旦那と離婚についていやーな話し合いが続いた2022年。

 

初めて、パリで、自分のために救急車を呼んだ。

 

 

 

 

数日間胃の調子が悪いなぁとは思っていたが、さらに少ししてお腹が痛くなりはじめる。

 

とりあえずかかりつけの医師に診てもらい、痛み止めと検査を処方される。

 

が、その翌日痛みがピークに。

 

前日見てもらった医師に電話を試みるが、受付の人に今は繋げないと言われる。

 

次第に痛みで全身が震える。


立ってられない。

 

 

 

 

これはおかしい、そう思って、たまたま家にいた旦那にSAMUを呼ぶようにお願いする。

 

お迎えが来るまで・・・アパートの下で1時間近く待っただろうか。

 

でもこれは電話で特に緊急性がないと判断されたからだと思う。 

 

 

 

タクシーのが良かったかも…なんて考えるが、病院の受付で並んでSAMUのお兄ちゃんたちが手続きをしてくれたのは助かった。

 

 




そしてそこから待って・・・

 

看護師さんに診てもらって・・

 

また待って・・・

 

お医者さんに診てもらって・・・

 

また待って・・・

 

CTをして・・

 

また待って・・・

 

 

 

合計、11時間、滞在した。

 

うち、診察や検査に当てられたのは合計1時間くらいだろうか。

 

つまり、10時間くらい待ってた事になるのだが。

 

 

 

 

 

ひとつ、フランスらしくて(苦しみながらも)笑えたエピソードがある。

 

少し和らいだ痛みがまた波のように襲って来た時、私は硬く冷たい椅子が壁に沿って並ぶ大きな部屋で待たされていた。

 

救急外来について7時間ほどたった頃だったと思う。

 

私はとにかく痛みで座ってられなく、地べたに座り込み(この際汚いのは関係ない)、上半身を椅子で支える状態で耐えていた。

 

周りには黒人や謎に南アジア系の人が多い。

 

みんなこっちをチラチラ見るが、誰も声はかけない。

 

いや、むしろ、かけられても困るから、それでいいのだが。

 

 

 

 

 

その部屋は受付と複数の病棟の交差点らしく、医者や看護師がせかせかと何度も通るのを見る。

 

誰もこっちを見ない。

 

痛みに耐えつつ、ぼんやりと、

 

(日本やったら・・・看護師さんが・・・優しい声で・・・心配そうな顔で『大丈夫ですか??今すぐ先生に診てもらいますからね!』なんて・・・言ってくれるのだろうか・・・)

 

なんて考える。

 

 

 

 

 

 

と、そこで黒人の看護師さんが数メートル先をさーっと通り・・・

 

こっちを二度見し、

 

二歩ほど後戻りして、私にそこから大きな声で言った。

 

 

 

 

"Eh M'dame! Si ça va pas faut le dire hein!!"

 




意訳


「ちょっとそこの人!なんかあんのやったら言わなあかんで!!」

 

 

 

 

 

思わず苦笑いした。

 

なんかあるからここにいるねん。

 

サバパやから来てるねん・・・

 

 

 

ちょっと・・・痛くて・・と苦笑いしながら小声で答えると、その人は私にぶっきらぼうに名前を聞き、パラパラと手元の書類を確認し、「あなたこの次の次ね」と言ってくれた。

 

・・・親切笑い泣き

 

 

 

 

 

 


 

結局そこから潰瘍性大腸炎だと言われ

 

かかりつけの内科の医師に消化器内科に紹介してもらうよう言われる。

 

そこでまた精密な検査を、という事になったのだが。

 

 

 

 

 

 

朝の3時くらいに病院を後にしようとすると、めちゃくちゃ苦しんでそうな中国人のおばさんがぜぇぜぇ言いながら突っ立ってる。

 

私は病院からタクシーを呼べると説明を受けていたが、その人はフランス語が理解できず、途方に暮れていた。

 

結局私がタクシーを呼んであげ、乗り場までゆーっくりと歩くサポートしてあげたが、


この辺はサービス外なのか・・・診察終わったらこっちは関係ない的な・・・


まぁ分からなくもないけど・・・不親切やなぁ・・・


なんて思ったり。

 

 

 

 

 

 


と、言うのが、私の経験。

 

 

 

ちなみに慢性潰瘍性大腸炎というのは誤診だった。この記事を書いた時はまだそれは知らず)

 

いや、誤診というか、CTではまったくその通りの症状が出ていて、抗生物質では治らずぶり返したから細菌性ではなく慢性のだろうと言われていたのだが。(慢性か細菌性か普通どっちからしい)

 

数か月後、胃の調子は相変わらず悪いものの内視鏡検査では問題が見つからず、消化器内科の先生にはなぜあんな炎症を起こしたかは「謎です」と言われている・・・

 

 

 

「過度のストレスとか・・・」

 

と言われ、旦那との半年ほど前からの話し合い、消え去りたいほどの苦しさ、うつ病、・・・等を思うと・・・

 

はは・・・そうかも・・しれないですね・・・

 

と苦笑いしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

あ、最後にひとつ、嬉しかった事。

 

SAMUを呼ぶ前かかりつけの先生に電話したが繋がらず、そこから救急病院に行ったわけだが、

 

やっとスマホを見れた時、先生から3件の着信履歴があり、心配そうな留守電も残してくれていた。

 

 

 

 

フランスの、パリみたいな他人だらけの都会のドクターでも、そうやって心配してくれるんや。

 

 

 

 

 

 

最近かかりつけになってもらったばかりのドクターだったが、


旦那にすら心配されてなかった分、


一人は私の事を(それが仕事でも)心配してくれたんだと思うとちょっと嬉しかった。