$安倍寧オフィシャルブログ「好奇心をポケットに入れて」Powered by Ameba




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2016年12月28日(水) 13時26分06秒

ブロードウェイ・ミュージカルと歌舞伎?のハイブリッド 

テーマ:ブログ

  『コメディ・トゥナイト~ローマで起こったおかしな出来事《江戸版》~』

 

 

  企画の発想そのものからして大胆で奇抜だ、日本ミュージカル史始まって以来の、もっとも破天荒な舞台になるのではないか。『コメディ・トゥナイト~ローマで起こったおかしな出来事《江戸版》~』(宮本亜門演出)が上演されると聞いて、とっさにそう思った。

 

 下敷きにしているのは、1962年のブロードウェイ・ミュージカル『A Funny Thing Happened On The Way To Forum』。日本では映画公開時の題名『ローマで起こった奇妙な出来事』  (66、DVDあり)で知られる。と言っても知っているのは一部のミュージカル通だけかもしれないけれど。

 

 もとネタは古代ローマを背景にしたコメディである。今回の舞台では、大筋、登場人物をそのまま残し、背景のみ徳川時代のお江戸に移し替えるという。

 

 主役、布袋屋成田屋の丁稚寅次を演じるのは、歌舞伎界の人気者でミュージカル初出演の片岡愛之助と来た。この役は、原作のミュージカルでは金持ち一家の奴隷スードラスである。

 

 物語は、成田屋の跡取り息子比呂(内博貴)が隣りの女郎屋の新入りお美津(平野綾)にひと目惚れしたことから、いっきょに転がり始める。比呂は寅次に恋の成就のためにひと肌脱いでくれと頼み、寅次はその報酬として丁稚の身分からの〝早期退職〟を要求する。お美津の見受け人、武士の荒尾正蔵(鈴木壮麻、上山竜治)が黙って見ているわけがない。見どころは、次々と起こる行き違い、災難を相手に防戦これ努める寅次の奮闘ぶりになるのでは?

 

 私が映画、ブロードウェイ再演(96)を見た限りではスードラス役者(前者ではゼロ・モステル、後者ではネイサン・レイン)の手八丁口八丁の芸達者ぶりが、爆笑、哄笑を誘う要となっていた。

 

 今回のブロードウェイ・ミュージカルと歌舞伎?のハイブリッド版では、その成否は一に掛かって愛之助のコメディ・センスにあると思われる。

 

 もとネタのミュージカルを作詞作曲したスティーヴン・ソンドハイムは、ブロードウェイのプロ、観客双方から一身にリスペクトを集める、文字通りの巨匠である。『ウエストサイド物語』の作詞、『スウィーニー・トッド』『イン・トゥ・ザ・ウッズ』などの作詞作曲で広く知られる。その作風は作詞、作曲を問わず知的かつ都会的で時には高踏的と言われる。しかし、この作品に関する限りじゅうぶんお洒落ではあるものの、なぜか頭の痛くなるような曲調はひとかけらもない。オープニングの「Comedy Tonight」から精いっぱい浮き浮きした雰囲気を盛り上げてくれる。

 

 若き恋人たちが相思相愛で歌う「Lovely」は、題名通りの典型的なラヴ・バラードで観客の胸をとろけさせずにおかないし、スードラス(寅次)らが歌う「Everybody Ought to Have A Maid」はコミック・ソングならではの軽快さに満ちあふれている。

 

 ところで、ソンドハイムはくわしい自註付き全作品集「Finishing The Hat」を出しているが、そのなかでこの作品は「ミュージカルではない、ファルスだ」と断わっている。つまり笑劇、どたばた喜劇なんだと。そして「ファルスは急行、ミュージカルは各駅停車だ」とも。急行は蒸気を溜め込んで一気に走り出す。それと同じように、このミュージカルではスピードを上げる前、すなわち第1幕前半に主な歌を持って来た、でないと流れと速度を邪魔することになるというのだ。亜門さん、よろしゅうお頼もうします。

 

                ({コモ・レ・バ?} Vol.30 Winter 2017より転載)

 

 

 
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2016年12月22日(木) 12時22分12秒

歌と笑いとペーソスと、ライヴで見せた堺正章の真骨頂

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  ことし一年の憂さを吹き飛ばしてくれるようなとても愉快なワンマン・ショウを見た。Blue Note Tokyoでの堺正章ライヴである(12月8日 1stステージ所見)。絶妙なトーク、肩の力の抜けた歌いぶり。連発するジョークに下品さがないのがいい。70歳ならではの老練ぶりと年齢を感じさせない溌剌さが、なんともいいバランスでブレンドされている。

 

  のっけから淀みない話術が冴え渡る。芸能キャリアの原点、16歳で参加したグループサウンズ田邊昭知とスパイダース当時の話が実におかしい。銀座、新宿などの音楽喫茶が主な仕事場だったが、客がひとりだったことも。

 

 「突然、場内が真っ暗になった。店のマネジャーが電気代がもったいないって」

 

  スパイダース時代からの僚友で、目下病気療養中のかまやつひろしの姿を見つけ、舞台に引き上げる。そして、かまやつ作曲の「サマー・ガール」をデュエットする。当の作曲者にビーチ・ボーイズとの類似点をやんわり問い質したりするのだが、年季の入った芸の力ですべてをジョークに昇華させてしまう。

