6年前にこんなことを言っていました | 紺ガエルとの生活 ブログ版日々雑感 最後の空冷ポルシェとともに

6年前にこんなことを言っていました

たまたま読み返した本家HPの「日々雑感 2003年10月」より。

昔から自分の考え方が全く進歩変化していないことに驚く。

当時は高速道路1000円ではなく、無料化の議論が行われていたのだが。
本質は、何も変わっていない。
アクアラインが全線渋滞する日が生きているうちにやってくるとは、当時思われなかったが。

内容はともかく。
今の文章の書き方の方が、ブログで読むには読みやすいのではなかろうか、と個人的に思う。

(当たり前だけど、こんな句読点の多い文章はブログ向けの意図的なものなので。
日常の会話をこんな感じで話しているわけではないので、念のため。)




選択の自由を奪うな

あなたが東京から大阪まで頻繁にいく用事があるとする。そして仮にあなたは飛行機を利用することが何らかの理由で出来ないとする。普段は新幹線のひかりを利用していて、特別急ぐ用事がある時は追加の料金を負担してのぞみに乗っている。しかし、ここで余計なお世話をする人が現れ、こう言う。「新幹線代をただにしてあげるので喜んでください。ただし全ての人に無料にするので利用者は増えるでしょう。また、停車駅も増やします。つまり、あなたが望むと望まざるとに関わらず、ただにする代わりにこだましか走らせません。あなたの新幹線代をただにしてあげたのですから、それと引き換えに私のことをサポートしてください。ただにするための費用は、新幹線に乗らない人たちにも別の形で広く薄く負担してもらいます。」

結果として、ただにはなったのだが、どんなに急いでいても追加料金を払って速いのぞみに乗ることは出来ず、4時間掛けて大阪まで必ずこだまで行かなければならなくなる。選択の余地はない。さらにこれまで近距離だから、あるいは急がないから在来線を利用していた人も、大挙して新幹線に乗り換えてくる。したがってこれまでは指定席を取れたのに予約が難しくなり、自由席はすし詰め状態になる。これまで追加料金を支払うことによってのぞみで2時間ちょっとで着いた大阪も、すし詰めのこだまで4時間もかかるようになってしまう。そして新幹線に乗る理由が全くない人たちにも、費用の負担が求められる。

あなたの親が危篤になって一刻も速く駆けつけたくても、昔のように速く着く方法はない。いくらでも出すから速く行ってくれ、と思っても、そんなわがままは聞いてもらえない。

賢明な方はもうお分かりになったと思うが、これは民主党の高速道路を無料にする政策に関してのメタファーである。すなわち、無料化により高速道路の交通量が増加=所用時間、渋滞の増加=新幹線の強制こだま化(それも乗車率の高い)、であり、これまで通行料を払うことで目的地に速く到着できる便益を手に入れられていたのが、その選択肢が奪われる。

金を払ってそれに見合った便益を受ける、というのは立派な権利である。また、受益者負担の原則という言葉もある。たとえば温泉旅行に行って大枚はたいて贅沢したい人もいれば、安ければ安いほどいい人だっているだろう。それを一律ただにしてやるから貧乏旅行者も、たまには贅沢したい還暦の祝いのじいさんばあさんもみんな一緒の国民宿舎で我慢しろ、というのも極めて乱暴な議論に思われる。国民負担の減少という建前のもとで、国民の選択の自由を奪う政策であると思われるのだが、皆さんはいかがお考えだろうか。

無料化によって景気刺激になり、観光産業が潤う、という議論もあるかもしれないが、年中高速が渋滞すればあまり出かける気もしなくなる。毎週東京料金所から大井松田まで渋滞していれば、伊豆に出かける気も失せるだろう。鉄道が人数で料金を課金している以上、最近多い7人乗りなどのSUVで無料の高速で行楽に行こうというのは自然な成り行きに思われる。家族連れで帰省する際など、特にその傾向が強くなることだろう。大人二人と子ども二人の四人家族で、東京から大阪まで新幹線で行けば9万弱かかるところ、お父さんが渋滞を我慢すればガソリン代だけで着く、となれば昨今のデフレモードの中、我慢せざるを得ないかわいそうなお父さんは山ほどいるだろう。そうなれば中央道などただででも渋滞がひどい高速道路は、行楽シーズンや帰省シーズンには地獄の渋滞が起きることは容易に想像できる。逆に観光に行く意欲を殺がれる人もたくさんいるのではないか。

大事なことは、道路のキャパシティに比べて利用量が少なく、なおかつ料金を下げて高速道路に誘導することで社会的便益が増大するところはそうすればいいし(アクアラインが典型例、わざわざ川崎から首都高湾岸線、東関道/京葉道、館山道を回る人もいるぐらいだし)、料金を下げることでキャパシティをオーバーしてしまう東名(御殿場あたりまでか?)、中央(大月まで?)などは料金を下げるべきではないということである。

今回は環境問題や、道路特定財源の問題には触れないが、選択の自由がなくなるというのは個人的に大反対である。 ご意見あればこちらまで。(お断りしますが以前よりご覧頂いている方はお分かりでしょうが、私は自民党を支持しているわけでは決してありません。いわんや公明党をや。現在の高速道路の制度面、運営面に問題がないと言っているわけではなく、無料化では問題が解決されないどころか新たな問題が発生するということが言いたいので念のため。)