日本の雇用と労働法 濱口圭一郎 日経文庫


皆さん、今の仕事のスタイルに何かしらの疑問を抱いたことはありませんか?公務員は、終身雇用・年功序列と言われますが、民間はどうでしょう?定年等で仕事を辞めた時に貰う退職金制度等、何の気なしにある労働の色々、どうしてなのか? それを、法律(労働法)の視野と労働経済の視野から見ていくことです。


ただ、注意してほしいのは労働はホントに難しいです。大雑把な感じの理解でも良いかもしれませんね。


<ツィッター>

・日本は、欧米のように仕事単位で就労者を選ぶジョブ型雇用ではなく、一つの組織体として仕事を分け隔てなくやるメンバーシップ型雇用が主流だ。終身雇用が生まれた要因でもある

・解雇の仕方でも差がある。欧米は、不必要になった人の解雇(整理解雇)を推奨しているが、日本は厳しく制限している。その背景には、入り口と出口を重視しているため、労働者のピラミッドをおかしくさせないため。

・最初は、ブルーカラー層の中卒者の採用が主流となり、貴重となった。が、高校進学者の上昇により今度は、下級ホワイトカラー層の新卒就職が重視され、中卒者は淘汰されていった。

・時代が進み、現代では大学進学者が多くなり高卒採用から大卒採用に重要性がいった。高卒は学校の推薦による就活(1人1社制)によるが、大卒は自由競争社会に投げ捨てられた状態で自ら切り開かなければならず就職氷河期と呼ばれる内定率低下がおきた

・法律上、採用時に差別してはならないとする条文はあるが判例はそれを否定するものが多い。根底には、日本がジョブ型になれずにいる現状があるのでは?

・明治~戦前の辺りは、長期的に働くという感じではなく様々な職を渡り歩く感じであった。メンバーシップ型雇用を推進する政府としては、これではまずいということで、定年制や退職金制度を設けだした

・だが、このような日本型雇用に転機が訪れる。オイルショクだ。この影響を諸に受ける企業は減量経営にシフト。結果、雇用調整や整理解雇の考えを生み出した。

・なかでも、整理解雇は使用者側の勝手間が強いことから、厳しい要件をつけ解職権濫用の法理→整理解雇法理へと形成された。

・中卒が仕事人の主流だった、戦後間もない頃は、企業が金をかけ、一端の職人にしたてあげあが、高校進学率の上昇や大学進学率の上昇に伴い戦後間もない頃のojtは影を潜めるようになった。

・学校教育法上、大学は教育機関の位置付けではあるが、大学進学率の上昇と大多数の人達が、就職の進路を選ぶ昨今とのジレンマが生まれている。

・メンバーシップ型雇用の場合、色んな仕事をするため過労死や自殺のケースがある。だから、ジョブ型雇用にシフトして、仕事単位で転々とすべきなのは面白い。

・終戦後、退職金をめぐる争議が頻繁にあった。労働者側からしたら当然かもしれないし、使用者側からしたら整理解雇を避ける一手にもなる複雑やな

・日本型雇用において、正社員は皆管理職的要素をはらんでおり、それが原因で名ばかり管理職等がでてきた原因であろう。

・春闘って凄いんだな。賃金闘争と引き換えに整理解雇を抑制するんだから…