中東の洋式トイレ事情 進化するシャワートイレ | アーディで行こう

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「普通」を意味する便利な言葉、「アーディ」 地元の足として、とことこ走るバスなんかを「アーディ バス」、エジプトではエアコンなし列車を「アーディ」 そんな方法での旅を紹介しましょう。
え、そんなの自分には無理だって? 大丈夫。「アーディ、アーディ」

$アーディで行こうアーディで行こう-ヨルダン 洋式トイレのノブホテルや高級レストランでは洋式トイレが一般的
ヨルダンをはじめ、シリアやレバノン、トルコやイランといったあたりでも、今やトイレは洋式が主流です。ホテルなどは安宿の共同トイレでも、少なくとも1カ所は洋式になっているのが普通。レストランだと、さすがに高級なところしか洋式ではありません。なぜなら、中東では低所得者層を中心に、まだまだ自宅が洋式トイレでないところが多く、そういう人は洋式の使い方に慣れていないので、すぐ汚してしまうからです。特に中便座をあげずに「小」をする男性が多く、とても座れたものではない状態になってしまいますから。ホテルの場合は、その部屋を使っている人の問題ですし、中東の定評のある安宿は、外国人が多いので、共同トイレでもあえて洋式にしているんですね(でも外国人でも汚く使う人はいますが)

さて、中東の洋式トイレをご紹介しましょう。

水を流すにはコックではなくボタンを押すか引く
トイレ自体は日本でも一般的な洋式トイレの形状をしています。流すときはタンク上に付いているボタンを押すか引っ張るかします。ボタンの形状で判断できますのでご安心を。写真1枚目はサハラ沙漠の真珠と謳われる古都リビア・ガダーメスのホテル・カーフィラ。引っ張るタイプです。
写真2枚目はヨルダン・アンマンの私が住んでいたアパートのトイレ。タンク上のボタンはやはり引っ張るタイプです。

くせ者の中便座
また、フタをあけた状態ですが、この中便座、下の便器に取り付けているボルトがしっかりしていないことが多く、よくずれたり取れたりします。また、小用を足そうとして中便座を跳ね上げても、この取り付けボルトの位置が悪く、すぐに落ちてくる便座も少なくありません。そうなると、中便座を汚さないためには、片手で中便座を押さえ、そのために中腰スクワット状態になって、もう片手は自分のものを持って狙いを定め、用が終るまでその姿勢を保つという苦行を強いられます。この苦しみは男性でないとちょっと想像がつかないでしょう。

局部用シャワーあれこれ
$アーディで行こう-シャワートイレ 手元ハンドル
写真1枚目のリビア・ガダーメスのトイレでも、やはり局部洗浄用のシャワーホースが横についています。水を出すときは、ホースの根元にあるハンドルを回して水量を調節します。ホースの先にはフックが付いていますが、これは壁に架けるためのものです。
ホースによっては、先のノズル部分ににぎりがあって、ここをにぎって水を出す構造のものもあります。庭など屋外に水を撒くためのホースを思い出してください。あれのノズル部分を小型化した感じです。ヨルダン・ワディ・ラムのビジターセンターのトイレなどに使われています。写真をとっていないのが残念。

NEW! ダマスカスの邸宅ホテル「ダール・ヤスミン」にて手元スイッチ付きのノズルを撮影しました。真ん中の黒い部分を握ると、水が出るようになっています。2010.5.10

$アーディで行こう-イラン・ヤズドのファハダンの蛇口$アーディで行こう-トルコの洋式トイレ一体型水温自由自在! シングルレバー混合水栓
右の写真(3枚目)はイラン・ヤズド旧市街にできた高級ホテル・ファハダーンの客室トイレの局部用シャワー。イランは冬は寒さが厳しく、集中ボイラー式の給湯システムが一般的なので、なんと局部用シャワーにも温水が出ます。シャワーのお湯の出に一喜一憂するヨルダンやエジプトとは大違いです。さすが文明国ですな。
しかもシングルレバー混合水栓ですよ。イランではこのホテルだけではなく、例えばシーラーズのパルセ・シーラーズホテルなど、最近できた高級ホテルはみんなこの方式。使ってみましたが、大変便利。見た目も美しくさえあります。シンプルイズベストですな。こんなんで自宅トイレをシャワー化できます。自作リフォームが好きな方、やってみてはいかがでしょう。

便器一体型シャワー
日本のトイレシャワーなら便器の中からノズルが出てくるものですが、ああいった感じでハンドフリー指向のトイレは中東にはないのでしょうか?
いえ、やはり人間考えることは一緒のようで、中東の新興産業国トルコで見つけました(右下写真)
水が出るノズルが、便器の上の縁、後ろ側にちょこんとついています。水を出すには、座った状態からちょいと右手を後ろに回し、壁についたホース根元のハンドルを回すというわけです。ここでも混合水栓ではないものの、温水、冷水それぞれにコックが付いていて、お好みの水温を調節することができます。トルコも冬の寒さはハンパじゃないですから、安宿でも給湯システムはしっかりしていますね。
このタイプの便器一体型シャワーは、トルコではかなりたくさんのホテルで見ることができたので、わりと普及しているのだと考えられます。実際、ノズルの後付け加工は無理でしょうから、もとからノズル付き便器として大量生産されているのでしょう。写真はスィワスの安宿、ホテル・ファーティフの客室トイレです。
ただし、これを実際に使ってみたところ、ノズルが前を向きすぎていて、水を直接局部に当てることはできませんでした。あんまりに強く出しすぎると、便座を通り越してズボンにかかってしまいます。というわけで、実際にはやはり左手で水をすくって局部を洗わなくてはならず、ハンドフリーにはなりませんでした。残念。