(もういちど愛して)・・・久々のアラン・ドロン作品はコメデイです・1971年度作品 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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            アラン・ドロンの ≪もう一度愛して≫

 

こんばんは。

 

いつもご訪問いただきましてありがとうございます。

 

今夜は

久々のアラン・ドロン作品です。


アラン・ドロンの珍しいコメディを一本取り上げます。

 

離婚して二年後のナタリー・ドロンとの共演です。


フランスって国はキリスト教?教会?をどこか斜に構えて

 

捉えてるところがありますよね。

 

もう完全に司祭をおちょくっているというお話し。

 

クソ真面目なピント外れのキャラで笑わせてくれます。

 

計算尽くされた演技で笑いを取るドロンさんの一面を再認識いたしました。

 

さて、ストーリー

 

主人公、シモンは今はブルターニュの

 

荒れた旧い教会で司祭をしている。

 

やって来るのは老婦人ばかり。

 

パイプオルガニストとしても実力者であるが...

 

妻リタ(ナタリー.ドロン)を狂信的といえる程、愛したために

 

彼女は夫の嫉妬から、逃れるためと夫自身を嫉妬から解放してやろうと

 

7年前に突然溺死して、彼の前から消えた。

 

彼は7年間彼女を忘れるために祈りつづけやっと

 

忘れたんだそう。

 

今はベネデイクト派の少数の信者達のためにミサを開くほか、

 

下僕一人と二人で平穏な生活をしている。

 

塔からぶら下がった鐘つきだけはシモンが自らぶら下がって

 

つく。大きなパイプオルガンの練習は自由に出来る。

 

幸せな穏やかな日々である。

 

ところが、ある日男女が車でこの教会にやってきた。

 

男は”話がある。”

 

鐘にぶら下がって上下運動をしながら聴くシモン。

 

”盗みか?人殺しか?放火か?”と。

 

 

”いえ、実はあんたの奥さんと結婚しているんです。”

 

”なんだと??””あのならず者の女め、7年前に死んでいるんだぞ!!”

 

”いや、あなたから逃れるために姿を消しただけで生きています。

 

ところが新聞であなたの音楽会開催の写真入記事を見てから

 

あなたに遭いたくなったと...言うもので 連れてきました。”

 

”また一緒になってやってください、

 

それでないと、港の全部の男に自分の身体を許すというのです”

 

シモン..見る見るうちに顔に頭に血が上り、

 

”売女め。みだらな女め。汚らわしい女め、失せろ!”

 

とまあこの司祭さん、頭に血が上るとやくざ、不良司祭になるんです。

 

懺悔室で待っている彼女に”おまえの顔は見たくも無い

 

汚らわしい!!!帰ってくれ”

 

と銃を持ち出して追い返します。

 

でもリタは自信満々で落ち着いたもの。

 

シモンはきっと自分のところに帰ってくるという

 

自信があるようです。

 

案の定、彼女に遭ってから落ち着かないシモン。

 

隣町の教会の先輩司祭のもとへ相談に行きますね。

 

これがポール.ムーリス扮するとぼけた、大司教なんです。

 

ちょうど、鴨の何とかの料理を作っているところで

 

まあそのキッチンのすばらしいこと。

 

おなべも器もいいのが吊るしてあるし、

 

贅沢が好きな司祭であるには違いない。。フムフム・

 

居間へ...

 

これもアールデコ調のいい感じのしつらいで、

 

シモンの部屋とは大違い。

 

だけど、結構革新的なご意見をもった人で、

 

シモンにあなたの心のままになさいと穏やかに言う。

 

すごっくフランス的なのね 此の辺が。アンバランスが見え見え。

 

結局聖衣の下にパンツとセーターを着込み、ベレーを被って

 

くわえタバコにあの頃流行ったあんまさんみたいなサングラスかけて...

 

不良司祭はバイクを飛ばし、渡し船に乗って

 

彼女のいる港町の酒場へと。

 

ここでも口でやり込め、手は出るわ、暴力は跳ね返して

 

バカぢからで暴れまくる。

 

帰りにまた、先輩司祭のところへ寄って、心を決めようと。

 

バイクで夜道を帰り、途中で沼に落ちて

 

どっぷり浸かっちゃいます。

 

(一度は必ずあるずっこけシーンですね  こういったドジな場面は・・・)

 

ここがちょっと面白いシーンで。

 

蛙がげろげろと鳴いている。

 

追ってきた警官が”司祭さん、大丈夫か?”

