$安倍寧オフィシャルブログ「好奇心をポケットに入れて」Powered by Ameba




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2016年11月28日(月) 13時51分57秒

名倉ジャズ・ダンスの魅力は ”波状攻撃”にある

テーマ:ブログ

     総勢100名近い群舞に圧倒される。ただ素晴らしいのひとことです。 (photo:鈴木紳司)

 

 ジャズ演奏は目に見えない。けれど肉体とその動きを借りてジャズ・ダンスに変身すれば、ちゃんと目に見える。時には荒々しく時にはこまやかなリズムの息遣いまでもが見えて来る……。

 

 名倉加代子ジャズダンススタジオ公演『Can’t Stop Dancin’ 2016』の躍動する舞台を見ながら、ふとそんなことを思った(11月3~6日、新国立劇場中劇場、3日所見)。ジャズ・ダンスの本質は、見えないものを見えるものに転化させるところにある、と悟ったということだ。

 

 名ダンサー、名振付家名倉加代子率いるこのスタジオの公演は常に技と力に満ちている。豪胆で繊細、プラス品位がある。しかも回ごとにレベルが向上する。だから私は、かならず見に行く。

 

   21回続いた公演の根拠地青山劇場が閉鎖されたので、その先行きが案じられていたが、新国立という場を得て続演出来たのは大変めでたい。

 

 名倉スタジオの公演は女性ダンサーだけでも90名を数える。しかも60代から20代と年齢層が幅広い。年配組はさすがの技量を見せる。しかも若々しいのがうれしい。中堅の安定感、若手のエネルギーにも目を見張らされた。

 

 ゲストの男性陣には、バレエ系の堀内充、高岸直樹、ジャズ系の須山邦明、裕幸二ら腕っこきを8名をそろえた。当然ジャズだけでなくモダン・バレエ風の演目も登場する。この演目の多彩さこそ名倉スタジオ公演の魅力のひとつだ。

 

 ジャズ・ピアニスト佐山雅弘の生演奏とダンサーたちの共演(競演?)が最高に楽しかった。「Piano Man~誰かが誰かを愛してる」から「As Time Goes By」に至る5景である。どこまで決まりごとでどこから即興なのか、演奏もダンスもはっきりわからない。音楽も踊りも多分にアドリブが含まれるのではないか。生演奏が踊り手たちの表情、ステップをイキイキと輝かせているのが手にとるように伝わって来る。とりわけ名倉、高岸のデュエットが洗練の極みだった。

 

 名倉ジャズ・ダンスの最大の特色は、ダンサーたちが何組にも分かれ、次々と現われては引っ込み、引っ込んでは現われる波状攻撃のような群舞にある。今回もオープニングやフィナーレでこの特色を十二分に発揮してみせた。振付・演出面での名倉マジックの腕の見せどころでもある。

 

 名倉さんの経歴は古い。1960年代、日本テレビの名物プロデューサー井原高忠さんの『光子の窓』『スタジオ№1』などで軽やかにステップを踏んでいた姿が、未だ目に焼きついている。いっときのブームが去ったように見えるジャズ・ダンス界だけに名倉さんの存在はとても貴重だ。

 

 (オリジナル コンフィデンス  2016 11/28号 コラムBIRD’S EYEより転載)

 

リーダー名倉加代子のソロは優雅な流線を描き出す。相手役は高岸直樹。

                                                                             (photo:鈴木紳司)

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2016年10月21日(金) 10時21分00秒

「上を向いて歩こう」の裏に隠れる歴史の皮肉

テーマ:ブログ

  「ユリイカ」10月号が永六輔の追討特集を組んでいる。この雑誌は現代詩の専門誌としてつとにその存在を誇っているが、内外の文化事象、旬のクリエーターにも目配りがいい。マンガ文化とも積極的にとり組んでいて、ことしの3月号は古屋兎丸特集だった。音楽ものでは梶浦由記(2015年11月号)、デヴィッド・ボウイ(16年4月号)をとり上げた号がとても勉強になった。

 

 さて永六輔追悼号である。柔和な微笑みを浮べ、刺し子のはっぴ?姿で、マイクに向う表紙の写真が、故人の粋な人柄を感じさせてあまりある。表2の口元を片手で覆ったクローズアップには「含蓄の笑み」というタイトルがついている(提供大石芳野)。ほかにも昌子夫人とのツーショットなど多数。若い時は結構精悍な顔つきをしている。

 

 音楽界での活躍ぶりについては佐藤剛「作詞家だったことが一度もなかった永六輔」、北中正和「永六輔が音楽に残したもの」がくわしい。今後、作詞家永六輔を語るときの基礎資料となるだろう。

 

 編集者として永の伴走者だった矢崎泰久「わが青春の永六輔」には、「上を向いて歩こう」は「樺美智子に捧げる鎮魂歌のつもりだった」、ヒットして、「永さんの胸中は複雑そのものだった」とある。

 

 60年安保闘争も樺さんの非業の死も、今や半世紀を超える遠い昔の出来事として風化されつつある。しかし風化させてはならないし、作詞家の創作意図はしっかり記憶されてしかるべきだ。

 

