旦那とは、子供が生まれる前から「ジェンダーフリーな教育にしようね」と話し合っていた。

 

この点の教育に関しては、ここ数年やっと世界の一部の社会で議論がなされてるくらいで、正解が出ているわけではないと思う。

 

あくまでも私は、この時代にパリと言う街で育って、辿り着いた理想や価値観があって、それに基づいて子供を幸せにしたいと思っているまでだ。

 

 

 

 

そして、この点においては、同じ考えをもつ人をパートナーに選んでいた。

 

 

 

 

・・・・はずだったチーン

 

 

 

 

言語教育でガラガラと崩れ落ちた協力関係、信頼関係が、ここでも崩壊し始めている。

 

 

 

 

 

4歳の息子の髪が長いのは、髪が綺麗で似合っているという理由からだが、幼稚園に入れる前に何度か

 

「切ってあげなかわいそうやで。いじめられはるで」

 

と言われていた。

 

しかし旦那と私はその助言は無視していて、実際息子はそれでいじめられた事はない。

 

むしろ、一度クラスメイトのパパさんに

「息子の髪の毛切ったら、〇〇君(息子)みたいな髪が良かったのに!って怒られたわ~(笑)」

と言われたくらいだから、子供は大人が思っている以上に柔軟に多様性を受け入れるんだと思う。

 

 

 

 

 

ただ、旦那は、息子が女の子に間違われる事を極端に嫌がっていた。

 

思えば、そこから少しズレが生じていたのだろう。

 

 

私は「かわいいお嬢さんですね」と言われれば、「メルシー、男の子なんです」と笑顔で答えていたのだが。

 

旦那はそれがなかなかできないと言う。

 

髪が長い以上、相手に間違われてもしょうがない、だからきつく違うとは言えない、と言うのだ。

 

 

 

 

 

・・・分かるようで、分からない。真顔

 
 
 
 
 
とりあえず私は旦那に寄り添うつもりで、性別を間違われないよう「男の子っぽい服」を着せてあげていた。
 
息子はピンクが好きだとよく言うが、特に黒やグレーの服ばかり着せる事に不満はないようだ。
 
家でお絵描きする時は存分に好きな色を使わせればいいか、くらいに思っていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
ところが数日前、旦那がいない朝、息子が
 
『妹のヘアバンドを着けて幼稚園に行く』
 
と泣く事件があった。
 
 
 
私は少し困って、
 
「でも、これ、普段は女の子がつけるもんやねんで?」
 
と説明する。
 
 
 
(ジェンダーフリー教育に誤解のないように言っておくが、社会的規範が存在する事を否定してはいない。各世代に、規範の正当性を問う責任がある、と考えているだけだ)
 
 
 
私「それで嫌な事言われるかもしれへんで?」
 
息子「いいのォ~(泣きながら)」
 
私「もし、女の子や~!って言われたら、ちゃうもん、男やもんって言える?」
 
息子「言う~(泣)」
 
私「女の子がつけるもんやねんで~って言われたら、別に男がつけたらあかんなんてルールはないでって言える?」
 
息子「言う~(泣)」
 
 
 
 
・・・こうなれば、私は、断る理由がない。
 
それでも、旦那を思うと、嫌な顔しはるやろうなぁ・・・と思い、なんとか交渉の末、ブレスレットみたいに手首に巻く事で満足してもらえた。
 
 
 
 
 
 
が、その日の晩旦那にそのエピソードを話すと、
 
「ヘアバンドつけて登園とか論外や」
 

と即答される。

 
 (私は正直この時点で、「僕の葛藤を尊重して、手首で我慢してもらう事にしてくれてありがとう」と言われるくらいかと思っていた。甘い、自分、あまりにも甘かった・・・)
 
・・・食い下がる私。
 
「ちょっとまって、そんなあっさり答えんといて。まず考えて。」
 
「私は妊娠中から、いろんな記事、いろんな文献を読んできて、いろんな意見を聞いて、何がベストか考えようとしてるねん。即答はやめて」
 
 
 
ここで前日に(やはり旦那はいなかった)息子がすでにそのヘアバンドをつけて見ていた事を説明する。
 
マスタード色で金髪の髪になじんでいてけっして目立たないやつだが、それを付けた時の息子の笑顔・・・
 
キラッキラに目を輝かせて嬉しそうにしているあの顔・・・
 
そして、翌朝の、着けたいと言って泣いているあの顔・・・
 
 
 
 
それでも旦那は、
 
「そんなん、いじめてくださいって言ってるようなもんや!」
 
「僕は息子を守るのが優先や!だからいじめられる要因を作るのは大反対や!」
 
と答える。
 
 
 
 
・・・分かるで。
 
私も、それは分かる。
 
でも、それって、「髪切ってあげないじめられはるで」って言ってはった人らと同じ意見やん、と言うと、
 
「はあ???髪が長いのとヘアバンドつける事の違いも分からへんのか!」
 
と旦那。
 
 
 
ちゃうやん。
 
それで言ったら、スペクトラムの話やん。
 
自分のカーソルをどこに当てるかやん。
 
一部の人にとって、男の長髪はありえない。
 
でも一部の人は、別に男の子がピンク着てもいいんちゃう?って思ってるわけやん・・・・
 
いじめる側が悪いと言っておきながら、その人たちの意見を優先するん?
 
息子の希望より?
 
(これに関してはフランス人としてか、日本で見かける「容姿のことでいじめに遭ってたので、美容整形して見返してやりました〜」ってエピソードを聞くと毎回ドン引きする事を思い出す。え、そいつら正当化してるやん。ブサイクやったからいじめられてしょうがなかったって受け入れてるやん。いじめたやつらと同レベルかよ、と、毎回ドン引きする。つくづく自分は日本人じゃないんだなと思う程に。)
 
(もちろんこう考える日本人もいるだろうが)
 
 
 
 
第一息子がいじめられるかも分からへんのに?
 
