(プロメテウスの罠)原発城下町:1 先生、逃げろ!
朝日新聞デジタル 2013年7月19日。

【転載開始】

2011年3月11日、福島第一原発の1~4号機がある福島県大熊町の昼下がり。
塾教師の木幡(こわた)ますみ(57)は町内の喫茶店で椎名篤子(しいなあつこ)(58)ら
友だち4人とコーヒーを飲んでいた。 
のちに考えると、あと数分で大震災が起きるというころだった。
ますみは何か胸騒ぎを感じ、こんなことを口にした。

 「原発に何かあったら、もうこの町には住めないよね」

 「そうだよね」と返事が返って少ししたとき、揺れが始まった。午後2時46分だった。

 喫茶店の窓ガラスはうねるように波打ち、ガシャガシャと割れた。
天井が崩れ、客の周りに落ちた。

 揺れがおさまった後、ますみは急いで自宅に戻った。
タンスが倒れていた程度で、家屋にそれほど大きな被害はなかった。

 役場に向かった。夫の仁(じん)(62)が町議会議員を務めていて、
ちょうど議会の委員会に出ていた。

 「お父さん、町内が大丈夫か見に行こう」。2人で町に出た。

 午後3時半ごろだった。

 役場近くのコンビニに行くと、異様な光景に出くわした。

 第一原発の方向からざわざわと、作業員の制服を着た人たちが早足で歩いてくる。
制服の色は企業ごとにまちまちだったが、頭髪のせいか全体的に黒っぽくみえた。

 「アリの大群のようだ」。ますみはそう思った。

 その大群が、続々とコンビニに入っていく。
停電してレジが使えず、店員が電卓で計算していた。
それを尻目に、商品をてんでに持ち去っていく。

 「あれえお父さん、みんな勝手に持っていっちゃうよ!」

 ますみは仁に叫んだ。

 作業員の中に、ますみの塾の教え子が何人かいた。

 「どうしたの、何があったの?」

 一人が叫んだ。

 「先生、逃げろ! ここはもう駄目だ。配管がムチャクチャだ」

 まだ津波が来る前だ。それでも彼らは原発から逃げはじめていた。

 当時、第一原発で働く大熊町民は、人口の1割、約1100人いた。(渡辺周)

【転載終了】

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これは3.11当時の大熊町の住民が実際に目撃した光景だそうです。

やはり、津波が来る前に配管が破損していて、
冷却ができなくなっていたという情報は事実だったようですね。

当時も、あの揺れで配管が無事なはずがないといわれたが、
東電がひた隠しにしていたということなのだろう。

そして、いま社員の退職が止まらず、東電は対策を打ち始めたようですね。

元東電社員が「社員やその家族を責めないでほしい」と呼びかけています。
理由は、このまま社員の流出が止まらないと
「原発の維持ができなくなる」と言う事のようです。

東電の経営陣に問題があり、
(5億円も退職金をもらい天下ったのが経営トップだったのだから)
社員や家族も被害者だったのかも知れませんね!