安心するにはまだ早い | 紺ガエルとの生活 ブログ版日々雑感 最後の空冷ポルシェとともに

安心するにはまだ早い

ファニーメイ、フレディマックの、シニアの債券の保有者は、公的管理によって米国債に準じる信用力を持つ債券を保有することに事実上なったが。


公的管理って、CDSのトリガーイベント(信用事由)。


安心するには、まだ早いよ。


ヒント)


Cheapest to Deliverオプションの存在

ISDAプロトコルでのオークションプロセス

最長残存期間30年、ゼロクーポン債も含めて受渡可能債務(Deliverable Obligation)(のはず)

30年のゼロクーポン債の単価は10円台前半程度=CDS取引の損失率90%弱の可能性

CDXにもFNM/FREは参照銘柄として入っている

通常のシンセティックCDOにも、たいてい参照銘柄として入っている


今日NY時間11時からの、ISDA主催のオークションプロセスに関する電話会議に、要注目。


クレジットデリバティブ経由での、市場の混乱が起こらないことを祈る。



(9月10日加筆: 30年ゼロクーポン債はAccreting Obligation扱いで、Cheapest to Deliverとなるのはどうやら80円台で取引されているファニー・フレディ発行の金利系仕組み債のMTNのようです。


コメント欄にも書いたとおり、「公的管理」は破産事由。


ただしCDSの定義上の「破産」が起きているにもかかわらず期限の利益が喪失しておらず、Accelerationが起きていないため、混乱が発生。


というのも、通常の破産の場合、満期まで2年の債権だろうが30年の債権だろうが、即時弁済を要求されるため「満期」という概念はなくなるが(Acceleration、期限の利益の喪失)。

そのため、保有する債権の額面に応じて破産管財人から配当を受ける権利が発生。


しかし今回は、テクニカルデフォルトなのでAcceleration発生せず。

従って、通常の破産発生時に想定されている以上のCTDオプションが発生している状況。)