 

 「今夜は10曲ほど歌わせていただきます。値段をつければ10曲で3千円、まあ1曲300円くらいのもので……」

 

  冗談の先は自分にも向けられる。ほどよい自虐性がまた笑いを呼ぶ。

 

  堺の強味は、スパイダース時代もソロになってからも自前のヒット曲を多数持っていることだ。そのキャリアなくしてワンマン・ショウ・ライヴはあり得ない。

 

  この夜、堺は一曲々々に万感の思いを込めて歌った。「あの時君は若かった」「夕陽が泣いている」「街の灯り」「さらば恋人」と続く。ただ佳曲と信じる「忘れもの」がヒットしなかったことが納得出来ないらしい。

 

 お喋りのなかで自らの人生を振り返り、「五勝四敗一引き分け」と採点していたのも、含蓄深いひとことだなと感心させられた。「一引き分け」を入れたところになんとも言えない微妙さがある。この自己採点は、おごらず高ぶらず、己に謙虚な堺の人柄そのものだと思う。

 

 特筆したいのは笑いの蔭に時折ちらりと見え隠れするペーソスだ。気がつく人は気がつくスパイスになっている。

 

 思い出ひとつ。スパイダースが初めて有楽町・日劇の『ウエスタン・カーニバル』(1966年5月5~12日)に出演したとき、堺と井上順が披露したコミック・アクトが忘れられない。バックの演奏に合わせてフェンシングの真似事をするだけなのだが、間合がいいのか実におかしかった。天性の喜劇役者の萌芽はすでにあのときあったのでは?努力の人でもあるマチャアキに改めて乾盃!

 

(オリジナル コンフィデンス  2016 12/26号 コラムBIRD’S EYEより転載)

 

当日のメニューより。

 

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2016年11月28日(月) 13時51分57秒

名倉ジャズ・ダンスの魅力は ”波状攻撃”にある

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     総勢100名近い群舞に圧倒される。ただ素晴らしいのひとことです。 (photo:鈴木紳司)

 

 ジャズ演奏は目に見えない。けれど肉体とその動きを借りてジャズ・ダンスに変身すれば、ちゃんと目に見える。時には荒々しく時にはこまやかなリズムの息遣いまでもが見えて来る……。

 

 名倉加代子ジャズダンススタジオ公演『Can’t Stop Dancin’ 2016』の躍動する舞台を見ながら、ふとそんなことを思った(11月3~6日、新国立劇場中劇場、3日所見)。ジャズ・ダンスの本質は、見えないものを見えるものに転化させるところにある、と悟ったということだ。

 

 名ダンサー、名振付家名倉加代子率いるこのスタジオの公演は常に技と力に満ちている。豪胆で繊細、プラス品位がある。しかも回ごとにレベルが向上する。だから私は、かならず見に行く。

 

   21回続いた公演の根拠地青山劇場が閉鎖されたので、その先行きが案じられていたが、新国立という場を得て続演出来たのは大変めでたい。

 

 名倉スタジオの公演は女性ダンサーだけでも90名を数える。しかも60代から20代と年齢層が幅広い。年配組はさすがの技量を見せる。しかも若々しいのがうれしい。中堅の安定感、若手のエネルギーにも目を見張らされた。

 

 ゲストの男性陣には、バレエ系の堀内充、高岸直樹、ジャズ系の須山邦明、裕幸二ら腕っこきを8名をそろえた。当然ジャズだけでなくモダン・バレエ風の演目も登場する。この演目の多彩さこそ名倉スタジオ公演の魅力のひとつだ。

 

 ジャズ・ピアニスト佐山雅弘の生演奏とダンサーたちの共演(競演?)が最高に楽しかった。「Piano Man~誰かが誰かを愛してる」から「As Time Goes By」に至る5景である。どこまで決まりごとでどこから即興なのか、演奏もダンスもはっきりわからない。音楽も踊りも多分にアドリブが含まれるのではないか。生演奏が踊り手たちの表情、ステップをイキイキと輝かせているのが手にとるように伝わって来る。とりわけ名倉、高岸のデュエットが洗練の極みだった。

 

 名倉ジャズ・ダンスの最大の特色は、ダンサーたちが何組にも分かれ、次々と現われては引っ込み、引っ込んでは現われる波状攻撃のような群舞にある。今回もオープニングやフィナーレでこの特色を十二分に発揮してみせた。振付・演出面での名倉マジックの腕の見せどころでもある。

 

 名倉さんの経歴は古い。1960年代、日本テレビの名物プロデューサー井原高忠さんの『光子の窓』『スタジオ№1』などで軽やかにステップを踏んでいた姿が、未だ目に焼きついている。いっときのブームが去ったように見えるジャズ・ダンス界だけに名倉さんの存在はとても貴重だ。

 

 (オリジナル コンフィデンス  2016 11/28号 コラムBIRD’S EYEより転載)

 

リーダー名倉加代子のソロは優雅な流線を描き出す。相手役は高岸直樹。

                                                                             (photo:鈴木紳司)

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