メリルの発表内容は強烈 | 紺ガエルとの生活 ブログ版日々雑感 最後の空冷ポルシェとともに

メリルの発表内容は強烈

メリルの増資発表だけど、それ以外の発表の内容が実は凄いことになっている。

特にABSCDOまわりと、モノラインまわり。


http://www.ml.com/index.asp?id=7695_7696_8149_88278_101366_103431


ABSCDOのSSを額面で30.6Billion、評価額で11.1Billion(36.2%)で6月末にマークしていたのを、LoneStarに6.7Billion(21.9%)で売却。
4.4Billionのロス出した、という強烈な内容。

それでもまだ8.8Billion(2005年以前のビンテージですが)のABSCDOのSSを保有している、とのこと。
うち7.2Billionはヘッジ済みで、6.0Billionはモノライン以外のCP、1.1BillionはMBIAがヘッジCPとのこと。

額面30.6Billionの売却で、リスクアセットは29Billion相当減る。
メリルは6.7Billionの売却代金のうち75%のノンリコースファイナンス(5Billion)をLoneStarにつけるとのこと。


モノラインに関しては。


XLCapitalと結んでいたCDOポジションのヘッジを解約し、XLCから500mmを受け取ることで合意済み。
XLCとの既存の取引では1128mmのMLの受け取りのはずだったので、528mmのロスを計上。
XLCからは実際のMTMの44%しか受け取れなかったということになります。

またMBIAと、より格付の低いモノラインとの契約も解消する方向で交渉中。
最悪の場合現在のメリルの勝ちポジション800mmがゼロになる、とのこと。
スプレッドがワイドニングすれば当然800mmから勝ちポジション増える。




インプリケーションだが。


ABSCDOのSS、6月末の評価が36.2%だったのに、実際に売りに行ったらそれより15%も下じゃないと売れなかった、という事実は、かなり恐ろしい。
USABSCDO、9.7Billionの3月末の評価は、Level 3で行ってたって10-Qに書いてあったし。

また、自分でファイナンスつけている、ということは。
「本当の」売却額は、実はもっと下だったかもしれない。


時価は、会計上の評価額の40%ということだよ。(売却額6.7Billion / 評価額11.1Billion)
フレディなんか、自分で評価して債務超過になったのに。
実際に資産売却したら、とんでもない額の債務超過になるのは目に見えていて。


CitiもABSCDOについてはLevel 3資産としてモデルベースで評価している、といっている。
3月末時点での、ABSCDOのSSのNet Exposureは、メリルが6.7Billionに対し、Citiは22.7Billion。

ざっくり言って、Citiの方が3.4倍ABSCDOのSSを保有している、ということだ。


Level 3評価額と実際の売却額の差が、メリルの場合4.4Billiionだったが。
CitiがLevel 3評価からLevel 2評価(Level 3がモデルに基づいた理論価格なのに対し、Level 2は類似商品の実際の取引価格(=今回のメリルの売却価格))に変えた途端。
単純計算で、4.4Billion x 3.4 = およそ15Billionの損失が発生する。


2008年第一四半期開示資料 10Q 22ページ
「Citigroup's CDO super senior subprime direct exposures, $22.7 billion at March 31, 2008, are Level 3 assets and are subject to valuation based on significant unobservable inputs.」


実際に売りに行ったら、凄いことになるんだろうね。


Citiのモノラインへのエクスポージャーは3月末で7.28Billion、引当は2.46Billionだから、だいたい3割強ぐらいの引当率だが。
メリルのXLCのケースでは、損失率56%だったわけで。

引当、足りない可能性も高く。

15%引当増やすと、また1Billion資本が溶ける。


単純計算で、Citiだけでも(15+1)Billionで16Billionの損失発生して。
また1兆円とか、資本調達、ですか???


まだファニーもフレディーもUBSもリーマンもあるよ…(涙)