「情動伝染」ストレスは周りの人に伝染する | 52歳で実践アーリーリタイア

52歳で実践アーリーリタイア

52歳で早期退職し、自分の興味あることについて、過去に考えたことを現代に振り返って検証し、今思ったことを未来で検証するため、ここに書き留めています。

世界の政治体制の勉強が一段落したので、前から積読していた動物学に関する著作に手をつける。

 

まずは、類人猿研究の第一人者、動物学者フランス・ドゥ・バールの最新刊「ママ、最後の抱擁:私たちに動物の情動がわかるのか」を読んでいるのですが「情動伝染」という概念が非常に面白かったので、忘れずにメモります。

 

情動伝染とは、私が感じている今の情動は、周りの人にも同じ情動を喚起してしまうという現象。これは動物の世界も同じ。

たとえば、人間の赤ん坊は他の赤ん坊が泣いているのを聞くとすぐに泣きだす。飛行機の中や産科病棟では、赤ん坊がまるでカエルのように声を揃えて泣くことがある(「ママ、最後の抱擁」第2章 心を覗く窓より。以下同様)

生物学的には、この現象は、およそ25年前に発見されたミラーニューロンの引き起こす現象として解明済み。

ミラーニューロンは、私たちがカップに手を伸ばすといった行動をとるときだけでなく、誰かがカップに手を伸ばしているのを目にしたときにも活性化する。これらのニューロンは、私たち自身の行動と他者の行動とを区別しないので、私たちは他者の立場に立てる。他者の行動が私たち自身の行動となる。

ミラーニューロンは人間はもちろん哺乳動物にもセットされているので、猿の赤ちゃんがお母さんの真似をする、お母さんが真似をされて喜ぶ、などの行動も引き起こします。

 

例えば、

 

お気に入りの相手とのデートに誘うことに成功したら、相手の動きを残らず真似てみましょう

 

とある実験で相手がグラスに手を取ったら自分もグラスを手に取る。相手がテーブルに肘をついたら、肘をついてみる。逆に全く相手の行動とは違う態度で振る舞う。すると真似する方の相手をはるかに好むことをデートの相手が報告したという結果に。

 

人は行動を真似されることによってミラーニューロンが活性化され、真似した相手により好意を持つようになる傾向にあります。

 

逆もまた然り。

 

周りにマイナスイオンをやたら発している同僚がいると、周りの人は一気にストレスを感じてしまう。情動は伝染するので、ネガティブな形でミラーニューロンが活性化されてしまうのです。

 

上記記事によれば、ストレスを感じている人を見ただけで自身のストレスホルモンが分泌されてしまうらしい。なのでマイナスイオンが充満した職場にはできるだけいない方がいい。在宅勤務か取引先への外出か、あるいは会議か。。。

 

私も勤務時代に、(私含め)部下をやたらめったら怒る厳しい上司の下で働いていた時、ストレス耐性の弱い(と人事から言われたらしい)後輩が異動してきて、この人だけは怒らないよう上司も気をつけていたのですが、そして実際彼女には1回も怒らなかったのですが、彼女だけがメンタルやられてしまいました。

 

これも彼女のミラーニューロンが活性化したのに違いない、と今ではわかります。

 

以上、情動伝染を知っておくと日常生活の中でいろいろ役に立ちそうです。勉強になりました。