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2016年05月20日(金) 15時43分04秒

湯川れい子さんの人生をカタログ・ミュージカルに

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「湯川れい子生誕八十年音楽評論家55年作詞家50年」お祝いの会の案内状が届いた  (6月17日、ホテルニューオータニ)。心よりお祝い申し上げる。

 

 湯川さんと私は2歳違い(もちろん彼女のほうが若い)の同世代で、戦後体験など重なり合う部分が多い。和田靜香著『評伝湯川れい子音楽に恋して』(朝日新聞出版)に「ジョー・スタッフォードの『ユー・ビロング・トゥー・ミー』は今でもそらで歌える」とあるが、私も同様に歌詞をぜんぶ覚えている。

 

 『天井桟敷の人々』 『欲望という名の電車』など公開時に見て心揺さぶられた映画も変わらない。

 

 1961年1月、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズが来日したおり、ジャズ専門誌「スイングジャーナル」の依頼でインタビュー記事を書く。これがもの書き業のスタートとなったようだ。

 

 湯川さん以前にはジャズ評論家はいたけれど、アメリカン・ポップスを主な対象とする評論家はいなかった。そこがすこぶる新鮮だった。彼女の師匠筋の福田一郎氏は「ポピュラーを男のオレが書くと、ジャズの評論ができなくなっちゃう」と言っていたそうだ。

 

 湯川さんの仕事ぶりは多岐にわたる。なかでも72年にラジオ関東で始まり、長寿番組となった「全米トップ40」で、毎週シングル・チャートを紹介した功績は大きなものがある。この番組を通じてアメリカン・ポップスの魅力を知った若者たちがどれだけ多いことか。

 

 湯川さんと言えばエルヴィス・プレスリーである。歌いぶり個性ともに野卑で低俗と貶められていたデビュー時から、南部出身の白人にもかかわらず黒人音楽に偏見のないその姿勢を評価し続けて来た。当時、エルヴィスの真価が理解出来なかった私などとは雲泥の差である。

 

 エミー・ジャクソン「涙の太陽」(65年4月)以来の作詞家としての足跡についても、改めて語るまでもない。井上忠夫(大輔)と組んだシャネルズ「ランナウェイ」他一連の曲は、ひときわ精彩を放つ。ドゥワップと日本語歌詞の無理のない融合は、長年アメリカン・ポップスに接して来た彼女なればこそ。

 

 湯川さんの家系は代々海軍々人で父は海軍大佐、山本五十六も縁戚だという。そのような血を引く女性が、敗戦後アメリカ音楽のエキスパートとなった。これは歴史の皮肉か、いたずらか?

 

 この湯川さんの人生を物語の主軸にし、彼女が係わり合った洋楽・邦楽曲をとり込んだら、戦後70年をたどる異色のカタログ・ミュージカルが作れるのでは。マイケル・ジャクソンの映像出演もあったりしてね。

 

  (オリジナル コンフィデンス  2016 5/23号 コラムBIRD’S EYEより転載)

 

        湯川さんの著作の数々と和田靜香さんの評伝 (左)です。

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2016年04月27日(水) 13時00分00秒

歌い続けて50年、森山良子の記念アルバム 『Touch Me …』

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 アルバム第1曲目の「この広い野原いっぱい」からびっくり仰天した。森山良子のデビュー50周年を記念して50名の友人たちがレコーディングに参加しているのだ。加山雄三、谷村新司、さだまさし、由紀さおり、岩崎宏美、大竹しのぶ……。

 

 もともとこのデビュー曲の作詞は小薗江圭子、作曲森山だが、はるか遠い青春に思いを馳せる新しいプロローグの歌詞が森山によってつけ加えられている。

 

 森山良子はフォークソング・ブームの申し子である。この曲の素朴な味わいはそのことを裏書きしている。よく通る澄んだ声が似ていたせいか、〝日本のジョーン・バエズ〟と呼ばれたりした。

 

 森山のデビュー・シングル「この広い野原いっぱい」がリリースされたのは、1967年1月である。正式には来年1月、デビュー50周年を迎えるわけだが、前倒しでことしからさまざまな〝花火〟が打ち上げられるらしい。記念アルバム『Touch Me…』(ドリーミュージック)もそのひとつに数えられる。全14曲、いずれも贅を尽くし工夫を凝らした仕上がりを見せている。

 

 「聖者の行進」のスキャットや名ジャズメンの模写の、なんと巧みで堂に入っていることか。父森山久(名トランペット奏者)の血が脈打っている。ソプラノ歌手田村麻子と競い合う「花の二重唱」は、長年のクラシック音楽へのあこがれがほのめいていて微笑ましい。

 

 豪華ということでは「シェルブールの雨傘I Will Wait for You」がひときわ目立つ。サックス5、トランペット4、トロンボーン4を含む超ビッグバンドの伴奏に乗って、森山の歌も気持ちよさそうにスウィングしている。編曲は作曲者ミシェル・ルグラン自身。

