$安倍寧オフィシャルブログ「好奇心をポケットに入れて」Powered by Ameba




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2016年06月24日(金) 17時44分01秒

加藤和彦、安井かずみの豪華〝美食本〟を見つけた

テーマ:ブログ

  南青山・根津美術館前の古書店、日月堂はフランス文化関連の品揃えがいいことで一部の通に知られている店だ。せんだってここで加藤和彦、安井かずみ著『ヨーロッパ・レストラン新時代』という本を見つけた。

 

 帯に「レストラン文化を通して見たヨーロッパ再発見の旅!新しい知的食体験の数々をフルコースで如何」とある。へーえトノバンとズズがこんな本を出していたとは。表紙の絵が金子國義とはまたなんと贅沢な。

 

 版元が渡辺音楽出版なのに興味を惹かれた。刊行は1989年。

 

 この美食旅行記で加藤、安井夫妻が訪ね歩いたレストランは、フランス、イタリア、スペイン、北欧諸国にまたがり22軒に及ぶ。店や料理のカラー写真がふんだんに入っているし、ふたりの仲睦まじい光景もいくつか見られる。夫妻のファッション・センスのよさにも目を見張らされる。まさに最先端のカップルだ。

 

 文章はほとんどすべてズズが書いたものと思われる。主語が「私」と一人称単数で、フランスに住んだ体験がしばしば語られるからだ。「加藤とは、実はその時、ちょっとした夫婦げんかをしたのだった」といったくだりもある。

 

 フランスはトゥールーズのロベールガッドという店で、加藤が鴨、安井が鳩をオーダーしたときのこと。シェフのミシェル・トラマが、自分の料理の5つの信条として、見た目、香り、味、音(歯応え)などを挙げた上で、最後、安井に「マダム、第5は何んでしょう、お解りかな」と尋ねる。即座に彼女は「トューシェ」と叫んだという。

 

 トューシェとはフランス語のtoucheで英語のtouchに当たる。訳せば触感、舌に触れたときの味わいである。触感もまた食感の大事な要素ということだろう。

 

 加藤、安井はこの本のほか『ニューヨーク・レストラン狂時代』『カリフォルニア・レストラン夢時代』とシリーズで計3冊出しているようだ。もちろん、すべて渡辺音楽出版からである。

 

 楽曲の管理やプロモーションを主な仕事とする音楽出版社が、過去現在を問わず、楽譜はさて措き単行本を出版した例を、寡聞にして私は知らない。雑誌ではフジパシフィックが「SWITCH」の版元を務めていたことがあるけれど。

 

 加藤、安井の『ヨーロッパ・レストラン新時代』は、単行本にはめずらしくサントリーなど広告頁がいくつか見られる。取材などにかなりかかったであろう経費の埋め合わせか。

 

 音楽業界を含め日本が経済的にも気分的にも余裕があった時代の匂いが、表紙から頁から漂って来る。

 

(オリジナル コンフィデンス  2016 6/27号 コラムBIRDS EYEより転載)

 

この本には加藤、安井夫妻の時代の先端を行くセンスのよさがあふれています。

 

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2016年05月20日(金) 15時43分04秒

湯川れい子さんの人生をカタログ・ミュージカルに

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「湯川れい子生誕八十年音楽評論家55年作詞家50年」お祝いの会の案内状が届いた  (6月17日、ホテルニューオータニ)。心よりお祝い申し上げる。

 

 湯川さんと私は2歳違い(もちろん彼女のほうが若い)の同世代で、戦後体験など重なり合う部分が多い。和田靜香著『評伝湯川れい子音楽に恋して』(朝日新聞出版)に「ジョー・スタッフォードの『ユー・ビロング・トゥー・ミー』は今でもそらで歌える」とあるが、私も同様に歌詞をぜんぶ覚えている。

 

 『天井桟敷の人々』 『欲望という名の電車』など公開時に見て心揺さぶられた映画も変わらない。

 

 1961年1月、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズが来日したおり、ジャズ専門誌「スイングジャーナル」の依頼でインタビュー記事を書く。これがもの書き業のスタートとなったようだ。

 

 湯川さん以前にはジャズ評論家はいたけれど、アメリカン・ポップスを主な対象とする評論家はいなかった。そこがすこぶる新鮮だった。彼女の師匠筋の福田一郎氏は「ポピュラーを男のオレが書くと、ジャズの評論ができなくなっちゃう」と言っていたそうだ。

 

