オハイオ州のアクロン。突如として死者が甦り生者を襲いだした。
ゾンビの発生を知るボウ博士は幼い娘アンと共に研究所に立て籠るが、牧師の息子ジェイソンたちの乱入からゾンビの襲撃を許してしまう。

それから5年後。
ゾンビは既に全米に広がっていた。都市機能もマヒし、無政府状態となる中で、ゾンビ撲滅隊通称ゾンビスクワッドが結成される。
生き残っている人間を求めて日夜捜索するが、彼らの行くところに生者の影はなく、訪ねた邸宅ではライミ率いるスクワッド隊の一人が不注意からゾンビに咬まれ、待機場所には大量のゾンビたちが襲撃してくるのだった。

基地に戻ると、ゾンビに対する特効薬を研究しているモルソン博士からライミたちは呼び出される。
ゾンビに人工声帯を着けたりなど役にたっているのかどうか怪しい研究をしているモルソンは遂にゾンビの血清を開発したという。
しかし肝心のゾンビの素体不足と完全な血清の研究をしていたボウ博士を探すためアクロンに行く必要があるのということだった。
そのなかでライミの仲間のマーサーが実験台のゾンビに誤って腕を咬まれてしまう。

マーサーを助けるため、早速ライミたちはモルソンたちを乗せてアクロンのボウ博士の生家を訪ねるが、そこに近隣の教会から来たという若者ヴィンセントが現れる。
彼の案内で廃墟と化した家に探索に入るがそこには白骨化したボウの遺体しかなく、あとは娘であるアンの日記くらいしかなかった。

更にゾンビの捕獲を計画しようとすると突然ヴィンセントは襲いかかり、隊長がナタで襲われて即死。
ライミの反撃でヴィンセントは射たれ瀕死の重傷を負うが教会に逃げ帰る。

ボウと敵対していた教会はジョーンズ牧師の狂信的な考えにより、ゾンビを世界を破壊と救済のために遣わせた者として大量に匿っていた。
ゾンビによって宗教的革命を目論むジョーンズは息を引き取ったヴィンセントを地下に匿っている大量のゾンビたちの餌にして、その秘密を探ろうとしていた仲間をも殺害していた。

ヴィンセントを追い、教会の狂気を知ったライミは夜襲をかけてジョーンズからペット化されているジェイソンのゾンビを盗み出す。
一方で不完全な血清を試したいモルソンは噛まれたマーサーにこれを投入してしまう。
そして連れてこられたジェイソンにも血清を投入。しかし即効的効果は見られない。

その頃、ジェイソンを奪われた教会側は武装してライミたちの潜むボウの生家に襲撃をかける。
応戦するライミたちだが多勢に無勢、彼らは撤退を余儀なくされた上にマーサーとジェイソンを連れ去られてしまう。

囚われたマーサーを助けるためにライミたちは再び、教会へと向かう。
そこでは丁度ジョーンズがミサを行っていた。
ゾンビを讃える歌を捧げ、ミサは最高潮を迎えようとしていたが、ここで血清の効果からジェイソンがドロドロに溶け始める。
そしてマーサーは半分人間の細胞が残っていたため半分ゾンビ化し、意識のあるハイブリットゾンビとなっていた。

ライミの銃乱射によりジョーンズは致死傷を負い、その最期の力を振り絞って地下にいるゾンビたちを開放する。
これにより教会内はたちまちゾンビが蔓延る地獄絵図とかし、ゾンビが信者たちを貪り食い尽くす。

一方でゾンビ化したマーサーは自分をゾンビにしたモルソンに恨みをもっていた。
地上に溢れたゾンビたちを率いて逃げるモルソンを襲いこみ八つ裂きにするのだった。

教会から脱出を図るライミはようやく脱出用の車へと向かうが、そこで鉢合わせしたゾンビに首を咬まれてしまう。
壊滅する教会を尻目にゾンビに噛まれたライミは基地へもどり治療をうけるのだが…。

低予算ながら勢いある演出でカルト的な注目をあつめたスプラッターホラー。

8ミリカメラで撮られたという粗い画質や低予算でありながらホラーの大御所サム・ライミ製作と掲げる強心臓ぶりから嫌な予感が漂う作品。

実はサム・ライミが本格的に製作に携わったわけではなく、監督の熱すぎるゾンビホラーへの想いに感心したライミが資金の援助をしただけ。
そこを商業目的に昇華するあたりなかなか肝が座っている(笑)

しかしそのライミの資金援助のおかげで低予算ながらもゾンビの描写、ゴア描写は凡百のゾンビものよりもはるかに素晴らしい。
主要となるゾンビのメイクも拘っていて見所となる人体の破壊描写にも力が入っており、この点においてはゾンビ映画ファンの心を掴んでいる。

特にクライマックスでの惨劇は要注目。

ただストーリーはというとさすが低予算だけあり、詰めの甘さは否めない。

全体的には弛さ満開で展開される。
オープニングでゾンビがレンタルビデオ店に現れて、ジョージ・A ・ロメロの『ゾンビ』以下数本の有名ゾンビ作品をカウンターに持ってくるとか、モルソンがゾンビに襲われる際の助けを呼ぶ際の電話のやり取りなどはまるで安いコント(^^;

まぁそれでもサム・ライミを感心させるだけのB 級ホラーへの前のめりな愛情はかなり伝わってくる。
何せ登場人物はホラー監督の名前や関係者を使用しているし(主役のライミの他サヴィーニ、カーペンター、あげく駄作ホラー製造マシーンのヴィンセント・ドーンなど)、首チョンパされたゾンビの首に指を噛み千切られると千切った指が喉奥からモソモソと出てくる残酷描写の細かさなど。

物語や設定・展開のツッコミどころは多いが、低予算ながらもゾンビホラー好きなら意外に楽しめる作品である。

残酷度…★★★★★

評価…★★★
(ストーリーや全体的にはユルい作りだけどゾンビホラーとしての残酷さだけは一流レベル(^^;)