣わされた天使は、傷つき石の果ての街で翼を休めていました。
そんな天使を助けたのは、果ての街の砦に住んでいた乙女達でした。
自分たちを滅ぼすはずのもの。けれど、傷ついたその姿を哀れに思った乙女達は、巨大な蜘蛛の力を借りて、天使を谷の底に匿います。
乙女達は、溢れ出る血を抑えるために、順番に天使の首を抱き続けました。
そして、天使はそのお礼に、乙女に金の角笛を授けます。
けれど、やがて町の人々は天使の存在に気付き、谷底に火を放ちます。
乙女達は炎にまかれ、天使は首を落とされて、息絶えてしまいました……
そんな時、遂に天使の軍勢が現れ、町の空を覆い尽くします。
けれど、どうしたことでしょう。
突然、高らかなソラの音が響くと、天使達が去っていきます。
人々の命を救ったのは、最後の乙女が自分の命と引き替えに鳴らした金の角笛の音だったのでした。
ホプキンス大佐の率いる近衛第１師団第９独立部隊の戦車部隊に取り囲まれるタケミカヅチ。
どれほどの砲撃を受けようと、タケミカヅチは倒れず、追撃の戦車の脚を破壊していく。
最後に残されたホプキンス大佐の戦車をも破壊してしまう。
タケミカヅチ強ぇ……これ一台あれば、戦局を大きく変更できてしまいそうです。
旧時代と現代ではここまで科学力に差があるという事か。
でも、あれだけの攻撃を受けていたら、さすがに中への衝撃は凄い物じゃないだろうか。それとも衝撃もかなり緩和するように出来ているのだろうか。
中には怪我人もいる筈なんですが……
カナタの事を語り合う軍曹たち。
突撃喇叭が鳴り響き、進軍する両軍。
両軍の間に飛び出したタケミカヅチは、崩れたビルへとよじ登ると、カナタは停戦信号を吹き鳴らす。
それでも停止しようとはしない両軍に、カナタはタケミカヅチの合うに立つと、アメイジング・グレイスを演奏する。
今更止められないとか、まだ本当に開戦したわけではないのに、停戦指示を無視するとか正気の沙汰じゃないよな。
朝日に照らされながら、演奏を続けるカナタ。
やがて両軍は歩みを止め、カナタの演奏に耳を傾ける。
アメイジング・グレイスは世界を救う。
カナタの演奏が人々の心に響いたという事か。全てがローマの伝説通りとなりました……
強いて違いを上げるなら、炎の乙女たちが最後の一人にならなかった事だけか。
演奏が終わり、我に返った司令官が攻撃を命じるが、そこにリオが戦車に乗って現れた。
「吾はヘルベチア共和国大公家、継承権第２位にして、正統ローマ帝国皇帝の婚約者
リオ・カズミヤ・アルカディア！！
我が父たるヘルベチア大公、ならびにローマ皇帝の名において告げる！！
講和はなった。
戦うことはまかり成らん！ 双方速やかに陣を解け！
これは勅命である！！」
両君主の署名が入った証書を掲げるリオは、
「逆らう者には両君主の名の下に、ヘルベチア第１近衛師団が鉄槌をを下す！！！」
進軍してくる第１近衛師団。
戦争をせずに済んだ兵士達は喜び。
カナタたちも抱き合って喜びを分かち合う。
正式に大公の娘として迎え入れられた事で、名前もアルカディアが付いたのだね。
ところで、なんでクラウスが第１師団の旗持ちなんていう大役を担っているんでしょうか……お姫様が直々に指名したのかな。
カナタも軍曹たちの事を覚えていたのだね。
平和になったセーズ。
もちろんカナタたちはお咎め無し。
無理にでも戦争を起こそうとしたホプキンスたちの処分はどうなったのだろうか。特に法に背くことをした訳ではないから罰せられないのかな。でも、動くなと言う大公の指示には背いた訳だし、処分されてもおかしくはないよな。
春を迎え、アーイシャからトランペットの練習をしているという手紙が送られてくるようになりました。
流石は天才児ノエル
。もうしかしリオからは手紙も届かない。
あの日も結局近衛兵に囲まれたリオとは話も出来なかったらしい。
新人を待っていたカナタたち。
クラウスが連れてきたのは、新兵ではなく軍服に身を包んだリオだった。
ローマ皇帝が戦争を止めた褒美として、何でも願いを一つ叶えてくれるという約束をしたのだ。
それで時告げ砦に着任させてもらったらしい。
しかしホプキンスのような輩がリオを殺害して、両国に不和をもたらそうとか考えるないとも限らないのだから、密かに護衛とかが付けられていたりするのかな。
けど、停戦を成功させたという意味では、カナタたちには報償とか出なかったのだろうか。彼女たちが駆けつけなければ、リオは間に合わなかったわけだし、間に合っても止める事は出来ていなかったかもしれないのだから。
そんな訳で最終回。
カナタのトランペットで両軍が制止するというのは無茶すぎる展開でしたが、タケミカヅチの活躍なども上手く描かれていたと思う。
オリジナルの世界というのは世界観を描きながら、物語を進行していくのが難しく、特にこの作品のように１クールだけだと、どうしても説明不足になりがち。この作品でもやはり幾つかの不明点は残ったままとなっていますが、それでも上手く説明しながら物語を進めていっていたと思う。
総じて、大きな謎に取り組むなどではなく、日常の日々を描きつつ、それぞれのキャラクターの抱えたものを描いて、その延長線上に戦争を描いたのが上手かったと思う。
欲を言えば、カナタが演奏を上手くなる過程がもっと、描かれていけば良かったかな、と。
きっかけを掴んで途端に上手くなった感じがあったから。
シリアスな戦争ものとして描かれなかったのはそういう作品にしたくなかったのではないのかと。
色々な過去を背負いながらも、ほのぼのした明るい日常を送っていたカナタたち。そんな彼女たちだからこそ、平和の大切さを知っていて、それを守ろうという強い想いで動いたというのがラストの２話だったのではないでしょうか。
平和の大切さを感じない人というのは、やはりクレハの語った正論や、諦めかけていた軍曹たちのような言葉で済ませてしまうのだと思います。
戦争だから仕方ない、軍人だから仕方ない、と。
現代人もある意味で、本当の意味で平和の大切さは忘れてしまっている。だからどれほど核反対を訴える人がいても、国を護るためなら核をアメリカが持ち込んでくれるのも仕方ないのじゃないか、とか、日本も核兵器を持つべきだという発言が軽く出来てしまう。日本人の多くはまさに「戦争を知らない子供達」。地雷の恐怖なども殆ど知らないし……
ともあれ、全体的に良い作品で、今期の作品ではトップクラスだったと思う。
■トラックバックが飛ばない場合には別館（http://libra1974.blog86.fc2.com/）or別宅（http://adam666.cocolog-nifty.com/blog/）へお願いします。
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