図書館戦争 状況〇二「図書特殊部隊(ライブラリー・タスクフォース)」


エリート集団『図書特殊部隊(ライブラリー・タスクフォース)』に配属となった笠原郁一等図書士。彼女と同様に手塚光一等図書士も玄田竜助 三等図書監、堂上篤二等図書正、小牧幹久二等図書正の推薦を受けて、図書特殊部隊への配属となる。
山中での野戦訓練を行う図書特殊部隊。
何故か敵意を剥き出しにする光は、座学が出来ておらず基本的な事すら判っていない郁に対して、彼女が図書特殊部隊にいる事すら理解できないと語る。
堂上は光の実力は認めながらも、そうした物言いに対して「笠原には彼女なりの選ばれた理由がある。それはお前の物差しで判断する事じゃない」と光を注意する。
堂上は普段は厳しいが見るべきところは見ていますね。笠原について一面しか見ていない手塚に、笠原が選抜された事を否定するなど言語道断。ましてや彼女を認めないというのは、彼女を推薦した3人の教官たちの目を否定することでもあるのですからね。
射撃も抜群の光だが、ヘリからの降下練習で彼の動きを見た郁は、彼が高所恐怖症だと見抜く。
あれだけの動作でよく、高いところが苦手だと判ったな。他の人間と比べて、明らかに勢いが無かったからか?
笠原は逆に堂上に褒められるほど降下訓練は得意のようだ。やはり何とかと煙は高いところが好き、という事か……
訓練の最終仕上げは野外行程だが、女性としては破格の体力と運動神経を持つ流石の郁も、疲労が隠せない。

出発前には、熊が出るとの脅しを受けていた。
夜になり郁の眠るテントに熊が忍び込んでくる。その気配に目を覚ました郁は、悲鳴を上げるのではなく、気合と共に熊の鼻っ面を力いっぱい殴り飛ばした。
無論、それは本物の熊ではなく、キグルミを着た先輩だった。恒例となっていた行事であり、殴り倒した郁には《熊殺し》のあだ名が付けられる。
「それって人として、女として、ありえないから」
おかげで同室の情報屋、柴崎麻子一等図書士からは大笑いされる。

ちなみに光はキグルミと見抜いたようだが、堂上も新人の頃に同じく殴り倒していた。
勇ましいにもほどがある。先輩だと見抜いていたならまだしも、本物の熊だと思ってなぐとばすって……
図書館勤務を行う郁だが、分類など作業内容を覚え切れておらず、本の差し戻しが発生した事で、ついに光の怒りが爆発する。
「お前の責任だよな。
本の分類も出来ない、タスクフォースって何だよ。
業務研修始まるっていうのに、何で最低限の知識を飲み込んで来ないんだ」
集中訓練があって、直ぐに業務研修が始まったと弱々しく反論するう郁だが、それは火に油を注ぐ結果となる。

「間に休日あっただろっ。
その間に分類の復習ぐらい出来なかったのか?
書簡配置だって何回教えたって覚えないし。
無能なくせに努力しないやつはバカは一番迷惑なんだよ!!
散々人の足ばっかり引っ張って、口だけは1人前!
無能な奴はしゃべるな!」
堂上や小牧の制止にすら耳を傾ける事が出来なかった。
手塚の言い分も最もであり、力が無いなら力のある人間よりも努力しなければならない。そうしなければ肩を並べられないわけで、知識面で他の隊員よりも明らかに劣る笠原が同じようにやっていては他の人間に追いつくなど遥か先となるだろう。
だからこそ、この時は堂上や小牧も手塚に対して、厳しく咎めたりはしないわけだ。
1人残って本の整理をする郁の下に、彼女の事を心配した堂上が麻子に様子を見てくれるように頼む。
差し入れを持って姿を見せた彼女に、郁は本の分類について教えてもらう。
肌が荒れてにきびが大量発生するほど、麻子から夜遅くまでの特訓を受け続けて、徐々に成長していく郁。しかしそれでも光は今までやらなかっただけだと認めようとはしない。
そんな中で、郁は最近になって所在不明図書が多いことを麻子に語る。

