化物語 第捌話「するがモンキー 其ノ參」 | 無限回廊幻想記譚 旧館 -アニメ・映画感想-

化物語 第捌話「するがモンキー 其ノ參」

はい、関西は週遅れにされたので、ネットにて視聴した内容です。


小学生の時に母親からミイラの腕を託された神原駿河。
転校したばかりで友達がおらず、足も遅かった駿河は、クラスメイトからは迫害を受けていた。運動会の徒競走に出場することになり足が速くなれば友達が出来るのではないかと、ミイラの腕に願いを託した。
その夜、怖い夢を見た。同じ徒競走に出場する子供たちが、雨合羽の人物に襲われる夢。
翌日、それは現実となった。
調べるうちに猿の手に行き当たった駿河は、恐ろしくなって夢中で走る練習をして、足が速くなった。
猿の手に1つ目の願いをキャンセルしてもらう事すら、どんな形で叶えられるか判らないため、願うことの出来ない。

しかし自分よりも足の速い人間が出てくるかもしれない陸上部には入らず、バスケ部に入ってエースとなった。
そんな彼女に足の速さを聞きつけた戦場ヶ原ひたぎが声を掛けてきた。
ひたぎからの勝負の申し出を必死になって断った。
一目惚れには至らないが、すぐにひたぎに惹かれていった。

駿河はその間にも猿の手を使いたいという欲求を何度も受けていた。
それらを必死に耐え、ひたぎの怪異に対しても願うことを避けた。
しかしひたぎの前に現れた阿良々木暦の存在を知り、自分でも覚えていないうちにミイラに願いを託していた。
手首ほどしかなかったミイラの腕は、肘まで伸びており、駿河の腕と一体化した。
肘まで伸びたのは、願いを一つ叶えた事で魂を喰らって成長したことの現われだろうというのは容易に想像出来ますね。

存在しないかと思ったオリジナルオープニングが今回になりました。
百合の花がいっぱいで、レイニーデビルもいっぱい。そんな中でひたぎだけはやっぱり文房具……

忍野メメは力を貸すという。
力を貸すが、助けない。
自分の力で助かるしかないのだという。
メメは解決策として二つの方法を提示する。
1つ、暦がレイニーデビルに殺されること
2つ、駿河の腕を切り落とすこと
判りやすい解決方法ですが、どちらも一件落着という感じではないな。

片腕一本で問題が解決できるなら安いというメメ。
ただひたぎと一緒にいたいと願っただけ駿河を庇う暦だが、メメはそんな暦をあざ笑う。
最初の願いで駿河が足が速いと願ったのにも関わらず、何故同級生が傷つけられたのか。レイニーデビルは低級の悪魔ではあるが、契約は契約としてきちんと叶える。足が速くなりたいと本気で願えばそうする。
本物の猿の手ならば、願ったものとは違う叶え方をするのも納得だけど、メメは明確にそれが猿の手でなく悪魔だと告げているのだから、契約は正しく履行されていなければおかしいわけだ。

レイニーデビルの腕がそうしたのは、駿河の中にそんな気持ちがあったから。
同級生から迫害を受けていた駿河は、足が速くなりたいという願いと同時に、心の奥底で同級生をぶちのめしたいと暗い願望を秘めていたから。
それを無意識とはいえ理解していながら、それを認めたくないからと、言い訳を求めた結果が猿の手。
自分の心の中の闇の部分を認めるのが怖かったわけだ。確かに願ったのは表の願い。しかし叶えられたのは裏の願い。自分が傷つけたいと願ったのではなく、腕が勝手にした事にすれば罪悪感は薄れ、心も安定を保っていられるという事か。

小学生の時、腕は同級生を傷つけ、そしてその日のうちに彼女から離れていた。
今、駿河の腕に悪魔の手が取り憑いているのは、未だに願いが叶っていないから。暦を襲撃したのは駿河の意に反していたのではなく、大好きな先輩を寝取った憎い暦を殺したいと願っているから。
レイニーデビルが暦を襲ったのは、願いを捻じ曲げたわけではなく、駿河の本意だったということ。
大好きな先輩を助ける時にですら使わなかった腕を使う程に強い思いだったのだから、よほどの思いなのだろう。


