目のつけどころ | ただのオタクと思うなよ

目のつけどころ

目のつけどころ/山田 真哉

¥1,260
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アイデアのパターン帳

 ほかの仕事でもそうなのでしょうが、ものを書くことをメシの種としている身にとって、ネタの発掘は生命線そのもの。ネタを生み出すのに何より必要なのはセンス。そのセンスをとは、決して天性のものではないと、最近ようやくわかってきたような気がします。

 これは知恵の輪のような立体パズルの解き方に近いような気がするのです。外れそうで外れない二つの金属のピースを、少しずつ違う角度からチャカチャカ動かしていくことで、あるとき、すぽっと抜ける瞬間がやってくる。

 ネタ探しでも、同じことを繰り返しても新しいネタにたどり着けることはなく、少しずつ見方をずらしていくことで、ある見方をした瞬間、ぴんとくるネタに出会う。要はこの繰り返しこそがネタ探しの極意。

 そこさえ押さえておけば、後はこれをどう効率よく回していくかが良質なネタを掘り当てるカギとなるわけです。

 そのカギを見つけ出すための公式集とでも言うべきなのが、今回紹介する一冊「目のつけどころ」です。

 筆者は公認会計士でありベストセラー「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」の著者、山田真哉さんです。「さおだけ屋~」のヒット以降、次々とミリオンセラーを連発する山田さんの成功の元となっているのが、まさにこの「目のつけどころ」に対する執着。それを常に繰り返し続けた極意をいくつかのパターンとして紹介していくのがこの本の主題です。

 反対語で考え直してみるとか、雨が降ったときなど不意の出来事を想定してみるとか、どのパターンも、どこか別の発想術本で書かれていることだったりしますが、そう思った方は受験参考書のドリルのつもりでさらりと読まれるのがいいと思います。私もそのように読ませていただきましたから。

 もちろん、こういうアイデア発想術は初めて、という方には格好の入門書であり、またいつでも立ち戻るべき基本パターンのネタ帳として使い倒せる内容です。英単語帳のように、アイデア出しに詰まったらぱらぱらめくって見返してみると、きっとヒントを引っ張り出すことができるでしょう。