空気を読むな、本を読め。 | ただのオタクと思うなよ

空気を読むな、本を読め。


医食同源、書食同源

 本の読み方、早く読む方法、多く読む抱負について書かれた本はあまたあり、私のこのブログでもたびたび取り上げてきましたが、結局すべてに共通していえるのは「四の五の言わずに好きな本からまず読め」ということにつきるように思います。

 そしてその数をどんどん増やしていくこと。「できる範囲で」というよりも、読む数を継続的に重ねれば自ずと目は慣れ、勝手にスピードは備わってくる。それをとことん極めればやがて読まずにはいられない体へと変化していくものだと、これは私の2年弱の経験からはっきり断言できます。

 そしてそのことを極限まで体現してくれているのが、ご存じの小飼弾さんでしょう。その弾さんが初めて書いた自らの読書論「空気を読むな、本を読め。」を今回は紹介しましょう。

 最近のビジネス書系書籍の看板の1人に列せられる弾さんですが、その中でも読書量は間違いなくナンバーワンでしょう。

 1冊10分で「読了」してしまうというその離れ業の秘密は、割とシンプル。まず目次にしっかり目を通して、全体の骨格を把握、それまでの経験などから自分がだいたいわかっていることと、そうでないことを見極め、知らなかったことを重点的に、一気にページをめくっていく。だいたいこんな行程のようです。

 こう書いても「いやそんなの無理無理」「小飼弾だからできることでしょ」とご託並べてあきらめてしまう人の方が多いのかもしれませんね。でもその言葉、半分正解で半分大嘘じゃないでしょうかね。

 「弾さんだからできること」おそらくそれは事実です。でもそれは「人の何千倍も読む経験を重ねてきた」弾さんであり、それ以上でも以下でもない。つまりこの「人の何千倍も読む経験を重ねてきた」の言葉の後に自分の名前を当てはめる作業をすればいいだけのことです。私も何千倍とまではいきませんが、15倍くらいは読む経験を積み重ねた結果、こうして日々、本の感想文を書けるようになったのだと、この一冊を通して改めて感じた次第です。

 「でも、じゃあ何を読めばいいの?」。弾さん曰く「エロ本でもいい」。ほら、簡単じゃないですか。エッチな写真やむらむらする官能小説を読みながら、頭の中で本能と理性を戦わせるのは立派な思考ですからね。

 もちろん漫画でもOK。というより、本と名の付くものに線を引かないのが弾さんの基本理念なのでしょう。どんな本だろうと、和食か中華料理かくらいの違いでしかないのでしょう。食べ物も読み物も同列というのが根本にあるようですからね。それはあるいは、若い頃に7000もあったという蔵書を火事で灰にしてしまったことへの鎮魂の意味も込められているのかもしれません。

 つまらないご託を並べる暇があるなら、まず手元にある本からゴクゴク読んでいくことからまず、始めましょう。