15冊もの所在不明図書が気に掛かった麻子はそれが館長室にあり、『問題図書を考える会』と話し合いが行われる予定だと知る。
明らかに怪しい状況がヒシヒシと伝わってくる展開です。
すると、図書館内に良化特務機関の接近を知らせる非常警戒の放送が流れる。
ただちにコンピュータはロックされ、地下図書の封鎖が行われる。
だが、やってきた良化特務機関の部隊が地下ではなく、上を目指しているのを目撃した麻子は、彼らが『問題図書を考える会』と組んで館長室にある本を押収するつもりだと知る。
検閲対象となっている本がその中にあったのだ。
麻子が館内に緊急館内放送でそれを伝えると、光とペアになって地下へと向かっていた郁は、迷うことなく館長室へと方向転換する。
一瞬で相手の目的を弾き出したのは、情報屋としての柴崎の知識が物を言ったようだ。館長室の本の中に検閲対象があったかなど、直ぐに思い出せるものでもないだろうし。
そして柴崎という人間を理解し、彼女を無条件で信じる笠原も対したものだ。
光は優秀だが、若干柔軟性に欠けるのかもしれない。
2人が館長室前までやってくると、一足遅く良化特務機関の兵士が本を持って出て行くところだった。しかし彼らがザイルを持っているのを見た光は、彼らが屋上からリペリングするつもりだと見抜いて屋上へと向かう。
光の読み通り、屋上にいた兵士を発見した光は、彼を狙撃して兵士の降下を防ぐ。だが、兵士は残された力で本を図書館の下へと投げ捨てる。
このままでは良化特務機関に先に回収されると判断した郁は、自分がリペリングすると提案するが、光は自分がやると言い出す。
「あんた高い所駄目でしょ」
「お、お前なんかに気遣われる謂われは、ないっ」

「いい加減にしなさいよっ。
全部一番じゃないと気が済まないの?」
この後に及んで意地を張る光に、郁の喝が飛ぶ。
危険だからか、それとも単に過剰なプライドからか、いずれにしても何でも自分がしよう、というのは仲間が信用できていないからなのでしょう。
先に堂上が言っていた通り、チームプレイの重要性を学ぶ機会となったのかな。
その言葉に光は大人しく従い、降下する郁のバックアップに徹する。
光の援護射撃の中、無事に降下、良化特務機関より先に図書を確保するが、周囲を良化特務機関の兵士に取り囲まれてしまう。
無理をして走り抜けるしかないと判断し、カバンを抱えて走り出そうとした郁だが、そこに無線で報せを受けていた堂上たちが駆けつける。

「アホ!
お前は脊髄で物を考える癖をどうにかしろっ。
案件は脳まで持って行け!」
「開口一番、失礼千万なんですがっ?!」
「……頼むから、
銃撃の中、援護も無しに突破しようとか考えるな。
連絡を受けた俺が到着する事ぐらい、織り込め」
真剣なまなざしで、まじめに語る堂上の言葉と様子に、本気で心配させたと反省して素直に謝る。
援軍の到着に、良化特務機関は撤退、図書を無事守る事に成功する。
郁は堂上より館長室へと回った判断について褒められる事になる。
認めるべき所はしっかりと認める、そうした見極めと切り分けはしっかりとしているようです。さすがは教官。
今回の一番の手柄は不明図書の居場所を探し、相手の狙いを読み切った柴崎な気もするが
その夜の帰り道、郁と連れ立って歩く光はある提案をする。
それは……

「俺と付き合わないか?」

突然の言葉に、郁は驚きに声を上げる。
突然の告白です。
ほんの少し前まで敵意を見せていた相手に対して言うか? それとも、実は付き合うというのは、訓練に付き合うとか、そういう意味かもしれない。でも、ラブコメ作品だしな。
本気で告白なら、相当な堅物です。『提案』とか言い出すのですから。
告白だとしても流石にいきなり付き合うことはないだろう。そもそも笠原は男と付き合った事とかはなさそうだし、簡単に付き合うことの出来るタイプではなさそうだもんな。


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