 
 
息子は長髪でもいじめられへんかったやん。
 
なんで決めつけるの。
 
一度つけていって、なんか言われたら、その時考えればいいやん。
 
 
 
 
姉の知り合いに息子を育てているゲイカップルがいるが、その子供は学校では
 
「え、お前父ちゃん二人いんの!うっわ、いいなー、めっちゃラッキーやん」
 
と言われているらしい。
 
 
腐った偏見にまみれた大人は
 
「ママがいないなんて!いじめられるに決まってる!!」
 
と言うのだろうが。
 
 
 
だから、子供にいじめられてほしくない、守ってあげたいという気持ちだったとしても、それでも私は慎重に、決めつけないで考えるべきだと思う。
 
 
 
 
 
 
ただ、私は子育ての原則として、
 
パートナーと言う事、そして自分自身の言う事に一貫性を持たせる、というのを最重要視している。
 
子供にきちんとした枠組みを与えるべきだと考えているから、旦那と違うルールだったり、自分自身がブレブレの指示を子供に出すのは絶対やめるべきだと思っている。
 
 
 
 
だから、ここは、旦那の考えに従うべきなのか・・・
 
と思うと悲しくなったが、出口を求め
 
「じゃぁ、幼稚園でいじめられるのが怖いんやったら、いつやったらヘアバンドつけていいの?」
 
と聞いてみる。
 
 
 
 
 
旦那の答えには絶望した。
 
 
「そんなん、別に家で女装してふざけたいんやったら勝手にしはったらいいやろ」
 
 
 
 
 
・・・・女装チーン
 
ふざけてチーン
 
 
ジェンダーフリーとか言ってたやつの口から出た言葉とは思えない。
 
 
 
旦那はあの息子を見ていないのだ。
 
 
あの、自分がかわいいと思ったヘアバンドを身に着けた時の、嬉しそうな顔。
 
目を輝かせて満面の笑みだった、あの息子の顔を見ていないのだ。
 
女の子のものを選んで満足してるのではない。
 
ただただ、かっこいいと思った虎のリュックを背負った時と同じように、かわいいと思ったものを身につけた時の満足だ。
 
そして、「ヘアバンドはやめとき」と朝私に言われて大粒の涙を流す息子の顔も、見ていないのだ。
 
だからそんな事が言えるに違いない。
 
 
 
 
 
 
 
ひとつ読んだ記事で印象に残っているのが、
 
「最終的に親の目的は子供に幸せであってもらう事。」
 
「もし息子がワンピースを着て目を輝かせるのであれば、それを禁止する理由なんてひとつもない」
 
「それで息子が社会の壁にぶち当たった時に、その理由を説明する事が大事」
 
「そしてそんな時に、その子を全力でサポートする親、家族、友達がいれば、なんの問題もない」
 
と言う物。
 
(もちろん、これは国や文化によるから、こういう記事はどこの誰が誰を対象に書いたか見るのが重要だが)
 
 
 
 
 
 
髪の長い息子を女の子だと言う人を、自信をもって訂正できないでいる旦那は、おそらくこの「全力でサポートする」のもできないんだろう。
 
ヘアバンドなんかつけてたら、いじめられて当たり前や、と思っているのだから。
 
 
 
 
 
 
長文の末、残念ながら、
 
『という事で我が家ではこうする事にしました~』
 
と言うまとめは書けないでいる。
 
 
 
 
 
最悪、私は息子に
 
「ごめんな、パパは息子君はヘアバンドつけたらあかんって思ってはるねん」
 
という事もできるが、これは避けたい。
 
パパもママもこう考えてるねん、と言ってあげたい。
 
親がそれぞれ個々の考えを持っているのを伝えるには、まだ息子は小さすぎると思う。
 
 
 
 
でも、私が旦那の考えに寄り添おうとしてるのと同じように、旦那が息子と私の考えに寄り添おうとしないのであれば。
 
深く考えずに「あかんもんはあかん!」「僕は息子を守ってるだけや!」「あんたは息子をいじめの対象にしたいんか!」と言うのであれば、そうせざるを得ないかもしれない。
 
息子の笑顔が見たいから、例えば二人きりの時に、「パパには内緒やで」と言って好きにさせるようになるかもしれない。
 
 
 
・・・あかん、そんなん不健全や。
 
あまりにも、一貫性を掲げる私の思う子育てとかけ離れている。
 
 
 
 
 
自分の思ってた子育てと全然違いすぎて戸惑っている。
 
 
 
 
 
 
言語教育頑張ろうね、と言っていた旦那。
 
それがそれをすっかり諦めた今、「4年間英語を強制しやがって!」と勝手に私が決めつけた事にしている。
 
 
ジェンダーフリーにしようね、と言っていた旦那。
 
今や、マスタード色のヘアバンドを着けたいと思う息子に対して、「ふざけて女装するなら家でしろ」と言っている。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
旦那、あんた、ほんま、誰やねん。。。
 
 
 
商品の偽装表示に騙された気がするにまで至っている。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(書いて吐き出したらちょっと満足して、と言うか放心状態になってブログ放置しがちです。コメントの承認と返信、遅くなるかもしれません。また、「いじめられないようにやっぱり皆んなと同じ枠に入れてあげるべきやで〜」というなんとも日本人的な考えは、私は熟考の末受け入れない事にしたので(そう言う考えも尊重します、ただそんなパートナーを選んだつもりじゃなかったって話です)、そう言った方向性のコメントは承認すらしないかもしれません、ごめんなさい・・・今メンタル弱いんです・・・悲しい