見学!高級老人ホーム

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先日
里帰りしていた娘 ドラ子と 散歩中

近所の こんもりとした 林の中に
ゴージャスな建物が あるのを 発見



ホテルのような 車寄せが 見えたので

この建物は 何だろう

と 思って 近寄って 見ると

エントランスの脇に
高級老人ホームらしき 名前が
(↑どんな名前だ?!)



85歳の母と 私の
ふたり暮らしの 我が家にとって
老人ホームは
関係ない ことは ない


扉の内側に
パンフレットが置いてある 棚が見えたので
つい ふらふらと 中に 入っていった

すると
背後から 声がした


いらっしゃいませ
当施設に ご興味がおありですか




いきなり 声をかけられて
しどろもどろの 私と ドラ子


ええ まあ
高齢の母が いるので




私たちに 声をかけてきた
マネジャー と 称する
いかにも 仕事ができそうな その中年女性は

どうぞ どうぞ こちらへ

と 手で   
促し


気付くと 私たちは
身体が沈んで 再度 立ち上がれなくなるくらい
フカフカのソファに 座っていた

そして
自分の常識とは ケタが違う
施設の 超高額入居金や 月々の超高額管理料
超豪華充実設備の説明を 受けていた


すべてが オドロキだった

私の 頭の中では
クレージーキャッツ 植木等のセリフが
リフレインされていた

お呼びでない お呼びでない
こりゃ また 失礼いたしました~



でも だからといって
熱心に 説明を続ける 相手の言葉を 遮り

帰ります

とは言えない 私


娘 ドラ子は 早々に そんな母を見捨て
その場を 離れ
建物内の インテリアを見ているフリを している





せっかく
お嬢様と二人   いらしたんですから
今日 ご見学されたらどうでしょう

お昼の食事が ちょうど 終わった時間なので
入居者の方々の それぞれの 日常のご様子が
よくわかると 思いますよ


と マネジャーは言う


で でも 今日は突然なので
ちょっと 時間が…


断ろう とする 私


では ざっと ご覧になるだけでも
10分も かかりませんから


食い下がる マネジャー


なぜだ?!

彼女は 私が そんな大金を 出せる と
思っているのか


ちなみに
その日の 私の服装は
上から 下まで ○ニクロ

ドラ子も 似たり寄ったりの   服



でも 実は
こちらに ちょっとだけ
その 超高級な老人ホーム というものを
覗いてみたい
という スケベ心が あった

マネジャーには それが 見えたんだろう


お忙しそうですから
急いで   見ちゃいましょう


と もう 席を 立っている



え~ 困ったなあ
じゃあ 少しだけ


渋々なカンジで 私も 席を立ち



だけど 結局は

じっくりと 見学させてもらい

質問も さんざんして

1時間くらい そこに いた


スケベ心   全開だったな





最初に 案内された
広々としたホールの ゴージャスさは
まるで 高級ホテルのようだった


そこかしこの ソファには
オシャレな服に 身を包み
さり気なく   アクセサリーをつけた
上品な老婦人たちが 座っていて

その脇の ロッキングチェアには
英語の本を読んでいる 老紳士がいて

入居者たちの 優雅な佇まいも
高級ホテル そのもの


ただ
ホテルと 違うのは

その場が
静かな 静かな 空気に
包まれている と いうこと



そんな空気を 邪魔しないよう
スタッフたちは
気を遣いながらも きびきびと
自分の仕事を   こなし

時々 入居者に 親し気に声をかけ

さり気なく 入居者を 見守っている


そこは
十二分な財力の上に 成り立っている
恵まれて シアワセな空間




そこに
アスコットスカーフをした 品のいい老紳士が
エレベーターから 降りてきた


○○さん お散歩ですか


マネジャーが 声をかけると


ええ タバコを 一箱 買いにね

ついでに ここは 老人ばかりだから
ちょっと 外に出て 若い人を 見てこよう
と 思って


そう言って ドラ子に向かって
ウインクをしたような しなかったような


そして その老紳士は
背筋を ピン と 伸ばし
すたすたと 玄関の方へ 歩いて行った


その   彼の後姿を 見送りながら
マネジャーは   言った


あの方は 認知症なんです

でも ここでは そういう方も
皆 のびのびと 暮らしていらっしゃいます

例えば 今 外出される時も
安全のために 必ず スタッフが付き添います



なるほど
その紳士の 脇には
さり気なく スタッフが付き添っている




そういう 付き添いって
月々の介護料に 含まれるんですか

と つい 下世話なことを聞く 私


いえ
個人的なお世話に関しては
時給2000円で 承っております


ひえ~

と いうことは
一箱のタバコを 買うために
タバコ代+2000円 支払うのかあ

と またまた 下世話なことを考える 私



隣にいた ドラ子も

だったら   まとめて買いにいったほうが
トクだよねえ

と 私に囁く



親子共々 下世話だ





でも

と 私は 思い直す


こういう外出は 恐らく
ここに暮らす 彼にとって
数少ない 刺激的なイベントなんだろう

価値ある 2000円なんだろう







ホームの見学が 終わって

詳しいパンフレットを 受け取って

玄関の外まで出てきて 見送ってくれた
マネジャーに


素晴らしい施設で とても 気に入りました

母のこと 前向きに 検討します


と いうようなことを 言って
帰ってきた

ウソだけど






その日の 夕飯の時

母に ゴーカ老人ホームのパンフレットを
見せながら
今日 見てきたことを 話した



母は パンフレットを一瞥した   後
言った


全然   いい   と   思わないわ
こんな   気取った空間での   生活なんて

それより
タバコ買うのに 付き添うだけで
自給2000円 もらえるんだったら
私が やりたい

売り込みに   行こうかしら

私だったら
歩く道々 昔の懐かしい話も
してあげられるわ





足腰だけは自慢の 母 85歳


それを筆頭に
親 子 孫 と 3代に渡って
なんて 下世話な家族
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