アメリカの株空売り規制は超劇薬 | 紺ガエルとの生活 ブログ版日々雑感 最後の空冷ポルシェとともに

アメリカの株空売り規制は超劇薬

アメリカでの、株の空売り規制が来週から始まるが。
そのせいで、ショートカバーが入って昨日は金融株暴騰。

で、株式市場見て、クレジット市場でもショートカバーが広がって。スプレッド、タイトニングしたけど。
ウェルズ・ファーゴの好決算なんて、ただの後付けですから。

気付いてない人、沢山いると思いますが。

この規制、副作用超でかい劇薬ですから。

この措置、はっきり言って、今回の事態の発端となったクレジット市場を、より一層混乱させる施策でしかないよ。

だって。
ヘッジファンドの、金融セクターに対するネガティブな見方が、変わった訳ではなく。
株でショートできなくなったら、次に何するかっていったら。
CDS市場で、全力でプロテクション買うでしょ。

潰れる、と思っているわけだから。

ヘッジファンドって。

カジノ一軒閉まっても(=株式市場で空売りできなくなったら)、隣のカジノ(=CDS市場)行く人たちでしょ。

そうなると。
金融銘柄のCDSスプレッドがタコワイド化し。
最近では、ファンディングコストの水準も、クレデリのレベルを見ながら決められるので。

金融機関全体のファンディングコストが、上昇を余儀なくされ。

ファンディングコストが上がると、ポジション取りにくくなるので。
売り物出ても、誰も受け手がいない、という流動性危機の再燃、が予想される。

そもそも今回は、クレジット市場発の危機だったはずなのに。
犬の尻尾である株式市場を守ろうとして、クレジット市場を破壊しかねない、といった、本末転倒状態。

ベア・スターンズの破綻も、株式市場がトリガー引いたというよりも、信用の悪化、ファンディングの悪化が原因だったのに。

今回の措置は、株式市場を守るために、クレジット市場を犠牲にする、という意味で、ウルトラ本末転倒ですから。
犬の尻尾が、犬動かしちゃってるみたいなもんですから。

空売り規制で、株式市場のボラティリティが、CDS市場に引っ越してくるだけ、という、極めて不毛かつ危険な展開。

金融株戻したからって、金融銘柄のCDSタイトニングさせたりすると、思いっきり持ってかれるよ…。

という訳で、引き続きベアです。これは、ヤバい。


中国当局が、バークレイズへの追加出資を拒否した、という話が出ていたが。

ソブリンウェルスファンドでさえも、買い向かえなくなったとすると。

誰が、この相場で買い向かう(=資本増強に協力する)のだろう???


誰もいないよね。公的資金以外。


FEDのSOMA勘定も、無限に使えるわけではなく。

FHLBのバランスシートにも、限界がある中で。

公的資金注入、ということになれば。


FEDが、紙幣刷るしかない。


そうなったら。

ドル、暴落。


今でさえ、チキンレースのように、みんな歯を食いしばって堪えているのに。

誰かが全力で売ると、みんな堰を切ったように売りが出る状態。

でも、まだみんな横を見ながら堪えていて。


ポールソンやバーナンキもその状態を分かっているがゆえに、為替市場に口先介入を続けていて。


ひたひたと迫り来る、ドル暴落リスク。


今日、プライベートで持っている米国債を全部利食って、円転しました。

だって、本当に怖いんだもん…。