 

 この記念アルバムのために自ら作詞作曲した「Sing My Life」は、多くの苦難を乗り越えて来た半生を振り返るだけではなく、これからもたくましく生きていくわよという新たな決意も読みとれる。ピアノ、ギター2、ベース、ハーモニカの素朴なバックと森山の力強い歌いぶりとがよく調和している。

 

 アルバム・プロデューサーには森山自身とともに、フジテレビの名物プロデューサー石田弘氏が名を連ねる。石田さんが手塩にかけて育て上げた長寿番組『ミュージックフェア』で、ダントツで出演回数が多いのは、森山良子だと聞いたことがある。彼以上に森山と相性がよく、彼女の多面的な才能を知り尽くしている人は、多分いないのではないか。このアルバムの完成度の高さは石田さん抜きにしてはあり得ない。

 

 縁の下の力持ちということでは、編曲、ピアノの武部聡志を忘れてはなるまい。

 

(オリジナル コンフィデンス  2016 4/25号 コラムBird's Eyeより転載)

 

 

        このアルバムに森山良子の50年のキャリアが凝縮している。

 

 

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2016年03月30日(水) 18時25分45秒

名作ミュージカルが描く〝生と死〟〝日常と狂乱〟

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グランドホテルを舞台に描かれる狂騒の群像劇

 

People come, people go……(やって来る人もいれば、去って行く人もいる……)」

 

 登場人物のひとりが何気なくつぶやくこのひとことに、ミュージカル『グランドホテル』のすべてが集約されている。それどころか、この一行には、人の世の有様すべてが凝縮されていると言えるのではないか。

 

 時あたかもナチスの不穏な影がしのび寄る1928年、ベルリンのホテルを舞台に、一癖あり気な人物たちが交錯し合う。重篤な病いを背負う会計士オットー、無一文の男爵フェリックス、倒産寸前の社長ヘルマン、ハリウッド女優を夢見るフレムシェン、峠を越したプリマバレリーナのグルシンスカヤなど。

 

 今回の公演ではグリーン、レッドと二組のキャストが組まれている。オットーは中川晃教vs成河、グルシンスカヤは安寿ミラvs草刈民代など。もともと多彩な登場人物を多芸な演者が競い合うことになる。どちらの組の切符を買うとしようか。えーい、いっそ両方見ることにするか。

 

 『グランドホテル』の歴史は長く古い。原作の小説(作ヴィッキー・バウム)が出版されたのは1929年。32年にはハリウッドで映画化され大ヒットする。副産物として、一定の場所での群像劇を意味する〝グランドホテル型式〟という言葉まで生み出した。最近の映画『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014)まで、その伝統は連綿と受け継がれている。

 

気鋭トム・サザーランドが挑む革新的アプローチ

 

 1989年、ブロードウェイでトミー・チューンの振付・演出によりミュージカル化され大成功を収める。91年にはこのブロードウェイ版のツアー公演が日本にもやって来た。このトミー・チューン版では一本の棒が象徴的役割を担っていた。時にはバーのカウンター、時にはトイレの洗面台に早変わりしたりする。この横棒を跨いで踊り狂うオットーが凄かった(今YouTubeで、1990年度トニー賞授賞式の際のこの場面を見ることが出来る)。

 

 去年5月、急逝した演劇評論家の扇田昭彦さんが、この来日公演に触れ次のように書き残している。

 

 「この印象的な横棒は何を意味しているだろうか。(中略)仕事づくしの謹厳な日常から狂乱の祝祭へ。つつましい生から花飾りの死へ。」(朝日新聞社刊「ビバ・ミュージカル!」所収)

 

 『グランドホテル』と聞くと、私は亡き扇田氏の名批評を思い浮べる。

 

 『グランドホテル』のもとの詞・曲を書いたのはロバート・ライト、ジョージ・フォレストのふたりだが、モーリー・イェストン(『ナイン』『タイタニック』)が新たに楽曲を書き下ろしたり歌詞を手直ししたりした。イェストンは作詞と作曲二刀流の強みを十二分に発揮し、補作者以上の働きぶりを見せている。

 

 不気味な劇的高揚感に満ちた幕開きの「The Grand Parade」、嘘か誠かわからない求愛を訴える男爵のソロ「Love Can’t Happen」などお聴き逃がしなきよう。ともにイェストンの書き足した曲である。

 

 先の扇田さんの劇評ひとつ読んでも明らかなように、『グランドホテル』と言うと、トミー・チューンの振付・演出面での才腕ぶりがまず頭に浮かぶ。しかし、今回の舞台はウエストエンドの気鋭トム・サザーランドが演出する(振付はリー・プラウド)。サザーランドはトミー・チューンの作り上げたイメージを保持するのか払拭するのか?例の魔法の杖ならぬ万能の横棒は出て来る、出て来ない?

 

                          ( コモ・レ・バ?}Vol.2 Spring 2016より転載)

 

                                greenとred、2組の競演が楽しみです。

 

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