 それにしても「ビルボード」誌ヒットチャート第1位に輝いた唯一の日本の歌が、日米安保紛争の悲しい事件に触発されて生まれたとは、なんという歴史の皮肉だろう。

 

 矢野誠一「感性のひと・六輔さん」で語られる俳人永六輔も興味深い。1969年以来、故人は入船亭扇橋を宗匠とする東京やなぎ句会の同人としてその道に励んで来た。ところが永は句作に必要な歳時記を持参したことがなかったという。すべて無手勝流?更に俳句のせいで作詞から足を洗うことにもなる。

 

 「言葉を五・七・五、十七文字にけずることを始めたら、作詞も俳句になってしまうのである」と永は書き残している。永作詞のヒット曲は「上を向いて歩こう」を筆頭に「黒い花びら」「こんにちは赤ちゃん」などすべて、俳句に精進する前に書いたものだそうだ。

 

 私自身、故人とは親しいとは言えないまでも昭和30年代初めからお互いに知る仲だった。2012年1月、ミュージカル「見上げてごらん夜の星を」が再演された際、パンフレット用に対談したのが最後の出会いだった。

 

改めて合掌。

 

(オリジナル コンフィデンス  2016 10/24号 コラムBIRD’S EYEより転載)

 

              柔和な顔つきながら、からだ全体に独特の風格が漂う

                          (「ユリイカ」10月号表紙より)。

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2016年09月30日(金) 15時43分26秒

蔭の立て役者は作詞作曲のシンディ・ローパー

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前回、UPした朝日新聞広告特集の原稿とは別に『キンキーブーツ』についてもう一本書きました。併せてお読みいただければ幸いです。

 

 

厳粛かつ今日的な主題が熱い音楽とダンスで際立つ

 

ミュージカルらしい陽気な楽しさが、小気味よい音楽と溌剌としたダンスともに随所ではじける。ドラァグ・クイーン、ローラの率いるゲイ・クラブとミラノのファッション・ショウの場面では、思わず腰が椅子から浮いてしまう。

 

ブロードウェイでの公演は、2013年4月4日に開幕し、もちろん現在もロングラン中だ。ことし7~8月には東京、大阪で日本人キャストによる舞台もあった。

 

日本版では靴工場の若き後継ぎチャーリーを小池徹平が、靴工場再建に一肌脱ぐゲイの女王ローラを三浦春馬が演じた。三浦がミュージカル慣れしている小池に引けをとらず、大奮闘しているのに目を見張った。

 

そして10~11月には、いよいよアメリカ・キャストによるツアー・カンパニーの公演である。私自身、日本版を結構楽しんだだけに、その残像が消えないうちにアメリカ版が見られるのはとてもうれしい。ふたつのヴァージョンを比較対照出来るだろうから。でもちょっと怖い気もする。

 

題名の『キンキーブーツ』は、ドラァグ・クイーン好みの赤いロング・ブーツを意味する。見た目はほっそりと超スマートに、でも男性を支えるのだから頑丈に作らなくてはならない。

 

生活環境も人生観も異るチャーリーとローラの協同作業はうまく行くのか?そのプロセスに見え隠れするのは、どうしたら立ち場の違う人間同士の間に友愛の情が生まれるのか、という厳粛かつ今日的な主題である。

 

世界のポップ・アイコンが放つ粒ぞろいの楽曲

 

このヒット・ミュージカルの最大の主役は、実は舞台に登場しない、世界の〝ポップ・アイコン〟シンディ・ローパーではなかろうか。ストーリーに寄り添いつつ、一曲々々粒だった楽曲を書き上げた彼女の才能に改めて舌を巻く。そう、この作品の作詞作曲はシンディなんです。達者なもので、今回がブロードウェイ処女作だなんて、とても思えない。

 

シンディの曲作りは、親しみ、気取りのなさを身上としている。一見、自由奔放。すべては、長年、彼女が培い磨き上げて来たポップス感覚のなせる業にちがいない。

 

ミュージカルの作り手たちがよく使う一種の隠語?に〝I wantsongというのがある。作品の序盤で、主人公がこれからの人生でなにを望んでいるかを端的に歌い上げるナンバーのことだ。この手の曲のあるなしが、作品全体の出来不出来を多分に左右することになるという。

 

『キンキーブーツ』では「Step One」がそれに当たる。父の死とともに工場は閉鎖すべきか散々迷っていたチャーリーだが、キンキーブーツ開発に目覚め、断固たる決意を歌に託す。

 

♬昔の僕はゼロだった/でも今、はっきり感じとれる/ヒーローになれるかもしれないって/新しいヒールを作り出してね……

 

見事な〝I wantsongである。

ローラが強かった父からの訣別を宣言する「Not My Fathers Son」も、これぞ魂の叫びと言える絶唱で捨て難い。

 

トニー賞ベスト・オリジナル楽曲賞に輝いてなんの不思議もない。

 

生の『キンキーブーツ』を観劇すれば、蔭の立て役者シンディ・ローパーのオーラをたっぷり浴びることだって出来るのでは……。

 

 

(豊かな無駄時間を楽しむ大人のコミュニティ・マガジン {コモ・レ・バ?} Vol.29 Autumn 2016 より転載)

 

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