 

うるさい蛙にシモンが蛙に向かって ”静粛に”と言うと、蛙が静かになる。

 

”大丈夫”と言って立ち去る。

 

警官の一人が”蛙ども静粛に”というと

 

いっせいに鳴き出す..笑えました。

 

 

さあ、クリスマスミサもサボってましたが限界。

 

お偉方が見えるという。

 

ぶつぶつ、文句を言いつつ用意をするシモン。

 

神の子だか、神の使いだか知らないが

 

全然本人にその気があるとは

 

到底思えません。

 

弾きますね....パイプオルガン。。。。

 

荘厳なミサ曲。

 

女に魂はあるか...あってはならない。無い!  いやあると。

 

興奮気味に奏でるオルガン .あまりの迫力に  

 

パイプが一本パンク破裂します。

 

作品の前半のテーマ音楽は同じパイプオルガンでも

 

ミサ曲が流れますが、

 

後半はパイプオルガンを使ったジャズに変わります。

 

リタと生きる決心をしてからですね。

 


聖衣の上に皮ジャンをはおったシモン。

 

先輩司祭にいよいよ司祭を棄てる..還俗する旨を...伝えます・・・・

 

”あなたは司祭ですぞ。よく考えて。。。”

 

シモン”神とは再婚です。リタ..前の妻とはベッドも共にした

 

仲です!”

 

"そりゃまあそうだが...”

 

わたしが戻らないと、港の男全部に身体を許すというのです。”

 

先輩司祭は

 

”身体を許すことぐらいはたいした問題ではありません!

 

????

 

”リタと共に生きます。。。!”

 

ところが迎えに行くと肝心のリタは修道院に入ったとさ..

 

尼サンになったとさ。

 

 

頭にきたシモンは、馬鹿力がまた目を覚まし、暴れだします。

 

店はガチャガチャ、並みの力ではありません。

 

例の警察官も来て、おおおーー蛙を黙らせた司祭さんかあ?

 

”やつは死んだ”とシモン。

 

警官もやくざも一網打尽にコテンパンにやっつけてしまう怪力・

 

あんな人に愛されたらちょっと疑いでももたれたら

 

日本でいうと、包丁持って追っかけれらるという

 

愛し方なんでしょうかねえ。

 

そこんところを、じつに上手く、この表情、小道具の使い方、

 

歩き方、司祭の中にもそういえばいるいる..ああいうタイプって

 

感じの演技。

 

存在するだけで絵になり映画になる彼なのですが、

 

演技もその作品その作品しっかりしていると思いますが、

 

こういったコメデイーは実に良いんですよ。

 

 

逆手にとって笑わせてくれます。

 

多分、それもドロンさんだから笑えるんだと思います。

 

 

よく見せようとか良く映ろうとか考えていないように見えて

 

実は計算し尽くされている。

 

リタにメロメロな癖して、強がって、そのくせ彼女の前に出ると

 

悪口雑言しか口をついて出てこない。

 

リタには小心でありながら、世間、教会には横柄なヤツなのです。

 


二枚目がこういったものをやるときに、

 

このこだわりが越えられないから中途半端なものになるが

 

ドロンさんはこういったものでも、乗りまくってやるから面白い。

 

かっこよさではなく、かっこ悪さを売り物にしてしまうんです。

 

リタ崇拝者は加えタバコにバイクに乗って砂浜をオルガンのメロデ

 

イーに乗って駆け抜ける。。。と・・・格好いいんだけど

 

必ず落ちがあるからね。

 

 

ラストを忘れてましたね。

 

もちろん尼僧院へリタに会いに行くのね。

 

格子の外から話し掛け、連れてってというリタに

 

”俺の言うことを聞くか?”

 

”誓うわ”。。。”誓うなどいうな”(教会を皮肉ってるのですね)

 

鉄格子を馬鹿力で湾曲させ、手に手をとって、.。。。

 

ところが他の尼僧たちもすわ.続けとばかりに...

 

尼僧の集団の逃走は続くのでした...


ジャック.ドレー監督との最初のコンビの作品では?と思います。

 

1971年作品。

 

ドレー監督の歯切れの良い、とにかくテンポの良い

 

    娯楽作品です。