コンタクトを外して、ポケットに煙草をいれて夜に溶ける。

つい最近使い始めた新しいライターを弄りながら、ゆっくりと深く煙を肺に入れる。

吐き出したため息と一緒に、あっという間に夜に溶けていく。

何度見ても儚いようで生々しい現実が目の前にある。



だけど今は何もみたくない。



コンタクトを外した世界は、なにもかも歪んでいて、丸くて綺麗だ。

聞こえる音も一緒に消えたらいいのに。



遠くで光る車のライトが夜空に打ち上げられた花火のようで、

手元には線香花火のような赤い火玉。

チカチカ光っては、瞳孔の動きとともに形を変える。


これなら夜になれば毎日花火が見れるなあなんて考えながら、

バカなことを考えてるなあという自覚もある。



ゆっくりと煙草を吸う。

買ったまま部屋に置きっぱなしにしていた煙草。

美味しくないなあ。