リウマチOTはなぜ手指変形しないのだろう?② | 今日のリハビリ

リウマチOTはなぜ手指変形しないのだろう?②

昨日の続きです。


リウマチOT(発症5年)が変形を抑えるのに有効だったと考えていることは、


①良いリハ医(ついでに言えば良いPT)に恵まれること

②必要な時期に必要な装具を作ること

③リウマチ体操


というところまで書きました。今日はその理由の説明をしていきます。


①良いリハ医(リハビリテーション専門医)に恵まれること


わたくしは医師ではないので、他の専門医と比較した違いは細かくわからないのですが、自分が勤めていた病院では整形外科医か脳外科医が、試験を受けてこの資格を取得していました。外来でリハビリを始める前には、通常主治医からの指示箋に従い、リハ医の診察があってから必要なリハ(PT=理学療法・OT=作業療法・ST=言語聴覚療法)が行われます。


つまり、主治医が必要なし、と判断すれば指示箋が出ませんのでリハビリは行えません。

今ではリウマチの治療の一端を担うとされるリハビリテーションですが、リウマチOTがリハビリを希望した5年前では、彼女から主治医に頼みに頼みこんで、2ヵ月間お願いしてやっと指示箋を出してもらったそうです。


彼女の場合は、ドクターを以下のように使い分けしていました。それは、


診断・投薬についてはリウマチ専門医(膠原病内科医)

痛みについては整形外科医

生活についてはリハビリ専門医(整形外科医)


リハ医のドクターが特に優れていたというのはあるようですが、上記の中で彼女が一番重視していたのが「生活=仕事をすること」でした。そして、その期待にしっかりと応えてくれて、その都度必要な細かい修正をしてくれた、ということです。


そして、彼女の現在の一人前の理学療法士がとても優秀な方だったらしいです。が、やはり指示を出すドクターが一番大事だと思う、とのことでした。


但し、リハビリは魔法ではありません。


ドクターやPTの腕が云々言う前に、「身体状況によりリハビリができないこと」があります。


リハビリの効果を出すためには、効果を出すための身体条件を整える治療が必要です。厳しいようですが、痛みと腫れで膨れ上がった状況で「リハビリで何とかしてください」と言われても、冷やすぐらいしかできません。

(実際に彼女も、リハビリを開始してしばらくは、冷やす以外に何もできない状況が続いたそうです。)


そして、リハビリは「その人の持つ目的」によって変わります。もちろん身体状況にもよりますが、最終目的によって内容が大きく違います。彼女の場合は、リハビリの最終目標をしっかり持っており、それを達成し続けているという状況です。



②必要な時期に必要な装具を作ること


彼女が持っているのは尺側偏位の予防装具(手首に付けている装具)と、足底板です。


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MP(中手指間関節=指の付け根)の負担を減らすために処方されました。そして足底板は、荷重を分散して膝の負担を減らすものです。どちらも変形を予防するために作ったものです。変形が始まったり痛みの場所が変わったりすると、装具を調整することも行います。


これについては、①の「良いリハ医」が大きく関わってきます。必要な装具を見抜く力が必要だからです。リハビリをしている場合は、PTかOTがドクターに進言することもよくあります。細かい微調整はPTやOTが行いますので、良いPT、良いOTがいるに越したことはありません。


彼女の場合は、まず痛みを軽減するために装具を処方しました。手については、仕事中と、痛くなりそうな気がする時(リウマチ患者の方はその”気配”というがお分かりになるのでは)は着用します。


常時締め付けると血流も悪くなるし、関節可動域が狭まるので必要な時に着用します。しかし上記の時は必ず着用します。「スポーツ障害」と考え方は同じで、腫れで関節包や靭帯が緩んだ状態になっていると、ほんの少しが回数積み重なると立派な損傷となるためです。



③リウマチ体操


スタインブロッカーのクラス2が「関節変形がなく、筋委縮が関節周囲にある」


骨が割り箸で、筋肉がゴムでできた人形があると考えてみると、ゴムが短く(=萎縮)なったら割り箸のつなぎ目はどうなるでしょう?


つなぎ目がぎちぎちになって重なり合わない、つまりゴムが劣化するみたいに筋肉が伸びなくならないように、毎日全方向フルレンジで動かしましょう。という考えの元に、リウマチ患者にリハビリではROM訓練を行っています。


基本は、多少痛みがあるぐらいであれば、フルレンジ(可能な可動域一杯)に行います。


ここにも①の「良いリハ医」が関わってきますが、身体状況によってどのぐらいの運動を行っていいのか、細かく指示を出してくれるそうです。また、PTは痛みの状況と動作チェックをして、その都度プログラムを組み直し、家で行う運動を指示します。


気になるであろうお値段についてです。(註:あくまで彼女の場合です。保険適応になるかどうかは、病院や主治医の方針があります)


②の装具は、5~6,000円で後から申請して7割バック。採寸がいるものや、樹脂が入っているものはまた違うと思います。彼女はよく使うので何度か作り直しているようですが、確か1度作ると2年間だったかは補助金申請はできなかったと思います。


リハビリについては、運動器リハは1単位20分が180点(1,800円)×2単位の3割負担なので、1回1,080円です。その他にリハビリテーション総合計画評価料300点(3,000円)の3割=900円がかかります。彼女の場合、通常は2ヵ月に1回=1.080+計画料900×2ヵ月分=1回あたり(2か月に1回)の自己負担は2.880円。

急性増悪した場合は、優秀なリハ医の指示により、頻度を詰めて通うようです。


整形外科がなくて運動器のリハ基準を持っていない病院では、脳血管リハ(1単位250点=2,500円)になるのでしょうか?ちょっとそのあたりはわかりません。これはリハ基準Ⅰの場合で、もっと小規模の基準Ⅱの病院では1単位が165点と、少々お安くなります。(2012.3.13補足:現在は整形外来は基準Ⅱが最高なので165点で1単位20分を基本に、リウマチOTと同じ2単位40分なら990円、+総合計画評価料と、当時より安くなっています)



彼女がリハビリの目的についての考察も書こうかと思ったのですが・・・

個人的なことですし、人生についても踏み込む必要もありますので、特にご希望がなければ公開記事にするのは控えたいと思います。



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