$安倍寧オフィシャルブログ「好奇心をポケットに入れて」Powered by Ameba




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2017年06月26日(月) 13時01分36秒

私小説ならぬ“私バラード”の傑作、  はなわの「お義父さん」

テーマ:ブログ

 5分45秒とかなり長尺だ。しかし、歌詞の中身が意表を突いている上、ドラマチックな起伏に富んでいること、更には歌いぶりが飄々(ひょうひょう)としていることも重なって、つい聴き惚れてしまう。

 

 お笑い芸人はなわ作詞作曲、本人自ら歌う「お義父(とう)さん」(K DASH Stage、ビクターエンタテインメント)である。

 

 3月4日、YouTubeで公開され、3週間でアクセスが100万回を突破し、5月24日にはCDも発売になった。

 

 はなわ本人が、去年、結婚15周年を迎えた際、奥さんに感謝の気持を込めて捧げた歌だそうだ。ただし、唯の妻よ有難うという歌ではない。義父に家庭のしあわせな有様を伝えるというワン・クッション置いた仕掛けになっている。

 

 しかも、その義父たるや娘が赤ん坊のとき家出し行方知れずだという。はなわも会ったことがない。そのような家庭の実情を踏まえた歌でもある。

 

 「冷し中華なのにフーフーしながら食べます……」と妻の天然ボケぶりを語るユーモア感覚、まだ見ぬ義父に「いつか孫を見に来ませんか」と呼び掛ける真摯な想い、いずれも心に残る。

 

 作家が自らの体験を隠すことなく書き連ねるのが私小説なら、「お義父さん」のような作り手兼歌い手が自身の身辺実話を素材にした歌は、なんと呼んだらいいのか。差し詰め“私バラード”か。

 

 登場人物は本人、妻、子ども、義父、義母、義姉と実在人物ばかりの上、彼等の繰り広げる物語の人間臭いこと。作家が書いたらかなりの長篇になる人間ドラマが、凝縮され詰め込まれている。この「お義父さん」は、まぎれもなく私バラードの傑作である。

 

フォークソング風の淡々とした曲調、これがまた、じんわり来るんですよ。

 

ところで、この曲を聴きながらふたつの先行作品を思い出した。さだまさし「関白宣言」、美輪明宏「ヨイトマケの唄」といずれも長目のバラードだ。前者にはさだの本音?が見え隠れするし、後者には美輪の母親の姿が投影されている。私バラードに分類しても差し障りないと思う。「お義父さん」が先行2作の同類としてスタンダード・ナンバー化する可能性だって大いにある。

 

 「お義父さん」にはその後も賑やかな話題にこと欠かない。一家と父親の対面も現実のものとなったようだ。更には英語版、中国語版の企画もあるらしい。すでに両国語の歌詞が出来上がり、歌手の選定も着々と聞いている。

 

 K DASHにはかつて「千の風になって」(作詞作曲新井満、歌秋川雅史)という物語性の強い曲を当てた実績がある。そのときのノウハウの蓄積もあるだろう。今回も是非とも大ヒットを!

 

(オリジナル コンフィデンス  2017/6/26号 コラムBIRD’S EYEより転載)

 

思わず笑みがこぼれるコミック・ソングの傑作です。

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2017年05月19日(金) 18時02分51秒

85歳のミシェル・ルグラン、2枚の新アルバムが凄い

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 ことしのゴールデンウィークは、ミシェル・ルグランの新譜2枚(ソニー・ミュージックエンタテインメント)のお蔭で満ち足りた日々を送ることが出来た。

 

 そのうちの1枚『ミシェル・ルグラン:ピアノ協奏曲、チェロ協奏曲』には、表題そのままルグラン作曲のノンコマーシャル曲2曲が収録されている。共演はミッコ・フランク指揮のフランス放送フィルハーモニー管弦楽団、チェロのアンリ・ドマルケット。ピアノは本人自身。

 

 ことし2月24日、ルグランは85歳の誕生日を迎えたというが、ピアノ協奏曲で繰り広げられる超越技巧には老いのオの字もない。作曲家ルグランは、ピアニスト、ルグランの力量にいささかの衰えもないことをしかと承知しているからこそ、このような大曲にして難曲のコンチェルトを書き下ろしたのだろう。

 

 その力強く、粒立った美しさにあふれた演奏には、息を呑むしかない。

 

 チェロ協奏曲の第4楽章に当たる部分は、「ソナタ1‐2‐3(アタッカ)」という名称がつけられ、チェロのドマルケットとピアノのルグランの競演が聞きどころになっている。協奏曲にソナタを持ち込むという大胆極まる遊び心に思わず頬がゆるんでしまう。

 

