隠岐の島から旧石器の発掘跡 | 歴史ニュース総合案内

歴史ニュース総合案内

発掘も歴史政治も歴史作品も

 島根県の隠岐の島町教委と「隠岐ジオパーク戦略会議」、広島大は5月19日、隠岐諸島最大の島後島から2~3万年前の黒曜石の採掘跡が見つかったと発表した。氷河期には地続きになっていた本州(60km余の距離)から、旧石器人が採掘にやってきていたと推察されている。
 採掘されたのは、島北部・久見地区の海岸部。2007年の豪雨で土砂崩れが発生した場所を広島大の研究者らが調査し、地下2.5~4mの箇所に石器時代の採掘層を確認した。これと同時に、砕石のためのハンマーストーンなど約20点の黒曜石石器が発見されてもいる。発掘現場近辺では近年まで天然のガラスになる黒曜石の発掘が行われていたが、発掘物の保存状態は良好だという。
 溶岩が急速に冷えてできる黒曜石は、地域による成分差が非常に大きいため、石器の交易範囲を知る上で重要な指標になる。火山から生まれた隠岐諸島では久見地区の他、加茂と津井が黒曜石の産地になっている。流通範囲は広く、朝鮮半島やロシア沿海州からも隠岐諸島系の黒曜石でつくられた石器が出土している。