新宿武蔵野館 3で「理由」を観ました。話題作の割りに上映している劇場が少ないためなのか平日にも関わらず満員でした。

原作を読んでないので比較は出来ないのですが、基本的には原作通りの進行でラストの章の解釈だけ変えたようなことをオフィで読みました。小説として斬新な手法だったものを映画に持ってきてそれがそのまま映画でも斬新になっていたのかと言えば、答えは「ノー」だと思います。

証言だけを繋いでいき、最後には核心に近づいていくという流れは問題ないのですが、証言を基にした映像が付加されるために映画を観ているというよりはドキュメンタリー番組。あるいは扱っている題材が殺人事件でありミステリーなので、下世話なワイドショーの方が観ている時の感覚は近いかも知れません。話を進めるためのナレーターは居らず(最後の方でインタビュアーは出るけれど)、コメンテーターなんかも居ないので、ワイドショーと一緒にしては失礼ですかね。

手法ばかりが話題先行になっていますが、肝心のストーリーはそれほど謎解きの難しい内容ではなく、犯人も途中で判ると思います。ただ一点の謎というか、辻褄の合わない部分を除いては。

その辻褄の合わない部分、最後に『幽霊』で片付けられてしまうのが何とも安っぽいというか、リアリティに欠ける。またその映像もショボいしね。

批判的な事ばかり書いていますが決して面白くなかったわけではなく、テーマとしては考えさせられる部分もありました。ただ、あのテーマを訴えるための作品なのだとしたら3時間はあまりにも長く感じる。もう一度観て確認したいシーンなんかもあるけれど、そのためにもう一回観ようという気にはなれませんからね。

ある種実験的な作品だと思うので、一度観ておくのも悪くないと思います。