 遊び心と言えば、ピアノ協奏曲のほうも第1楽章(アタッカ)からして心弾む軽快感にあふれ、遊び心そのものだ。

 

 この音楽家の経歴がクラシック音楽からスタートしたことは、「ミシェル・ルグラン自伝」(高橋明子訳、濱田高志監修、アルテスパブリッシング刊)にくわしい。10代のときすでに厳しい基礎教育を受けている。今回の協奏曲2曲の作曲・演奏は、本人にとって原点回帰以外のなにものでもなかったろう。

 

 残りのもう1枚『ミシェル・ルグラン・アンド・ベスト・フレンズ』は、ルグラン自選による〝歌のアルバム〟である。もちろん13曲すべてルグラン作品だけれど、どの曲にもオリジナルとは異る歌い手が起用されている。いや1曲だけ例外がある。ルグランが自分のために書いた「君が帰って来たら」だけは、以前同様、今回も本人が歌っている。

 

 13曲中、映画『ロシュフォールの恋人たち』の主題歌が「双子姉妹の歌」「マクサンスの歌」「町から町へ」と3曲入っている。それだけこの映画へのルグランの思い入れが深いということだろう。

 

 どの歌も歌詞のフランス語が音楽と美しく響き合う。言葉の響きも音楽の一部と言ってもいいかもしれない。

 こちらのアルバムでも作曲家自身のめりはりの効いた伴奏が、しばしば歌を際立たせずにおかない。2枚を通じ改めてピアニスト、ルグランに瞠目した。

 

  (オリジナル コンフィデンス  2017/5/22号 コラムBIRD’S EYEより転載)

 

         ルグランの新譜、2枚とも聴き応え十分です。

 

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2017年04月28日(金) 12時30分37秒

一回で終わらせたくない「トニー賞コンサートIN TOKYO」

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 トニー賞。アメリカ最大の(世界最大の、と言ってもいい)演劇賞である。第1回は1947年というから、その歴史は古い。アカデミー賞、グラミー賞、エミー賞と並んでそのセレモニーは、アメリカ・ショウ・ビズ界の名だたる年中行事のひとつでもある。

 

 去る3月18日、東京国際フォーラム/ホールAで、そのトニー賞を冠に掲げた〝歌の饗宴〟がおこなわれた。名づけて「トニー賞コンサートIN TOKYO」(主催WOWOW)。トニー賞を看板にするとはうまい手を思いついたものだ。アメリカ以外では初の試みだという。タイトル料、かなりしたかな?

 

 出演者はアメリカからケリー・オハラ(トニー賞受賞者)、マシュー・モリソン(同ノミニー)、日本から井上芳雄、濱田めぐみである。和気あいあいのうちにも、4人の間に熱気と緊張感があふれ、満員の会場は弥が上にも盛り上がった。

 

 プログラムには当然ながらベスト・ミュージカルの受賞作、候補作の有名ナンバーがずらりと並ぶ。煩わしいので曲名は省き、主な作品名のみ記す。

 

 『マイ・フェア・レディ』『ウエスト・サイド・ストーリー』『サウンド・オブ・ミュージック』『レ・ミゼラブル』『オペラ座の怪人』『ライオンキング』。

 

 これらすべて日本語上演されている作品ばかりで、私たちにもなじみ深い。してみると日本はなかなかの〝ミュージカル大国〟ということになるのではないか。

 

 ケリー・オハラの美声が一頭地抜きん出ていた。しかも彼女には自らの美声に酔うという風情がまったくない。たとえば『回転木馬』の「イフ・アイ・ラヴド・ユー」。もともと希に見る美しい恋の歌だが、ケリーが歌うとその美しさがより輝きを増す。恋するヒロインの胸の鼓動が伝わって来るような錯覚さえ覚える。

 

 マシュー・モリソンは、ブロードウェイだけでなくテレビ番組『glee/グリー』のシュー先生役として人気が高い。ただの二枚目ではなく芸がある。彼もキャストの一員だった『ヘアスプレー』をわずか8分に凝縮し、ひとりで演じてみせるというアクトが見ものだった。

 

 日本勢もよく頑張った。とくに井上は、マシューと四つに組んだ『シティ・オブ・エンジェルズ』で新境地を切り拓いた。コンサートにもかかわらず、ただ曲を歌うだけではなく役柄まできちんと演じてみせたのは偉い(ちなみに井上の役はハリウッドのハードボイルド作家、マシューの役は彼が創造した私立探偵)。

 

 濱田は『ファニー・ガール』『エビータ』で歌唱力をフルに発揮した。

 

 この催し、是非来年もやって欲しい。

 

(オリジナル コンフィデンス  2017 4/28号 コラムBIRD’S EYEより転載)

 

ブロードウェイの実力を発揮したケリーとマシューのふたり。
当日のプログラムより。

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