忍野忍に血を吸わせた暦。
元々この日は忍に血を吸わせる予定の日だったのか、それとも力を引き出すために臨時で与える事になったのか。
彼を待っていた忍野はこれから悪魔と戦うのに、限界まで血を吸わせても十分とは言えないと語る。
悪魔の契約は絶対。逆に言えば契約を果たすことさえ出来なければ、悪魔は契約不履行で去っていく。
つまりは暦が殺されなければ契約は果たされない事になる。
その為には暦に吸血鬼としての力が不可欠という訳だ。
吸血鬼としての力を血を与える事で一時的に取り戻している暦だが、限界まで血を吸わせても、彼が吸血鬼だった当初の10分の1程度だという。
忍の力を借りても解決はしない。暦本人の力でどうにかするしかない。
吸血鬼だった当時の実力があれば、今回の一件は乗り切れたのかもれしないが、仕方ないことなんだろう。
完全に喪失しておらず、不死に近い肉体を持っているだけまだ運が良いというところか。

邪魔になるだろうと暦から鞄を預かったメメは、最後に一つだけ質問する。
「どうして自分を殺そうとした相手まで、阿良々木くんは助けようとするんだい。
 あのお嬢ちゃんは無意識とはいえ、阿良々木くんの事を憎むべき恋敵としてとらえていたんだぜ。
 そもそも雨合羽の正体がお嬢ちゃんだと判った段階で、阿良々木くんはどうしてお嬢ちゃんの話を聞こうなんて思ったんだい。
 その時点でお嬢ちゃんをすっ飛ばして、ボクのところに来るのが本当だっただろうに」
「ふっ。
 生きてりゃ、誰かを憎むことぐらいあるだろうさ。
 殺されるのは、そりゃあゴメンだけど。
 神原の戦場ヶ原に憧れてたってのが、ボクを憎む理由だって言うのなら、別に許せるしさ」
暦の決めた事なら構わないと暦を駿河が待つ部屋へと送り込む。
答えは如何にも暦らしい返答。簡単に殺されるつもりはないけど、相手の気持ちを察する事が出来てしまうのが問題か。

中で何が起きようとも、中からは決して扉を開ける事は出来ない。
そして忍やメメが助けに現れる事もない事を、忘れないようにと忠告する。
しかしわざわざカバンを預かっている辺りが如何にも怪しい。別にカバンの一つぐらいはそれほど邪魔にはならないはず。
邪魔になればどこかに置けば済むだけの話なのだし、わざわざ彼に預ける理由は本来存在しないんだけど。

待ちかまえていた雨合羽の駿河。
襲いかかってくる駿河の攻撃を必死に躱す暦。
片腕の手首を潰されながらも、左手を押さえ込んだままで駿河に攻撃する。
だが、そこで駿河は足を使っての攻撃をしてきた。それは駿河本人もまた無意識に2つ目の願いである暦を殺す、という願いが達成されない事を拒絶しているということの現れ。
何だかんだと言いつつも、そこが本心。
メメの指摘どおりだったわけです。

自分の腕を切り落として欲しいと願った駿河。
必死に止めようとした暦。
忍野は忍のブレードを使えば、痛みを感じる暇すらなく切り落とせると進言する。
必死になんとかしようとする暦に対して、駿河はもう良いと諦めようとした。
しかし結局は本当のところでは諦めてなどいなかったわけだ。
人の良い暦にはそれが見抜けていなかったのか、或いは敢えて気付かないようにしていたのか。

暦への憎しみで満たされ、暦を殴り続ける駿河。
全身をずたずたに殴られ、内蔵を引きちぎられていよいよ体を動かすことすらままならない暦は諦め掛ける。
少しマイルドになるように文字で表現されたりしていますが、普通に腸が引き千切られたりしていますから……変にリアルにするとグロテスクさばかりが強調されてしまうから、これぐらいの表現がちょうど良いのかもしれないな。

「随分とはしゃいでいたわね」
扉が開かれ、怒りの表情を見せたひたぎが姿をみせる。
「私抜きで愉しそうね。不愉快だわ」
暦はメメが彼から預かった鞄の中にあった携帯電話でひたぎを呼び寄せた事に気付く。
なるほど、忍野は自分や忍は助けに行かないとは言ったけど、ひたぎの事は言ってませんからね。携帯電話を使うために、カバンを預かったのか。ひたぎに連絡する事を伝えれば暦は納得しないだろうし、携帯だけ預かろうとすれば怪しまれるからな。
暦が自分に嘘を言ったと責めるひたぎ。
「付き合った時、約束しなかったけ?
 そういう事をするのは無しにしよう、と。
 私たちは少なくとも怪異に関して、互いに秘密を持たないと」
「あ、いや」
「万死に値するわ」
ひたぎの怒りに、暦はもちろん駿河も動揺する。
だろうな、そういう約束していたのにな、とは思っていたが。
ひたぎも自転車事故が普通じゃない事は気付いていたのだと思うけど、暦が自分から言うのを待っていたのだろうか。
に、しても本気で怖いですから。

