- クローズド・ノート/雫井 脩介
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<あらすじ>
堀井香恵は、バイトにクラブにいそしむごく普通の女子大生。ある日、自宅のクローゼットで、アパートの前の住人の忘れ物と思われる1冊のノートがあった。そこには、小学4年生の担任をしている伊吹先生の、学校生活や好きな人に対する想いなどがつづられていた。
ノートを読む香恵は、やがて伊吹先生の考え方に深く共感するようになる。
<感想>
おぉおぉ!コレは噂のアレですか。とある女優の問題発言が物議を醸した例の映画の。
読み終わった後に気づきました。私はこの本、怖いお話と勘違いしていて、少し早めの肝試しのつもりで読んだんです(DEA.TH NOTEと勘違いしたらしい)。
全っ然怖くなかったですよ(知ってますか(;^_^A)。むしろ爽やかで、切なくて、甘くて酸っぱくて心がキュイーンでした。良かったです。良い本でした。一気読みしました。次の日辛かったです。
私の14年間の学生生活を思い起こしますと、それぞれの学年での担任の先生のお名前とお顔はすぐに思い出すことが出来るんですが、強烈に頭に浮かぶ先生が1人います。高校2年の時の担任の先生。男の先生ですが、伊吹先生になんだか似てました。本当に生徒想いで、一生懸命で、不器用で。片想いもしてました。伊吹先生は小4の子たちにしなかったでしょうけど、その先生は私たちにご自分の恋話をしてくださいました。今でも鮮明に覚えています。
忙しい間を縫って、手書きのクラス通信を作るところも伊吹先生と同じ。当時はうっとおしく感じたこともありましたが、大人になるにつれ、その先生への感謝の気持ちが増えていくんです。3月末の最後のクラス通信が社会人になってだいぶ経ったある日出てきて、当時は気づかなかった先生の生徒への想いにそのときやっと気づくことが出来て涙したことを思い出します。伊吹先生の教え子たちも、きっと大人になって「先生」って単語を聞くと、真っ先に伊吹先生を思い出すんだろうな。そういう先生に出会るのって、本当に幸せなことなんですよね。
香恵ちゃんもまた、いい子でした。バイト先の文房具店に万年筆を買いに来た青年のことを好きになるのですが、この片想いがまた健気で可愛らしい。クローゼットの中の伊吹先生のノートに背中を押され、香恵ちゃんは頑張ります。親友がアメリカに行ってしまっても、その恋人に告白なんぞされちゃっても、香恵ちゃんはまっすぐ、自分の心と向き合うんです。きれいな子でした。見目麗しいとかそういう意味じゃなくて。
最後の最後。衝撃の事実が。
私もメガトン級の衝撃を受けました。
運命、って言葉が脳裏をよぎりました。
読み終わったあと、明け方近くだったせいもあり。ボーットしてしまいました。
もう少し先まで、香恵ちゃんたちのことを書いて欲しかったなあと思ったのは私だけでしょうか。気になる気になる。
良かったなあ。本当にいい本でした。読んでいないかた、おすすめですよ。全然怖くないですから(笑)。