映画「ヒーローショー」 井筒和幸監督インタビュー | ❧❧❧適当ブログ❧❧❧

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「パッチギ!」の井筒和幸監督(57)が新作「ヒーローショー」で、若者による不条理の連鎖を現実感たっぷりに見せつけた。「ヒーローの仮面をはいでみたら、中に入っているやつらは生きるためにやっているわけで、愛も正義もへったくれもない。今の社会そのものじゃないかと思った」と井筒節が炸裂(さくれつ)する。実際のショーを調査し、つかんだ実像が今作に反映したようだ。主演はお笑いコンビ、ジャルジャルの後藤淳平(26)と福徳秀介(26)。アルバイトも専門学校も中途半端で気弱なユウキ(福徳)と、恋人と店を開くため調理師免許を取ろうとしている配管工の勇気(後藤)を演じた。ユウキの新しいバイトは、戦隊ものヒーローショーの悪役。ある日、バイト仲間のノボルがユウキの先輩・剛志の彼女を寝取ったことがばれ、剛志とノボルは観客を無視して殴り合う。乱闘ぶりがすさまじく、「止めるやつはいないし、のまれるよね。もしおれがそいつらの横にいたらいやだもん。そういう恐怖感を出したかった」と井筒監督。だが、その場面は始まりに過ぎない。剛志はユウキも含めて悪友を集め、ノボルたちを恐喝する。一方のノボルたちも、自衛隊出身の勇気を引き入れ報復に出る。「彼らは今の若者の等身大を演じただけ。ひょっとしたらこうなるかもしれないとわかりながらやっている部分があった。そういう意味では(時代設定が1968年の)『パッチギ!』の現場とは違いましたね」
■バーチャルな時代は終わった
R-15指定(15歳未満は鑑賞不可)となるほど過激な場面を描くのは「バーチャルな愛や正義の時代は終わった」と思うからだ。「リアリズムの時代に入っていると大衆は無意識につかんでいるんじゃないですかね。生きる実感がなく、いらついているときにリアルなものを見ると響く。僕も見たいと思った」ピンク・レディーの1976年のヒット曲「S・O・S」が効果的に流れる。「Jポップを3カ月間探しまくった。いろんなレコード会社からプレゼンテーションされた曲を聴いても、全然リアルじゃなかった」。そのとき友人のテレビ局プロデューサーから「昔の楽曲の方がしっかりしている」と勧められた。「『S・O・S』は警告感があっていいじゃないのと試しに音をあてると、ミキサーが『ぴったし。監督、これはくるねー』って。おれ自身は画(え)に合うものなら何でもいいと思っていたけどね」5月29日、角川シネマ新宿、大阪・梅田ブルク7などで公開。

■いづつ・かずゆき 1952年12月13日、奈良県生まれ。75年、「行く行くマイトガイ 性春の悶々」で監督デビュー。以降、「ガキ帝国」(81年)、「岸和田少年愚連(ぐれん)隊」(96年)、「のど自慢」(99年)、「パッチギ!」(2004年)など、叙情性と痛快さを併せ持つエンターテインメント映画を作り続けている。