既に1万回ぐらい死んだ後のようだから、特別に許してあげるというひたぎ。
咄嗟に暦を襲おうとした駿河だが、ひたぎが間に割って入ったため退いてしまう。
ひたぎは暦が自分が死ねば全部解決するなんていう「間の抜けた」事を考えているのではないのか、と指摘する。
「冗談じゃないわよ。
 阿良々木くんが死んだら、私はどんな手を使ってでも神原を殺すに決まってるじゃない。
 阿良々木くん、私を殺人犯にするつもり?」
「お見通しか。
 まったく、情の深い女だ」
冗談でも何でもなく、彼女ならやりかねない、つーかやるだろう。
それが判っていたからこそ、暦は黙っていたのでしょうけど。

ひたぎが何よりも気にくわないのは、喩え不死ではなくても暦が同じような行為に身を投じるだろうという事が確信出来てしまうこと。
大きなお世話だろうとなんだろうと、暦にされるならそんなに悪くないと微笑むひたぎ。


暦が悪魔を圧倒して裏の願いを叶えなくするのが一つの手段なら、ひたぎの事実を知らせて表の願いを叶えなくさせてしまうのもまた一つの手段。
ひたぎが暦を殺せば、駿河を殺すとまで宣言してしまった以上、もはやレイニーデビルに打つ手はない。
それらを考えついていた忍野を改めて驚く暦。
メメは暦がなんとか出来る可能性は低いと判っていたんだろう。
メメや忍なら腕を斬りおとして解決する事は出来ても、祓うことはできない。祓うためには契約を果たせない状態に追い詰めてしまえという事か。ひたぎの事を予め言わなかったのは、駿河と対面させる必要があったからなのか、暦が危険を考慮して反対すると思ったからなのか。

ひたぎはまっすぐに駿河へと向かって歩くと、泣きじゃくる駿河の腕を握りしめる。
「わたしは戦場ヶ原先輩が好きで」
「そう、私はあんまり好きじゃないわ。
 それでも側にいてくれるのかしら。
 いっぱい待たせて、ごめんなさいね」
泣きじゃくる駿河。
駿河は愛を受け入れてくれなくても、ただ側にいられれば良かったというところか。
――まったく、噛ませ犬も良いところだった。
――我ながら誂えたような三枚目を演じた物である。
――戦場ヶ原ひたぎが、どれだけ強欲で、諦めの悪い女なのかという事ぐらい
――ボクはとっくにしっていたはずなのに。
――それが本当に大事な物だったのなら、戦場ヶ原が諦める筈がないのに。
――大きなお世話、余計なお節介、有り難迷惑……
――しかしまぁ、それでも何というか、まったくもってどいつもこいつも本当に
――捻くれてるなぁ……
大事なものというのは、阿良々木であり、駿河でもあるわけだ。
大切な後輩だった駿河を諦めたような口振りだったけど、本当は諦めたくなど無かったのだろう。当時は怪異に晒された身の上だから止むを得ず突き放してしまったため、どうやってもう一度手を伸ばせば言いか判らずにいたというところか。

阿良々木月火と阿良々木火燐に逆エビ固めとキャメルクラッチで叩き起こされる暦。
妹たちの起こし方が回を増すごとに手荒になっていくな。
自転車で出かけた暦に駿河が声を掛けてくる。
ひたぎから連絡があって迎えに行くようと言われたのだという。
バスケットボールはもう出来ないので、部活を引退するという駿河。
悪魔は去ったものの、腕は元には戻らないままとなった。
腕はパワーが強いのは、それはそれで便利だと笑う。
バスケの方にはそれほど未練がないのかな。むしろひたぎと一緒に居られるという方が、彼女にとっては大切なことという事か。

次回 第玖話「なでしこスネイク 其ノ壹」

次は中学生の千石撫子登場。


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