 湯川さんの仕事ぶりは多岐にわたる。なかでも72年にラジオ関東で始まり、長寿番組となった「全米トップ40」で、毎週シングル・チャートを紹介した功績は大きなものがある。この番組を通じてアメリカン・ポップスの魅力を知った若者たちがどれだけ多いことか。

 

 湯川さんと言えばエルヴィス・プレスリーである。歌いぶり個性ともに野卑で低俗と貶められていたデビュー時から、南部出身の白人にもかかわらず黒人音楽に偏見のないその姿勢を評価し続けて来た。当時、エルヴィスの真価が理解出来なかった私などとは雲泥の差である。

 

 エミー・ジャクソン「涙の太陽」(65年4月)以来の作詞家としての足跡についても、改めて語るまでもない。井上忠夫(大輔)と組んだシャネルズ「ランナウェイ」他一連の曲は、ひときわ精彩を放つ。ドゥワップと日本語歌詞の無理のない融合は、長年アメリカン・ポップスに接して来た彼女なればこそ。

 

 湯川さんの家系は代々海軍々人で父は海軍大佐、山本五十六も縁戚だという。そのような血を引く女性が、敗戦後アメリカ音楽のエキスパートとなった。これは歴史の皮肉か、いたずらか?

 

 この湯川さんの人生を物語の主軸にし、彼女が係わり合った洋楽・邦楽曲をとり込んだら、戦後70年をたどる異色のカタログ・ミュージカルが作れるのでは。マイケル・ジャクソンの映像出演もあったりしてね。

 

  (オリジナル コンフィデンス  2016 5/23号 コラムBIRD’S EYEより転載)

 

        湯川さんの著作の数々と和田靜香さんの評伝 (左)です。

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2016年04月27日(水) 13時00分00秒

歌い続けて50年、森山良子の記念アルバム 『Touch Me …』

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 アルバム第1曲目の「この広い野原いっぱい」からびっくり仰天した。森山良子のデビュー50周年を記念して50名の友人たちがレコーディングに参加しているのだ。加山雄三、谷村新司、さだまさし、由紀さおり、岩崎宏美、大竹しのぶ……。

 

 もともとこのデビュー曲の作詞は小薗江圭子、作曲森山だが、はるか遠い青春に思いを馳せる新しいプロローグの歌詞が森山によってつけ加えられている。

 

 森山良子はフォークソング・ブームの申し子である。この曲の素朴な味わいはそのことを裏書きしている。よく通る澄んだ声が似ていたせいか、〝日本のジョーン・バエズ〟と呼ばれたりした。

 

 森山のデビュー・シングル「この広い野原いっぱい」がリリースされたのは、1967年1月である。正式には来年1月、デビュー50周年を迎えるわけだが、前倒しでことしからさまざまな〝花火〟が打ち上げられるらしい。記念アルバム『Touch Me…』(ドリーミュージック)もそのひとつに数えられる。全14曲、いずれも贅を尽くし工夫を凝らした仕上がりを見せている。

 

 「聖者の行進」のスキャットや名ジャズメンの模写の、なんと巧みで堂に入っていることか。父森山久(名トランペット奏者)の血が脈打っている。ソプラノ歌手田村麻子と競い合う「花の二重唱」は、長年のクラシック音楽へのあこがれがほのめいていて微笑ましい。

 

 豪華ということでは「シェルブールの雨傘I Will Wait for You」がひときわ目立つ。サックス5、トランペット4、トロンボーン4を含む超ビッグバンドの伴奏に乗って、森山の歌も気持ちよさそうにスウィングしている。編曲は作曲者ミシェル・ルグラン自身。

 

 この記念アルバムのために自ら作詞作曲した「Sing My Life」は、多くの苦難を乗り越えて来た半生を振り返るだけではなく、これからもたくましく生きていくわよという新たな決意も読みとれる。ピアノ、ギター2、ベース、ハーモニカの素朴なバックと森山の力強い歌いぶりとがよく調和している。

 

 アルバム・プロデューサーには森山自身とともに、フジテレビの名物プロデューサー石田弘氏が名を連ねる。石田さんが手塩にかけて育て上げた長寿番組『ミュージックフェア』で、ダントツで出演回数が多いのは、森山良子だと聞いたことがある。彼以上に森山と相性がよく、彼女の多面的な才能を知り尽くしている人は、多分いないのではないか。このアルバムの完成度の高さは石田さん抜きにしてはあり得ない。

 

 縁の下の力持ちということでは、編曲、ピアノの武部聡志を忘れてはなるまい。

 

(オリジナル コンフィデンス  2016 4/25号 コラムBird's Eyeより転載)

 

 

        このアルバムに森山良子の50年のキャリアが凝縮している。

 

 

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