ヘンな間取り | ただのオタクと思うなよ

ヘンな間取り

ヘンな間取り研究会
イースト・プレス
発売日:2010-02-01


発想はアリだが、ネタに無理がある

 3月と言えば卒業だの人事異動だので人が動く季節。やっぱりこの時期が引っ越し屋さんの最需要期なんでしょうね。そして当然不動産屋さんも。

 で、当然玉突き的に儲かるのが、賃貸住宅情報誌なのであります。一冊200円からの、一見たわいもない実用誌に過ぎない住宅情報誌ではあるのですが、あれって、見ているだけで結構わくわくさせてくれるものなんですよね。買い物は買ってしまうより選んでいる間こそが醍醐味とよく言いますが、「この間取りがいい」「この条件も捨てがたい」などといろいろ眺めながら妄想を膨らますのも、ある意味エンタメ的要素だったりします。私もこれまで4度ばかり引っ越しを経験していますが、決めてしまう前が一番楽しいです。

 ちょうど、時刻表を眺めながら脳内で日本一周の旅をする感覚に似ています。

 ところが、その住宅情報にも「トンデモ」は存在するようです。きょうはそんなかぐわしいネタを集めた一冊「ヘンな間取り」というコンビニ本を紹介しておきます。

 最近ではデザイナーズマンションなどというものが人気を得ているようで、普通の間取りで建てたのでは借り手も寄ってこないようです。そこで、少しでも奇抜なものを、と思い巡らした結果、実際に住むには何かと支障を来す部屋も少なくないとか。そんな奇形の部屋を集めたものなのかなと、このタイトルを見たら思うことでしょう。

 でも、そんなものじゃないのです。例えば全く窓のない2畳半の1ルーム、しかもバストイレなし。そんなものもが存在するようです、この本によると。出所は不明ですが。小菅のあそこでさえ、小窓くらいはあるって話ですから、これはもう逮捕された方がまだましというレベルですね。

 でも、まだそれはいい方。何しろ部屋には入れるんだから。もっとひどい部屋があるそうです、この本によると。つまり、玄関から先に進めない部屋。どうやって作ったんだそんな部屋。


 いやねえ、少し読み進めれば気がつきますが、これ、単なる印刷ミスの集大成でしょ。そんな玄関の目の前が壁だけの部屋とか、入れない部屋がある家とか、作るわけないじゃないですか。作ってる段階で気がつくでしょ、そもそも。無駄に長い廊下とか、お風呂がベランダにあったりとか、そういうちょっとヘンなのもありますが、古いアパートでそういう立て付けのへがあるのを私は知ってますし、無理に笑わせようという意図が見え見えの部分も。

 制作サイドも発想段階では「これはいける」と思ったのでしょうが、ちょっと企画的には安易かな。まあ、所詮500円のコンビニ本、いちいち目くじら建てることでもないですがね。それでも、もう一ひねり欲しいなあ。